まず、人間という生き物の成長過程を振り返って見ます。
人間の子供は、約40週(280日間)母親のおなかの中で成長し生まれてきます。
この40週間という時間は、他の哺乳動物に比べてかなり長いといわれています。
(妊娠期間最長は象で約22ヶ月間といわれています。)
しかし、生まれてきたばかりの赤ちゃんは、言葉は喋れず、歩けず、排泄物も自分で処理出来ません。
ただ、お乳を飲み・泣き・ねむる・の繰り返しです。
人間以外の哺乳動物は、かなり早い時期から歩く事ができます。
外敵から身を守るためには、いつまでも産まれ落ちたところにいたのでは、
肉食動物の餌になってしまうからです。
このことを考えると人間は、哺乳動物の中で一番高度に発達しているにもかかわらず、
生まれた時は非常に未熟だといえます。
この未熟さは将来の可能性を大きく秘めていることを意味しています。
例えば、日本語しか話せない日本人から生まれてきた子供が、必ず日本語を話すとは限りません。
生まれた直後に英語しか話さないアメリカ人に育てられれば、その日本人の子供は、
日本人なのに日本語は話せず英語しか話せなくなるのです。
これは、英語に限らずどんな言葉でも同じです。
それは、脳の機能がどのような言葉でも話せるように準備が出来ているからなのです。
(しかし、成長していくうちにその準備された脳の機能は壊れていきます。後からでもその機能は作れますが、小さい時ほど早くは出来ません。)
逆に、生れ落ちて狼に育てられると、人間の言葉は話せず、暗くなると檻の中を動き回り、
「ウォー」と、吠えることしかできないのです。
人間は狼にもなれるのです。それほど人間の可能性は広いものなのです。
では、あなたは可能性をどこまで広げられますか。
「自分には無理だ、そんな事はできない。」と、決めつけてはいませんか。
前に書いたようにあなたの可能性は限りなく広いのです。
今なら何にでもなれます。
可能性の範囲を決めるのは他人ではありません。自分自身が自分の可能性を決めるのです。
猿は猿にしかなれませんし、競走馬は競走馬にしかなれません。犬は猫にはなれないのです。
私たちは人間です。限りない可能性を秘めた動物です。
人は生まれつき何かしら優れたものを持っています。
それを見つけ磨き輝かせましょう。
これがまさしく本校の教育理念「明明徳」です。
(上野)