特攻隊員は何故死んだのか(1)

 

「君のためにこそ俺は死んで行く」という映画を見た。
石原慎太郎氏の創案、作成 になるものだが、意外に
さらっとして涼やかな感じの映画であった。

見終わった後、 ロビーで語り合っている声を耳に
したが、若い人たちが率直に「良い映画だった
「感動した」と語っていたのには驚いた。

実は最近、鹿児島へ講演に行った折に、知覧の
「特攻追悼記念館」に立ち寄ってき たのである。
特攻隊員の中には十七歳の少年もいたそうである。

十七歳といえば高校二年生だ。自分が直接お預
かりしている生徒達の年齢であるだけに、私の思い
は複雑であった。

館長が付き添って詳しく説明してくださったが
毛筆で書かれている立派な遺書は、みな一週間
くらい前に書いたものだそうである。

前日になると、どれほど剛胆な人物でも、丁寧に
長い遺書を 認めることなどできるものではない。

前日にはみな、十行程度の簡潔な遺書を残して
いるだけなのだそうである。

「覚悟の死」を、まざまざと感じさせられ、身の引き
締まる思いがした。 非常時とは言え、私には十七
歳の青年を死地に送り込んだ事実には、違和感を
禁じ得なかった。

それは私が同年齢の生徒達を預かっている教師
だからなのかも知れない。 帰りの車中色々考えたが、
はたと思い当たることがあった。

 

その2につづく…

 

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