第100回全国高校サッカー選手権大会 山梨県大会

激闘の末、4年連続ベスト4入り!!

延長で甲府商を突き放す!

第100回全国高校サッカー選手権大会
山梨県大会 準々決勝
日大明誠 前半 甲府商業
後半
延長前半
延長後半

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手塚秀昭のホイッスル

tezuka

第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会4日目は、10月23日(土)、韮崎中央公園陸上競技場と同芝生広場で準々決勝4試合が行われ、本校、韮崎、日本航空、山梨学院、の4チームが準決勝に進出した。

冬の風物詩“八ヶ岳おろし”が吹き荒ぶ中、本校のキックオフで試合が開始された。開始直後から目まぐるしく攻守が入れ替わり、戦前の予想通り甲商はFW⑩をターゲットにボールを集める戦法に終始した。試合が動いたのは5分、本校は中盤でボールを奪い、⑩大月が右サイドでキープしサポートした②津田に繋ぎそのクロスをゴール正面の⑨粟生田が見事にヘッドで決め先制点をもたらした。その後も甲商の厳しいプレスがファールとなり、多くのFKを獲得したが得点には至らなかった。対する甲商はリズムよく縦に速い攻撃を続け、15分過ぎからは立て続けにチャンスを量産したがゴール前の人数が少なくシュートまでいかなかった。本校は甲商の攻撃のリズムに苦しみながらも、大月がその個人技を存分に発揮したボールコントロールからタメ(時間)を作り、周りの攻撃参加を容易にしてカウンター狙いの攻撃を続けた。甲商は、終了間際も風上を利したロングボールをゴール前に入れるが、数的不利な場面が多く、なかなかゴールを割ることが出来なかった。

後半に入り風上の本校はテンポ良くボールを繋ぎ始め、MFの5人がタイミングよく動き攻守に渡って試合の主導権を握った。甲商の縦攻撃にも④安達⑤柴田とのセンターバックがバランスよく守り、相手に決定的なシーンを作らせなかった。給水タイム後、本校は1枚目の交代カードを切り3回戦で追加点を挙げた⑲夏目を投入、一方甲商も攻撃のポジションの2名を続けて交代させ何とか同点を狙い攻め続けたが、相も変わらず単調な攻撃を続けた。本校が2枚目のカードを切り、そのまま逃げ切りを図ろうとした試合終了直前の39分、甲商は、左サイドからのロングスローがゴール前で混戦となりこぼれ球を決め劇的な同点ゴールとなり試合は振り出しに戻った。

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延長戦に入り、1分、本校は甲商の不用意なプレーでCKを獲得し、一旦はクリアーされたボールがこぼれ、それに反応した粟生田がゴール左に決め再度勝ち越した。その後もリズムよくパスが繋がり始め波状攻撃から、交代した⑱久保の強烈なミドルシュートはクロスバーを叩く等、押し気味に進め前半を終えた。後半、甲商はFKや⑳のロングスローを起点に攻めるが、本校の的確なポジションのDF陣の体を張ったプレーに阻まれ続けた。本校は、9分、カウンター攻撃でそれまで攻守に冴えを見せていた大月が、センターライン付近から個人技を生かしたドリブルで約30mを独走し、ダメ押しとなる3点目を決めた。それでも試合を諦めない甲商は、カウンター攻撃からのクロスをヘッドで決め1点差に詰め寄った。なおも攻め込む甲商はGKまで上げた全員攻撃を試みたが、本校のDFがはね返したボールをこの試合2得点の粟生田が拾い、無人のゴールに流し込み、試合を決定づけるハットトリックを達成し、準決勝へと駒を進めた。

この試合、先発メンバーは3回戦の北杜戦から変えずにMFのポジション5人を配置した。ロングボール主体の甲商の攻撃に対しセンターBK④安達⑤柴田が守備に専念したため、最終BKラインと前線との距離がやや間延びする場面もあったが、そのMF5人がセカンドボール(互いに競り合ってこぼれたボール)を拾い続け、守備でも貢献し中盤での主導権争いでは甲商を完全に上回った。又、両サイドBK②津田③星野が機を見て積極的に攻撃参加するなど、各選手が個人プレーに走らず与えられた役割を忠実に果たし‘ただチームの勝利のために’とプレーする姿に『チームの成長』が見られた。2失点したが試合全般を見ても完全に崩されたシーンは皆無に等しく、常に先手を取り試合の流れを相手に一度も渡さなかったことも勝因の一つである。特に前半開始早々の5分と延長前半1分の得点がそれを如実に物語っている。しかし、勝利まであとわずかの時間帯に、相手のワンチャンスで失点し延長戦まで持ち込まれた「現実」を直視すべきであり、終了の笛が鳴るまで全身全霊でプレーし続けることを願うばかりである。

先発メンバー(学年)⇒交代
GK ①永 田(2)
DF ②津 田(3) ⑬井 上
DF ③星 野(2)
DF・主将 ④安 達(3)
DF ⑤柴 田(3)
MF ⑥橋 本(2) ⑭小 林
MF ⑦佐々木(2) ⑮神 田
MF ⑧高 橋(2) ⑱久 保
MF ⑩大 月(2)
FW ⑪平 田(3) ⑲夏 目
FW ⑨粟生田(3)
リザーブメンバー
GK ⑰片 平(3)
DF ⑫菊 池(3)
DF ⑬山 本(3)
MF ⑭小 林(3)
MF ⑮神 田(3)
GK ⑯川 村(3)
MF ⑱久 保(3)
MF ⑲夏 目(1)
FW ⑳中 屋(2)

 

筆者のプロフィール ≪日刊スポーツ山梨版(現在休刊)より抜粋≫
手塚秀昭(てづか・ひであき)
tezuka1950年、山梨県塩山市(現甲州市)生まれ。1972年、日本大学明誠高等学校に英語科教諭として赴任。75年、サッカー部監督に就任。全国選手権県大会準優勝(82、83年)、インターハイ県代表(83,84年、私学勢として初)、関東大会県代表(88年)、日大付属大会優勝など県下屈指の強豪に育て上げた。“心”を優先とした指導で、独自の戦術を駆使し、常に強豪校を脅かした智将。又、県東部地区の第3種(中学生年代)の普及のため、2001年に「リヴィエール」を創設し、05年、06年に関東クラブ選手権県大会優勝(同大会出場)、06年、高円宮杯県大会(U15)第3位に導くなど、第2種、3種の2つのカテゴリーでそれぞれ優勝(第3種はクラブ選手権)に導いた。それらの功績が称えられ、08年、県高体連より「指導者功労賞」、14年、県体育協会より「体育功労賞」がそれぞれ授与された。
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