グローバル高校対象心理教育「レジリエンスプログラム」 活動報告

 

文責:スクールカウンセラー 鈴木水季

 今年度も、グローバル高校1年生と3年生を対象に、「逆境に負けない力(レジリエンス)」を育てる「レジリエンスプログラム」が、7月夏期特別講座の時間や9月の夢合宿などの時間を利用して、行われました。授業は第一回目「レジリエンスとは何か」から始まって、第2回「気晴らしの魔法」第3回「レジリエンスアルバム」第4回「逆境による成長(心的外傷後成長)」第5回「ネガティブスパイラルのメカニズムを解明しちゃおう!」第6回「ネガティブスパイラルに挑戦しよう!」の全6回の授業を、半年ほどかけて、それぞれの学年で行って参りました。

「レジリエンス」とは「逆境力」「回復力」などと訳されている、人間に本来備わっている能力のことです。どんな人でも、生きていると辛い思いをすることや、失敗すること、自分の思い通りにならないことなどを経験しますが、「レジリエンス」とは、そのような逆境や困難に耐える力、そこから回復する力のことです。

 

留学を来年月1月に控えた1年生と、いよいよ受験シーズンに突入した3年生ですが、「レジリエンス」について理解し、自分自身の「レジリエンス」に気づき、活用するためのプログラムをスクールカウンセラーから提供しました。

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第1回目の授業では「レジリエンス」は学習して身につけることができるスキルであることを理解し、また「レジリエンス」を身につけることが人生において非常に大切であることを学習しました。

 第2回目の授業では、自分の感情がコントロールできなくなった時に有効なセルフコントロールの方法について学びました。具体的には、セルフコントロールを行う上での『気分転換』の効果を理解し、自分にとって一番良い『気分転換』の方法を見つけ出すワークを行いました。

第3回目の授業で自分自身のレジリエンスの元になっている4つの要素についてグループワークなども行いながら自分のこととして考えてみる授業をしました。生徒たちは、自分の「レジリエンス」をリストアップしながら一人ひとりの「レジリエンスアルバム」を完成させました。

4回目の授業では「PTG(心的外傷後成長)」について学びました。「PTG」とは、災害や事故、病気等、とても悲しい苦しい衝撃的な経験をしてその時は激しく傷ついても、その後、むしろ人間として成長する現象のことです。

また、第5回、第6回の授業では、物事をネガティブに捉えるとネガティブな感情が生み出される、という「ネガティブスパイラル」についてレクチャーし、そこに陥らないよう、自分の考え方のくせを見つける練習を行いました。はじめは自分の捉え方のくせを見つけることが難しかった生徒もいましたが、段々見つけられるようになりました。さらに、自分自身の捉え方のくせを再訓練・再検討できるようになることをめざし、劇仕立てのロールプレイを用いたワークを行いました。1年生も3年生も、活き活きと取り組んでいました。

 

いずれも忙しい授業の間をぬって、また9月下旬に行われた夢合宿中もそれぞれの学年で授業を行いましたが、生徒たちは大変熱心に授業に取り組んでいました。   授業後の生徒の感想では、「自分のことが良く理解できた」「自分で自分自身をサポートすることが出来るようになると思った。」「最近自分か抱えているストレスがあきらめに関することだと気づき、少しでもあきらめるのを遅くしてもっとねばってみようと考えた」などの声が聞かれ、自己理解やセルフケアの促進ができた様子でした。   また、「留学でも逆境に陥ることはあると思うので、授業で学んだことを留学先でも活かしていきたい」「これから受験を乗り越えていく上で活用していきたい」等、これからの生活に活かしていきたいという感想も多く聞かれました。

 

授業後のアンケートでは、6回の授業を通して各学年とも95%~100%の生徒が「興味を持って授業を受けた」「授業は役に立った」と答え、夢合宿の授業では99%~100%の生徒が「興味を持って授業を受けた」「授業は役に立った」と答えていました。

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