12月13日(土)3・4時 限目を使って、百人一首のかるた大会を実施しました。修学旅行で茶道体験・坐禅体験・能の鑑賞と日本の伝統文化に触れてきましたが、締めくくりは中学2・ 3年生が取り組む百人一首のかるた大会。始めた頃は、「男子校には向かないかも?」と思った時もありましたが、年々生徒は落ち着いて取り組めるようにな り、今年で23回目を迎えました。2年生の中からも、上の句の5文字が詠み終わる頃には取り札に手の出る生徒もいて、大変レベルが高くなったと思います。
前日までにインフルエンザが流行りはじめたクラスもあって、一堂に集めることの危険性を指摘する声もありました。とはいえ、せっかく練習もしてきたのでそ う簡単にはやめられません。会場の体育館入り口では手の消毒をし、学校で用意したマスクを全員が着用して実施しました。終わってからもうがい、手の消毒を して万全を期したこともあって、現在中学生でインフルエンザに罹患している生徒はほとんどいません。
当日生徒にも話したことですが、この年齢の生徒にしっかりと覚えさせることの意味は大変大きいと思います。私も同じ年齢の頃に百人一首を覚えました。今で も忘れない歌が少なくありません。この歌を詠んだ人はどんなところにいて、どんな思いで詠んだものだろうか?そう考えながらじっくりと味わってみると楽し くなってきます。
私の故郷は山々に囲まれた小さな盆地で、東西南北どこを見ても山が迫っています。高校生の頃に我が家の2階 の窓から見える景色を思い出します。南にある街のシンボル的な山が昼には太陽によってシルエットになってしまいます。日が暮れるのも多少早く冬の一日はま さに「つるべ落とし」。短い昼の午後に西の山が太陽に照らし出されて浮かび上がり、はっきり見えます。そこはまさに冬枯れの世界です。落ち葉を踏みながら サクサクと歩くまわりには誰も何もいません。きっとこんな情景だったのかな?そんな情景を描きながら思い浮かべることのできるのは

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば

自分を育ててくれた故郷に感謝しながら、いつも思い出しています。自分の心情に重なる歌を見つけるのは楽しいものです。

あとわずかで今年も終わります。新しい年がこのメッセージを読んでくれたすべての人にとって良い年であることを祈りつつ、大伴家持が詠んだ万葉集の最終歌を送ります。

新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事

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