8月に本学美術部在籍の生徒が「第67回学展」にて、入賞を果たしたことをお伝えしました。

【美術部】「学展」入賞レポート

学展は、学童生徒、大学生または一般からも幅広く油絵や彫刻、版画などの作品を公募する全国規模の公募展です。

9月に行われた、あかつき祭において美術部の展示を見に行ったところ、見事入賞した美術部在籍のYMさん本人が、展示の模様を説明してくれましたので、ついでにインタビューしてきました。

少しロングインタビューです。

美術部

トウキョウワンダーウォールっぽい。

YM 夏に行った合宿で、建物を書きました。

広報 こちらですね。

美術部

YM はい。今回の合宿は、『混色で学ぶ風景画-三色から自然を描く-』というテーマで、マゼンダ、イエロー、シアン、白、これだけで描くことにしました。

広報 自分で表現作りルールを作ったということですね。こういうのは、先生からの指示なのですか。

YM いえ、在校生が企画提案したんです。

広報 合宿は、何日あるんですか。

YM 4日のうち、制作期間が2日間でした。雨が降ってしまって。

広報 実際、どうでしたか。三原色での作品制作は。

美術部

マゼンダ、シアン、イエローを使用

YM 夏特有の緑を表現するのが大変でしたが、松の樹皮の質感は、うまく表せたと思います。

広報 三色で表現することで、技術的な向上もあるでしょうが、新たなインスピレーションも得られる道が開けるのではないでしょうか。

YM 建物は、構図的に要素が多いんですよ。森や林と違って。色を作るのと、精密描写と…。

広報 あ、黒を使えないんですね。

YM そういうことです。ただ、最近は、水彩のときから黒を使わないので、スムーズだったというのはあります。

広報 絵のキャプションに『草木の自然の色やコンクリートにうつる光を表現するための色を作るのが難しかったです。』とあります。

YM 光の反射とか、全てが影響し合っているから。この辺(岩のあたり)とか、書き始めた時は,陰になっていたんですが、午後には陰がなくなってしまって。

(YMさんと広報、次の部屋に入る。小品やデッサンが並ぶ。窓側にはディスプレイに合宿の様子を元にした映像作品が流れている)

美術部

YM 夜に講評会をやりました。『自分がなんでここを選んだのか』とか、説明して。先輩でもある美大生も教えてくれます。

広報 よく、イベントやデッサン教室に来てくださっています。先生はどうですか。

YM 特徴をつかんで伸ばしてくれます。公募展の絵を描いている時に全然話しかけなくて、何で話しかけてくれないんだろう、と思っていたら、先生が、『話しかけると分からなくなっちゃうから。考えている時にアドバイスすると、わからなくなっちゃうから話しかけないんだ』って言っていました。

広報 なるほど。甘さではない優しさがあるのでしょう。

(YMさんと広報、最後の部屋に入る。夏の体験入学の展示がある中、説が設えられ、ディスプレイで映像が流れている。二人、腰掛けて話す)

広報 絵は、いきなり描き始めるんですか。

YM さぐりさぐりあたりをつけてからですね。

広報 徐々に見えてくるんですか。

YM やりたい気持ちとコントロールしなきゃって気持ちがぶつかって。自分の力のなさで…。ちょっとうまくいっても、次の筆の時にはもう…。

広報 調子よく描いていると、一回ずれると修正が大変じゃないですか。

YM そういう時は,一回消しちゃいますね。日を置いてから書きます。

広報 消すのは勇気ですよ。

(ディスプレイの映像から美術部のパフォーマンス映像が流れる)

パフォーマンス

あかつき祭でのパフォーマンス(写真は昨年度)

広報 パフォーマンスは,気分転換になりますか。

YM 20分やるんですけど、楽しかった。

(モニターで、黒のスーツやシルクハットを転した部員たちが踊りつつ、立てかけた200号のキャンバスに絵の具をつけている)

