味覚の秋です。
「旬」という季節性を大事にする日本文化にとって
秋という季節は欠かせない存在です。
実家のある南風泊(はえどまり)市場からもフグ初競りの知らせが届きました。
今回は魚にこだわって考えみましょう。
四周を海洋に囲まれた日本では、古来よりさまざまな形で
海洋生物を利用した生活を送って来ました。
「地理」や「歴史」の授業で学んだように、今から1万6千年前ごろに
氷河期が終わると、地球は次第に温暖化し、関東地方では海面が現在よりも
100~120メートルぐらい高かったことが分かっています。
この時代を「縄文海進」と呼んでいます。
約一万年続いたこの時代、人々はすでに高度な魚食文化を
持っていたと考えられています。
貝塚を始め、全国に残る縄文遺跡からの出土品には、
当時の食生活を物語るさまざまな遺物が見つかっています。
大森貝塚(東京)や加曽利貝塚(千葉)、中里貝塚(東京)のマガキ養殖の可能性、
三内丸山遺跡(青森)のサケとマダイの骨など、
日本人の魚食文化のルーツが次々と明らかになっています。
また、内陸においても山がちな地形と2000mm近い雨量に支えられ、
背稜山脈を挟んで日本海と太平洋に注ぐ大小の河川、
湖沼にはアユやヤマメなど多くの淡水魚に恵まれています。