冷凍(シバレ)いも物語(2)

 

私は、「こんなものをどうするのだろう。」と
思いながら仕事を続けた。広大な畑の
あちこちに散らばって、父、姉、それに
おばさんが、同じような仕事を 続けている。

半日で馬車に山盛りになるくらいのいもが
取れた。 この日あるを期していたらしく、
父は初秋の頃、石狩川の岸辺で大量の
葦を刈り取り乾燥させていた。物置に
何段もの棚を作り、その上に葦を並べると、
彼はそこに「しばれいも」を広げたのである。

何段もの丈夫な棚がたわむほど大量のいも
であった。北海道の冬は寒い。本州の人々に
想像できるような寒さ ではない。その寒さの中
で、「しばれいも」は、さらにかちかちに凍って
冬を越した。 しかし北国にも春は訪れる。気温
が暖まると共に、それまで凍っていたいもは、
異臭を発してとけ始めた。並大抵の臭いでは
ない。

「全部腐った。」とつぶやきながら、私は父の
実験が失敗に終わったと思った。

 

その3につづく…

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