暗記の大切さ (6)
私は校長デスクのガラスの下に
世界地図を挟んでいる。
毎朝これを見つめることから
一日の業務を開始することに
している。
その地図によると中国には、
次のような国々が国境を接して
いるのである。
ロシア 北朝鮮 カザフスタン
パキスタン キルギスタン
アフガニスタン ネパール
ブータン インド ミャンマー
ラオス ベトナム
これを見れば、中国がいかに
巨大な大国であるかをうかがい
知ることができ る。この大国と
円満な関係を維持することなしに、
我が国の安全も繁栄も考えられない。
例の「毒入り餃子事件」*を見ても、
我が国メディアの報道には、中国の
民衆 に対する気配り心遣いがあまり
感じられない。
私は、このことがさらに一層中国人の
反日感情をかき立てるのではないかと
憂慮するのである。
毒入り餃子事件の真相を究明しようと
するのは、あくまでも中国の優れた
商 品を大量に購入したいからなので
あって、その底には日中永遠の友好を
願う気持ちが息づいているのだと言う
ことを、今の千倍の言葉を以て繰り返す
べきで あろう。
このような気配り、心遣いも、中国に
対する地理的、歴史的に正確な知識を
保有することによってこそ可能になるので
ある。
知識もないくせに、国際感覚の重要性を
一方的に叫び立てたり 「詰め込み 、 勉強」
の弊害を一方的に強調することは、極めて
危険ではないだろうか。
*毒入り餃子事件:ジェイティフーズが輸入した
07年10月1日製造の「中華deごちそうひとくち餃子」、
同月20日製造の「CO・OP手作り餃子」から有機リン系
農薬のメタミドホスが、同年6月3日製造の「CO・OP
手作り餃子」から同様のジクロルボスが検出された。
いずれも中国・石家荘市の天洋食品で製造されており、
日中の捜査当局で、薬物が混入した経緯や原因を
調べている。
(2008-02-19 朝日新聞 朝刊 大分全県1地方)
その8につづく…