広報 これ、アドリブですよね。

YM 書く場所は決まっていなくて。私、今からここに書くけど、あの人はここに描くかな、とか、さっき描いた人の上に描いていいのかなとか、考えながらやりました。

広報 美術を本格的に始めたのは、いつからですか。

YM 中学からやっていたんですけど、その時は美術が一番じゃなかった。勉強をやりなから、美術をやるという感じで。

広報 あくまで、勉強が主体であると。

YM でも、絵は褒められるけど、勉強は褒められない。それで、絵が嫌いになって。

広報 それは、やっぱり、努力している方を褒められたら嬉しいということですか。

YM やっぱり、自分の力を注いでいるものを見てもらいたいというのがあるじゃないですか。それで、高校になって、他の部に入ろうと思っていたけど決めなきゃいけない最終日、結局美術部しか見学しなくて、美術部に入りました。

広報 何か、心の揺らめきみたいなものはあったんですか。

YM 自分じゃなくて、他の人がキャンバスを持っているのを想像したら、落ち着かなくなって。自分じゃなくって他の子がキャンバスを持っているって思ったら、気持がざわざわしてきて。

広報 そんなパラレルワールドは、認められないと。

YM あの時、自分の気持ちに従って進んでよかった。

学展入賞作品

学展入賞作品「One scene」

広報 では、学展入賞作品について伺います。

YM はい。

広報 公募展の絵は、どれくらいかけたんですか。

YM (制作期間は)2週間あって、結局1週間で描きました。

広報 意外と短いですね。

YM 何を描くのか決まらなくて。

広報 やっぱり、ミューズの女神が降りてくるのを待つタイプというか、急に思いつくんですか。

YM ある日、題材が決まらなくて座っていたんですよ。

広報 それはどちらで。

YM 美術部の片隅で。それで、『公募展真面目に考えなくちゃ』って、自分を見つめました。

広報 そうしたら?

YM まっくろで。

広報 漆黒の闇ですか。

YM 私は前向きだから、悲しくないのに、悲しい絵にしてしまいそうで。

広報 完成作品は、明るくて、光溢(あふ)れる絵ですよね。

YM 白は自分の中で革命的でした。前向きなことを伝えようと思いました。

広報 光溢れる明日へ。ですね。絵の全体が柔らかい輝きに満たされています。

YM あくまでも前向きに自分と向き合う姿を見て欲しいです。

広報 まあ、ネガティブなことを書かないというのは,表現者としての嗜(たしな)みだと思いますよ。

(しばし、二人、映像を眺めている。200号の大きなギャンバスを正門から運び入れているシーンが流れる)

YM あの絵(学展入賞作品「One scene」)は,落書きから始まったんですよ。

広報 手遊(すさ)びですね。

YM 女の子は,鉛筆でさっと書いて周りは後からやりました。エアブラシを使ってみたかった。

広報 それが、あの柔らかな光の表現につながっているんですね。

YM 今回は、余白をうまく残せました。

広報 余白は言語芸術でも肝要なところです。

YM 前の自分だったら、『書かなきゃ』って、埋めちゃってた。

広報 それは、描くことの目的とか意義とかいうものが見えてきた表れなんじゃないのでしょうか。

YM これ以上手を加えないという確信を持てた作品でした。

広報 絵画に限らず、直そうと思えば、延々と直せるでしょうから、どこで自分から放すかだと思いますね。シチュエーションとしては、どういったものなんですか。

YM 自分のことを見つめて描いて…。実は、あんまり覚えていません。

広報 没入していたんでしょうね。

YM これからも、同じテーマで連作していかないといけない。

広報 自分が何をすれば良いのか、わかっているじゃないですか。本日は、ありがとうございました。

(微笑むYMさん)

広報には、YMさんの絵は、物が光に置き換わったらどう見えるかの実験にも見えました。ご本人は、それは意図してはいないとおっしゃっていましたが。

顧問の石川先生は、美術の活動を、『4月にアクションを起こし、学展で大きな世界にチャレンジし、上半期の収穫地点としてあかつき祭をとらえ、3月に開催するTAMENTAI展が集大成となります』と考えていらっしゃるようです。

 

作者後影

学展入賞

長くなってしまいましたが、YMさんからは、インタビューの進むにつれ、意志の強さを感じました。

広報には、現代アートをやっている年の近い知己がいるのですが、まあ、森田浩彰さんというのですが、以前、トークをした時にアーティストに必要なのは、意志だけ、センスとか努力は当たり前、と言っていました。

本当に、何より願っているのか。
願いは、意外と叶ってしまいます。

 

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