1月20日の夜、かるた大会が行われる。今までの練習の成果、そして先輩方の強さを実感できる夜である。
「秋の田の…」
みんなが知っている有名な歌。それをねらっている人が必ずいると知っている私はこのふだをあきらめた。そして、次に読まれる歌のために集中した。
「かささぎの…」
私の手元にあるふだ。上の句を聞いてすぐ取った。顔をあげると他の人がびっくりしていた。上の句で取るのが悪いことだろうか。みんながつまんなくなるのだろうか。そんなことを考えながら、高くなってきたふだ山に新たなふだをのせた。
「ゆらのとを…」
私が好きな歌。けれど、強い先輩の前にあり、このふだを取れなかった。このふだを取りたかったけれど、後悔するのは後にして、集中した。
「ゆうされば…」
下の句を思い出し、ふだを探そうとすると、すでに先輩が取っていた。だんだん知っている歌が減ってきた。そして最後のふだが読まれた。
「やえむぐら…」
最後は取りたい。そう思いながらこの集中力を授業中に使いたいぐらい集中した。
「パシッ。」
気持ち良い音とともに私のふだ山の上に新たなふだがのった。

試合が終わり、取ったふだを数えると13枚だった。それは、私の最高記録であり、個人の6位になった枚数だった。

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