今日から3学期が始まります。

今年の過ごし方、気持ちの持ち方についての話があり、新生徒会の発足にあたって

認証式も行われました。

 

 

2015年1月7日  中学3学期始業式校長講話

   新年、明けましておめでとうございます。

 2015年、それぞれに皆さんは、今年も良い年にしたいと願いながら、新年を迎えた

ことと思います。

 

  今日は、年頭に当たり、柔軟な頭脳を持とうという話しをします。

昨年も、青色発光ダイオードーの発明で、3人の日本人がノーベル物理学賞に輝いた

出来事は記憶に新しいところです。このノーベル賞の歴史を紐解いてみると、2006年に

アンドリュー・ファイアーとクレイグ・メローというアメリカの科学者が「RNA干渉」

という研究の功績によってノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

生物の細胞の中には、遺伝情報が組み込まれたDNAという物質があります。

それに対してRNAという物質は、簡単にいうと、そのDNAに組み込まれた遺伝情報を

コピーしたり、運搬したりする役割があります。詳しくは、高校の生物の授業の中で

勉強していくことになります。そして、この「RNA干渉」とは、DNAの中にある

遺伝情報を、ピンポイントでコピーしたり運搬したりするRNAの働きを阻害してしまう

方法を編み出す研究でした。この研究成果によって現在、様々な研究機関で生物の品種

改良や環境に優しい生物農薬などの研究が進められています。

  

  その中で今、注目を集めている一つに、飛ばないテントウムシの研究があります。

野菜などにつくアブラムシの天敵は、テントウムシです。これまでも、ハウス栽培では

アブラムシを駆除するためにハウスの中にテントウムシを放す研究が行われてきました。

テントウムシは、最初の数日は威力を発揮します。ところが、数日経つと小さな隙間から、

ハウスの外に逃げていってしまうのでした。そこで、この「RNA干渉」という技術を

駆使して作られたのが、羽のない飛ばないテントウムシでした。なんと昨年6月には、

その羽のない飛ばないテントウムシが生物農薬として実用化され話題となりました。

 

一方で、なんと、この飛ばないテントウムシ研究に全く別の視点から挑戦した高校生の

グループがありました。同じように飛ばないテントウムシを作るために、その高校生たち

は何をしたかというと、普通のテントウムシの羽の中央を何かで貼り付けたらどうかと

発想したのです。最初は、セメダインやボンドを使いましたが、なかなかうまくいきま

せんでした。そして、たどり着いたのが、なんと爪に塗るマニキュアでした。そこまでは、

うまくいきましたが、次の課題は、動き回るテントウムシの羽にマニキュアを塗る技術

でした。普通では、一匹の羽にマニキュアを塗るのに一分もかかってしまうのでした。

そこで、高校生達が考えついたのが、掃除機を使うことでした。掃除機の筒に帽子の

ような物をつけ、口を広くして、そこに女性用のストッキングを張ったそうです。

掃除機のスイッチを入れ、そこにテントウムシを置くと、テントウムシは動けなくなり

ます。すると、一匹あたりわずか10秒でテントウムシの羽にマニキュアを塗ることに

成功したのでした。この研究は、実は千葉県内の成田西陵高校という学校の生徒達が

成し遂げたもので、今、新たな生物農薬として特許を申請しているとのことです。

 

  まさに、これこそが発想の転換です。一方では、ノーベル賞を受賞した「RNA干渉」

から迫った研究に対し、この高校達の研究は、全く別の発想から同じ目的に迫っていった

のです。こんな話題を聞くと皆さんもなにかワクワクしてきませんか。

皆さんが、これから歩んでゆく未来には、ほんの少し発想を変えてみるだけで多くの

選択肢が秘められているように思います。是非、皆さんには、そんな柔軟な頭脳を持った

若者に成長していって欲しいと願っています。

 

  さて、今年4月には、3年生は待望の高校に進級していきます。1・2年生はそれぞれに

進級し、憧れの先輩として新入生を迎えて欲しいと思います。

  それでは、皆さん一人ひとりが、この1年、自己の目標に向かって頑張っていく決意を

固める思いを込めて、全員で3本締めを行います。

  全員起立、ヨーオ…………………

皆さん、頑張りましょう。

以上です。

千葉明徳中学校・高等学校 校長 園部茂

 

(新島)

 

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