2016summerwork_uesaka2

昨日、僕は本当に貴重な体験をさせてもらった。リンネ学会へ行き司書のエレインさんからリンネ学会の歴史と成り立ち、また自然選択説を発表したダーウィンとウォラスの関係にいたるまで説明していただいた。

次に、地下にある分厚い扉で閉ざされた、古い本のたくさんある保管庫へ案内された。正直、博物館のようでつまらなそうだと思った。しかし、それは間違いだった。つまらないどころかそこにあったのは宝の山とでも言うべきものであった。とても風変わりな魚の標本、サファイアのように光る羽を持った蝶、一つ一つが素晴らしかった。だがやはり、一番の宝はリンネの作った最初の生物の分類表、システマネイチャーだろう。そこにはいくつもの驚きが詰められていた。今では当たり前となっているが、人間をホモサピエンスとしてその表に加え、ほかの生物と同じレベルで分類することは画期的な革命的な考え方であった。聖書の教えである全能の神により創造された、選ばれた人という生き物という当時の考え方に真っ向から反対する考え方に違いない。つまりこれは彼にとってひとつの挑戦だったはずだ。理論整然と分類された表には空間の部分があった。将来発見されるであろう生物のために空けられた空間だ。表の真ん中にはPARADOXと書かれた部分があった。よく見てみると、そこにはドラゴン、一角、ヒドラといった未確認生物や想像上の生き物の名前が書かれていた。分類できないと認め、さらにそれを表に入れるのもなかなかできることではないだろう。科学性と非科学性が混在したリンネの分類表。リンネはやはり天才だったのだろう。

最後は図書室で庄司先生が次のようなお話をしてくれた。リンネが提唱した分類表、その分類表に従って、世界に存在するすべての生き物がその提唱されたシステムによって分類された。この分類表に時間の経過による自然選択の考えを吹き込んだのがダーウィンではないかとのことだ。その話は僕がこれから先、物事を考えていく上で、とても重要なことを教えてくれるものとなった。それは、リンネがグラフで言うならⅩ軸とY軸の平面で分類し、ダーウィンがそこにZ軸つまり時間軸で分類し、それは今も、科学現象を考えていく上での考え方の基本となっているのだということだった。僕の勝手な解釈かもしれない。けれども僕はこのとき長い世代にわたって積み上げられた知識という言葉の意味が分かった気がした。つまりⅩとYからなる平面的な考えをZ方向に積み重ねることによって立体的な考えを構築して知識を作り上げる。これは三次元的考え方とでも言うべきもので、これからの僕の考え方に大きな変化をもたらすものになるだろう。

(高等部2年生 男子)

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