Oct_17_2017

こんにちは。中間考査も終わり、生徒はほっと一息ついているところではないでしょうか。

今日は、読書の秋ということで、おすすめの図書を明誠高校の先生に聞きました。第1弾は、平川先生です。平川先生からコメントを頂いたので、紹介します。

平川です。本を紹介します。まず1冊目は、『レ・ミゼラブル』です。貧しさゆえに一切れのパンを盗み、長い間獄中生活を強いられたジャン・バルジャン。出獄後、彼はその日の宿と決めた教会にあった銀の燭台を盗みます。しかし、捕まった彼に対しその教会の主であったミリエル司教は「それは彼にあげたものです」と言うのです・・・

『レ・ミゼラブル』とは、「みじめな人々」という意味です。本作品を読むと、本当に大変な思いをする人々がたくさん出てきます。読み続けると「人生ってこんなに辛いものなのか」という気持ちがしてきて、気分が滅入ります。ですが、そのような人々にも、光が差し込みます。それが「正義」であり、「愛」です。

貧困とは何か、悪とは何か、正義とは何か、愛とは何か、生きるというのはどういうことなのか、悩んでしまった人は、ぜひこの本を読んでみてください。ちなみに、とても長い本ですが、この本を読破できたら、現代文も得意になっていること間違いなし?

2冊目は、『銀の匙』です。アニメや映画化もされているので皆さんもご存じかもしれません。難産の末に生まれた「私」。産後、体調のすぐれなかった母親に代わり、伯母さんが「私」を育てます。今から100年くらい前の話なので、生活風景などは現代とだいぶ違う感じがしますが、今読んでも深く共感できるところがあります。それは、伯母さんの「私」に対する「愛」です。人間って、こうやって、尽きることのできない愛を与えられながら、成長していくんだなーということを感じます。親や保護者となかなかうまくいかない皆さんにぜひ読んでほしい一冊です。実は、私たちが小さかった頃、おうちの人は『銀の匙』の伯母さんのように、無償の愛で私たちを包み込んでくれていたのかもしれません。

最後は、『恍惚の人』です。「恍惚」とは、「うっとり」という意味です。言葉から想像すると、何か良いことがあって「うっとり」した人のお話かと思うのですが、この本の「うっとり」した人は、認知症にかかったおじいちゃんの「うっとり」です。認知症にかかったおじいちゃんは、いわゆる「ボケて」しまっているので、大変破天荒な行動を繰り返します。それに家族はほんろうされるのですが、作者の有吉佐和子は当時(今から40年ほど前)社会現象になっていた認知症にはじめてスポットライトを当てた小説として脚光を浴びました。

この本で私が感じたのは、「人間って、生まれるときも、死ぬ時も、赤ちゃんになる」ということです。ほら、おばあちゃんって、仕草とかゆっくりで、よく「おばあちゃんかわいい」って言ったりするじゃないですか。いや、この本に出てくるおじいちゃんを見て、「うわぁかわいいなぁ」って思ったりすることはないと思いますが笑、この本を読んだら、「おじいちゃんおばあちゃんは、長年頑張って来られたので、最後は、赤ん坊になって、天寿を全うするんだなぁ」という気持ちになります。

 平川先生ありがとうございました。読書の秋ということで、みなさんも、ぜひさまざまな本にチャレンジしてみてくださいね。

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