日本語の深さについて(5)

 

それなのに最近の学校では、卒業式に蛍の光を
歌わせるところが少なくなってきた。

その理由は、敗戦にある。昭和二十年に我が国は
アメリカとの戦争に敗れた。占領軍は、それまでの
我が国の伝統や文化を根こそぎ否定しようと強制力
を働かせた。

日本人の中にも「バスに乗り遅れまい」と、アメリカ
占領軍の要求以上にアメリカ的であろうとする
卑しい傾向が目に付いた。言わば「敗戦利得」に
ありつこうとする 「醜い日本人」の群れ群れだったと
言えよう。

このような影響から 「蛍の光」「仰げば尊し」など、
民族的慣習とも言える 美しい曲が、学校の卒業式
から放逐されてしまったのである。

「君が代」に至っては、歌うこと自体が禁止された。

「文部省唱歌」にも、ずいぶん美しい歌が多かったが、
それらの多くも放逐 され、現在の音楽教科書で、
その影はまことに薄い。

 

その6に続く…

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