Dec_08_2016

本校では2年次普通コース文系の生徒は政治経済を学びます。そして、夏休みの課題に「税に関する高校生の作文」を書くという課題が例年出されています。

生徒たちは日常生活の中で「税金」というものについて考える機会はほとんどないと思います。しかし、本校を卒業した後に大学生、社会人と成長していく中で必ず付き合うことになるものです。

時間にゆとりのある夏休みの間に、自分自身で調べてこの作文を書くという課題は、生徒たちの将来に直接かかわってくるものだと思います。
また、休み明けに提出された「税に関する高校生の作文」は大月税務署に送られ、優秀な作文には賞が贈られます。

今年度は1組の諸江陽花さんと5組の酒井はるなさんの作文が大月税務署長賞を受賞するという素晴らしい結果となりました。先日、大月税務署長さんが本校を訪れて、二人に賞状と記念品を授与して下さいました。その時の様子を写真でご紹介します。

あわせて、二人の作文もご紹介しますので、ご覧下さい。

税と私

先日、私は旅行で福島県を訪れた。その中で立ち寄った父方の祖母の故郷であるいわき市は、東日本大震災の時に津波の影響で多大な被害受けた場所である。海岸近くの道路は波に削られたのであろうか砂利道のままで、砂浜に生い茂っていたという木々は一本もなく、家があったと思われる場所には申し訳程度の堀が残っているだけ。その光景を見た父が、「子どもの頃の思い出の場所が全部なくなっている。」と呟いていたことが衝撃的だった。復興が始まって五年たった今も、海岸沿いの街には津波の爪痕が少なからず残っている。
これは一体どういうことだろうか。

テレビなどのメディアでは前向きな言葉ばかり聞くが、もしかしたら実際は全く進んでいないのではないのではないか。国民から集められた税金は震災の際どこに使われたのだろうか。そんな疑問を抱き、震災復興に使われる税金について調べることにした。

三・一一発生後、被害者支援の財源を目的として所得税、住民税、法人税に上乗せする形で徴収される復興特別税というものが新しくできている。これらは地震復興の際の使用に限定されており、十・五兆円にも及ぶという。募金という不確定な方法だけでなく国として仕組みを決めて動くことは絶対に必要なことだと思うが、こんなにも莫大な金額を動かしているのに未だに復興が目に見えて進んでいないことに驚いた。十兆円なんて一個人からしてみたら非日常すぎる額だし、そんな大金を動かして実際にどのくらい道や建造物が整備されてどのくらいの人が救われ続けているのかなんて、想像もつかない。税金を払う我々国民も、そう感じている人は多いのではないか。だから増税が決まるたびに憶測や決めつけで様々な批判が飛び交うのだろう。実際に何が変わっているかわからないまま自分が稼いだお金を渡していたら、きっと誰でも不安に思うはずだ。

では、どうすれば皆が前向きに税金を払ってくれるのか。今月集まった税金で○○市の堤防が完全に修復できる。仮説住宅を○戸設置できる。そういったように具体的な数字を挙げてみる。実績を広く国民に知ってもらい、更なる支援を上げられるようにするべきだ。募金は喜んでみんなお金を払うのに税金になると渋い顔をするのは、こういった行動の差に要因があると思う。

先にも述べたが、五年たった今でもまだ復興は終わっていない。これは大人子ども関係なく全国民が真剣に考えなくてはいけないことである。そしてその復興を手助けできる機会が設けられているのなら、自分たちは何ができるのか、今何ができているのかを把握しておくことが大切だ。私も来年選挙権が与えられる。税金の使い道を決めるのは私たちではなく国会の議員たちだ。私たちがより良い将来を過ごすためにも、真剣に選挙や税金に向き合っていきたいと思う。

日本大学明誠高等学校 2年1組 諸江 陽花

税に対する意識

最近ニュースで「増税」という言葉をよく耳にするようになった。最近税金が八円に上がったばかりなのに、次は十円へとさらに引き上げようとしている。私は税金を“とられている”というようにしか感じていなかった。今までは買い物をする時に税金が上がってしまうと物の値段が倍になり、自分のお金が減るのは嫌だという理由で増税には反対していた。無駄にお金をとられてしまうのは嬉しいことではない。ただ自分が損してしまうだけであると。

そんな考え方をしていた私に、税について深く考えさせられる出来事が起きた。

私の家の近くは電灯が少なく、昼間はいいものの、夜になると薄暗くて周囲の状況が分からず、一人で歩くのは危険なため学校から帰るときはいつも駅まで姉が迎えに来てくれていた。ある時その道を通ると工事を行っているようだった。道の舗装工事とともに、いくつかの電灯も増えていた。電灯が増えたことで夜も明るくなり、周囲の状況も分かるようになった。わざわざ迎えに来てもらう心配もなくなった。今考えてみると、これも税金のおかげだったんだろうと思う。

また、小さい頃、私は病気にかかることが多く何度も入院をした。つい最近も、感染症の肺炎にかかり入院をした。治療費には数十万円かかると聞いていたので、両親に申し訳ないと思いながら数週間入院生活を送っていた。
退院日、病院の会計場所で父が手続きをしているのを見ていた。私は両親に対して、
「私立の高校に通ってお金がかかるのに入院なんかしたら余計に数十万円もかかるよね。ありがとう。」と伝えた。
すると、母親からこんな言葉が返ってきた。
「社会保障というものによって、本当はもっと払わなければいけないけれど少しでいいのよ。」と言われた。

私はそれまで税の恩恵というものを意識したことも感じたこともなかったが改めて見直すきっかけとなったのだ。自分が受ける側になって初めて、社会保障というものが誰かのためにあるのだということを理解した。

考えてみると、税金による多様なサービスを受けている。これらを維持していくために「増税」は仕方のないことだ。税についてよく考えてみることで、税に対する意識が変化したように思える。安全で健康な生活を送るためには、一人一人の税への意識を変える必要がある。生活するためには必要不可欠なものであると。これから先、よりよく生きていくために。

日本大学明誠高等学校 2年5組 酒井はるな

二人は今回の作文が受賞作品に選ばれたことについてについて、

この作文で税に関心を持てたと思います。頑張って書いてよかったです。(諸江)

賞を頂いて税に関する意識が高まりました。これからも税に対する知識を深めていきたいと思います。(酒井)

と感想を話してくれました。

二人とも自分なりに税のことを調べ、身近にある体験からその重要性に気が付いたようです。このような調べ学習や作文課題は、受験時に小論文を書いたり、面接で受け答えをする時にも生きてくると思います。

このような学習も重要なことですが、まずは現在行われている期末考査に全力で取り組んで、少しでもよい結果を残せるようにしてください。頑張れ、日大明誠生!

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