マタイによる福音書22章34節〜40節

今日の聖書の箇所の39節に、「隣人を自分のように愛しなさい」と書いてあります。隣人という単語を聞くと、どんなイメージが頭に浮かびますか。おそらく多くの皆さんは友人や知人のことを思いついたと思います。しかし、聖書が言っている隣人というのは、友人や知人だけではなく、全ての人に該当します。つまり、性別も、年齢も、人種も、好き嫌いも、国籍も関係なく全ての人が私たちの隣人だという意味です。ですので、私たちには愛さなくてもいい人が一人もいません。
「愛」という単語を聞くと、恋愛というニュアンスが強いかもしれません。けれども、ここでイエス・キリストが教えている愛は人が自分のことを大切にしていると同じように、隣人のことも大切にするという意味です。人のことを大切にするのは、もし人が困っていたら助けの手を差し伸べる、人の人権や命を尊重する、自分がしてもらいたいと思うことを人にしてあげる、そのような姿勢です。そこで、私たちは皆の友達にならなくてもいいし、皆の意見や方針に賛成しなくてもいいのです。けれども、神様は私たちが皆のことを大切にするように望んでおられます。
先々週の木曜日に、フランスのニースという町にある教会で、イスラム教徒の過激派の男性は包丁を使って三人の教会員を殺害してしまいました。その町にベンフェハットさんという人が住んでいます。彼は石油会社で働きながら、地元の青年サッカーチームのコーチをしています。さらに、ベンフェハットさんは熱心なイスラム教徒です。彼は地元の教会で、教会員がイスラム教徒から殺害されたと聞き、大変ショックを受けたそうです。それは、ベンフェハットさんは平和を大切にしており、過激派のイスラム教徒がテロ事件を起こしてしまったら、真面目なイスラム教徒であっても、過激派の教徒と同様に考えられてしまうからです。そこで、彼は驚くような行動を起こしました。彼は仕事やサッカー関係の仲間に声をかけ、次の日曜日に襲撃された教会に行きました。そして礼拝中に彼と仲間たちは教会の外に立って教会を守りました。礼拝後教会員とベンフェハットさんとその仲間たちは交わりの時を持ち、一緒に記念写真を撮りました。その話と写真がフランス中に広がり、多くの人に感動を与えました。さらに、ベンフェハットさんとその仲間たちはクリスマス礼拝や他の特別礼拝の時、警察官と一緒に教会を再び守る約束をしました。
日々の生活において私たちも自分の命と同じように、他者の命を大切にすることができるように、心がけていきたいと思います。

聖書科教員より

聖望学園では中高とも週に1度、礼拝が行われます。キリスト教の精神を学び心を落ち着かせると共に、ことば(メッセージ)を聞くことができます。毎週のメッセージから、人生を歩むヒントや心の支えを見つけてもらえると考えています。

部活や授業、行事では学ぶことのできない、「生きる糧」となるメッセージをもらっています。

ページ
TOP