校長先生から講評をいただきました。

今日の百人一首大会、行き詰まる奮闘お疲れ様でした。
皆さんのフェアーで真剣な対戦態度をとても心地よく見せていただきました。
さて、今日の百人一首大会は、2年生は昨年に引き続き2回目、1年生は初めの大会です。
国語の授業で和歌のことを学び、ルールなども学びながら練習を重ねてきたことと思います。
中学生という年代で、日本の伝統文化である百人一首に
慣れ親しむことが出来たことは素晴らしい経験だったと思います。
そして、今日は百人一首大会ですから、勝敗がありました。
勝つためにはたくさん取らなければならないわけで、
たくさん取るためには覚えなければならない、 覚え方のテクニックもあるようですが、
それぞれ独自の覚え方を編み出した人もいたのではないでしょうか。
それと共に、せっかく和歌に触れる機会ですから、ただ丸暗記するだけではなく、
一つ一つの歌に込められた情感も味わえるともっと素晴らしいと思いました。
せっかくの機会なので、今日の大会に関係するお話しをします。
まずは、記憶力の話しをします。

記憶力には、単純記憶力と連想記憶力があると言われます。
単純記憶力は、多くの情報を一気に覚えて長くキープする力で、この能力が最大に働くのは、
15歳から30歳くらいまでと言われ、
間もなく皆さんはまさにそのピークを迎えようとしています。
そして、もう一つの連想記憶力が最大に働くようになるのは、
なんと50代半ばにやってくるそうです。
しかし、最高の50代の連想記憶力を発揮するためには、当然のことながら、
10代からどれだけ豊かな情報を記憶に止めていくかが鍵になってきます。
私自身も時々不思議に思うことがあります。
昨日食べた夕食はなかなか思い出せなくても、中学時代に覚えたことが、
ふとした記憶の中に鮮明に思い出されることがあります。
間もなく皆さんは単純記憶力のピークを迎えるわけです。
皆さんにとって、今日の大会をもって、百人一首を覚えるのも一区切りとなりますが、
是非、この機会にそれぞれの歌の意味も含めてもう一度、
気軽に学校の行き帰りなどで、覚え直してみてはどうかと思います。
せっかくの機会ですから、
百人一首を一生の自分の記憶のトランクに詰め込んでみるのもいいと思います。

もう一つ、昨年の大会でも話しました。
水内先生から百人一首に関わる話しで、こんな素敵な話しを伺いました。
是非、1年生にも紹介したいので今年も同じお話しをします。
先生が学生時代に京都清水寺を訪れた際、たまたま老夫婦が近くにおられ、
おじいちゃんは車椅子でおばちゃんが押している。
なにげなく、おじいちゃんが『奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の』というと、
おばちゃんが『声、聞くときぞ秋は悲しき』と返す、そんな場面に遭遇したとの事でした。
その歌そのものの意味ももちろんありますが、
それに加えて長年連れ添ってきたお二人の夫婦の歴史も重ね合わせているようで、
すごく素敵な光景だったという話しでした。
この老夫婦のように、和歌が自分の生活の様々な場面で浮かんでくるようになると
素晴らしいと思いますし、 今回の大会が、皆さんにとっても、
そんなキッカケにもなればたいへん嬉しく思っています。
生徒の皆さん、今日は本当にお疲れ様でした。

また、改めまして保護者の皆様には早朝よりご参観を頂きまして
たいへんありがとうございました。

以上、本日の講評と致します。

(千葉明徳中学校・高等学校 校長:園部 茂)

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