「家族の事も信用出来ないなんて、家族じゃない、同居者だよ!」

自分の手が震えているのが分かった。それは冬の夜だったからかもしれないが、多分、自分が怖かったからだと思う。たくさん傷つけているけど、いつもゆるしてもらって、そして優しくしてくれる。自分はもしかしたらこういう親の接し方に調子に乗っていたんだと思う。暗くてよく見えなかったが、多分もう少しで泣きそうな顔をしていたと思う。

その夜から、僕は”家族”について考えた。まず辞書を引いてみると、血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団と出てきた。これは困った。僕的には、もっと気持ちの面でも答えて欲しかった。ただ血がつながっていればいい、ではなくてそれ以上に絆だとかそういう物があると思ったからだ。そもそも絆とは何か?と考えてみた。どうやったら絆が出来るか考えた。でも絆はできているかどうかすら分からない。だとすると、絆という物はもしかしたらないのかもしれない。いつか裏切られるものかもしれない。それが怖い。なら次に人間はどのような行動をとるのか?僕はそれは傷つける、という行動だと思う。この傷つける、という行動をとることによって、その人との絆がどこまであるのか、ということを計ろうとするのだと思う。しかし、この行動によって大切な人を失ってしまう、という可能性もあるだろう。「家族」とは、確かに血のつながった小集団だ。しかし、血のつながり、というものだけでは決して絆は生まれないだろう。血のつながりがあるから、家族であるからこそ、友人では出来ないような、裏切られないようにするための傷つけ合いがあってもいいのではないだろうか?

僕は部屋から出た。その時、僕の目には熱い水がたまっていた。風邪だから、という事にしておかないと家族のぬくもりに包まれて大きな声で泣いてしまうだろう。今回の冬休みで僕は「家族」という大切な存在に気付かされた。

「お母さん、ごめんなさい」

(中学部1年生 男子)

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