演奏後、ある方から、こんなことを投げ掛けられました。

「先生はあれだけ生徒たちが真っ直ぐな視線で見てきて、受け止めるの大変じゃないですか?」

一瞬質問の意味がわかりませんでした。むしろもっと向かって来てほしい。まだまだ足りないと思っているからです。

 

11月4日(日)、「平成30年度 第35回 北区合唱祭」本番が終わりました。
今年は全部で44団体が参加し、1日がかりの大きな合唱祭でした。


曲目は、「心の瞳」、「遥かなる夢に」の2曲です。

私たちはプロの合唱団ではありません。

しかし合唱部に集まったメンバーは、「歌うことが好き!」この思いが根本にあります。

2年生にとっては最後の合唱祭。

中には部活を途中で辞めようか葛藤を乗り越えた生徒や、やりたいことには手を抜かない!2つ3つ部活を掛け持ちしている生徒、人前に立つのは自信がないけど頑張って自分をさらけ出す勇気をもちかけている生徒、と様々な個性があります。

仲がとても良く、部活中は笑いが耐えません。

しかし、ただのマネキン人形ではない彼らは、時に「これは間違っていませんか?」「なんでですか?」と、遠慮なく意見も主張してきます。

その本音のぶつかり合いも乗り越えてきました。それが今の成長のあるメンバーです。

嘘のある形だけの歌声は確実にお客さんに見破られます。真の感動は呼びません。それは技術をある程度高めたら越えるべき真心だと思っています。

歌い終わって、今までの団体ではなかった、わーっと地鳴りのようなドヨメキがあり、思いがけない歓声が起きました。

なぜか、涙を流しているお客さんがたくさんいました。思わず客席を立って「素晴らしい!!」と叫ぶお客さんがいました。力強い拍手と、歓声が鳴りやまず、一瞬、今までになかった異様な光景に生徒たちも何が起きているのか分からず、息がとまり、足の裏から全身に鳥肌が立ちました。

演奏が終わり、普段泣かない生徒たちが、舞台から退場した瞬間泣き崩れました。

それだけ真剣でした。

本番前日にサッカーの試合で足を骨折した生徒は、無理をしなくていいのに、「自分がいなきゃ」と本番は痛み止めの薬を飲み、姿勢が悪くなる原因の固定具をはずし、歌い切りました。

舞台裏を歩くたび、すれ違う人ずれ違う人に、
「素晴らしかった!!胸が熱くなって泣いてしまいました!すごいエネルギーでした!本当に素晴らしかった!」
と帰り際まで、全く知らない方が感激のあまり声をかけてくださるのが絶えませんでした。

私にとって、また生徒たちにとっても、思いがけない反響でした。

生徒たちは、ただただ、真っ直ぐに。真剣に想いを全身で余すことなく伝えきった、それだけでした。

~お客さんの感想より~

・周りの人たちがみんな泣いてしまいました。今日1日の中でも一番印象深かった。

・(子どもが小さく赤ちゃんを抱いて聞いてくださる方から)自分の子どもが高校生になったことを思い巡らせたり、色んなことを考えさせられた。今日はいい日になった。

・(全く知らない男性合唱団の方から)ホールの一番後ろの端にいたのに、本当によく聞こえて、心に突き刺さった。心が洗われた。涙がなぜかこぼれた。胸が熱くなった。

・(初めて北区合唱祭に参加した方から)私たちはじめて参加させて頂いたけど、色々な団体の中でダントツ良かった!!私も泣いてしまってこんなの初めてです。周りの人もみんな感動して泣いてしまっていた。今日成立のみんなに会えて良かったです!本当に素晴らしかった!

 

心が洗われているのは、顧問の私も同じです。

生徒たちが、ひた向きに、全力で私の遠慮のない厳しい練習にも付いてきてくれ、純粋に音楽をしてくれました。私自身、辛いことがあって逃げ出したい時に、生徒たちの純粋な姿勢と歌声が、原点を取り戻させてくれました。次の原動力になります。

音楽と、人間の温かさに助けられ、今の合唱部はあります。

心温かく応援してくださった方全てに全身全霊、感謝申し上げます。

「遥かなり夢に」歌詞より

終わりのない旅の途中
振り向けば君がいる
人は皆、一人きりじゃ
生きていけないから

ありがとうございました。

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