学校長式辞

  日一日と春の気配が深まり、春本番が、待ち遠しい季節になって参りました。

  本日、ここに淑明会会長荒木由光様はじめ多くのご来賓の皆様方をお迎えし、

また大勢の保護者・ご家族の皆様方にご出席をいただきながら、千葉明徳中学校、

第二回修了式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。

  保護者の皆様方におかれましては、開校二年目の千葉明徳中学校に期待をお寄せ

頂き、お子様を本校に入学させていただきました。、入学からの三年間、様々な

面で、本校の教育活動に全面的にご理解・ご協力を賜りましたことに心より感謝

申し上げます。

   そして、只今卒業証書を授与されました48名の皆さん、あらためて千葉明徳

中学校の卒業おめでとう。今、皆さん、一人ひとりに卒業証書を手渡しました。

この晴れの舞台で手にした卒業証書は、義務教育の九カ年の全課程を修了したと

ことを表しています。また、その卒業証書には、皆さん一人一人のこの三年間の

学び、そして嬉しかった思い出、辛かった思い出など、すべてが凝縮して詰まって

います。是非、一生大切にして欲しいと思います。

  さて、卒業生の皆さんが、本校で過ごした三年間には、日本国内、そして世界でも、

様々な出来事が起こりました。皆さんが一年生のころ、京都大学の山中伸也教授の

iPS細胞の発見によるノーベル賞の受賞に日本中が湧きました。また、この年、

高さ六三四メートルの東京スカイツリーも開業しました。そして、皆さんが二年生の

年、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。

そして、今年度、皆さんが三年生になってからも、青色発光ダイオードーの研究と

LEDの開発で日本人三氏がノーベル物理学賞に輝きました。また、イスラム圏の

国々では、様々な紛争が激化し、多くの命が失われています。そんな中で、十七才の

マララ・ユスフザイさんが、身を呈して女性の教育権を訴えた、ノーベル平和賞は、

平和の尊さを世界に示しました。また、皆さんが六年生になる直前に起きた三・一一

大震災から、すでに四年の月日が経ちました。しかし、今もなお22万9000人に

のぼる皆さんが仮設住宅に暮らし、行方不明者も2、584人にのぼります。

私たちは、この現実をしっかりと見つめ、特にこれからの日本を担っていく皆さんは、

日本人として、同じ人間として、今後も三・一一大震災の被災地や様々な紛争等で苦しむ

皆さんの、心の痛みに寄り添える大人になっていって欲しいと願っています。

  こうした中で皆さんは三年前、千葉明徳中学校の入学式に臨みました。真新しい制服に

身を包み緊張の中で、千葉明徳中学校の生徒であることにプライドを持ち、行動する哲人と

して成長していくことを決意したことと思います。そして、いよいよ、始まった皆さんの

学校生活、入学してすぐの一期生と共に行った『入学記念餅つき大会』では、大せいな

食欲で元気にお餅をほおばる皆さんの笑顔が忘れられません。土と生命の学習では、

二年間に亘り、稲作を経験しました。二回目の田植えや稲刈りでは、ちょっと誇らしげに

後輩を指導する皆さんの姿を思い出します。畑でも、沢山の野菜を栽培し、自分たちで

育てた命を頂く貴重な体験もしてきました。そして、明実祭、皆さんは三回の明実祭を、

経験しました。特に三年生での学年演劇は、皆さんの創意工夫がふんだんに盛り込まれ、

多いに会場を湧かせました。さらに、奈良・京都への修学旅行、サイクリングで巡った

奈良飛鳥路、京都の建仁寺で経験した夜の座禅、友達と知恵を絞りながら歩いた京都での

自由行動、どれも掛け替えのない中学校生活の思い出として残っていくことと思います。

  そして、皆さんは、この中学三年間、授業を通しても、様々な『学び』を積み重ねて

きました。その学びの集大成として、三学年では、課題研究論文に取り組みました。

言うまでもなく千葉明徳が育む人、それは『行動する哲人』です。完成した論文集には、

皆さんの三年間の学びの集大成を見ることができました。その発表会では、一年生のとき

から培った持ち前のプレゼンテーション能力をいかんなく発揮し、行動する哲人に、

また一歩、前進した皆さんの姿を見ることができました。皆さんとの三年間の思い出は

つきません。

  二期生の皆さん、皆さんは、一期生と共にこの千葉明徳中学校を作ってきれたたパイオ

ニア的存在です。二期生の皆さん、今日まで私たちと共にこの千葉明徳中学校を作って

きてくれて、本当にありがとう。

  さて、間もなく皆さんは、中高一貫コースの後半の三年間に進む人、また別の高校に

進む人に分かれます。いま、皆さんにとって高校生活はどのように映っているのでしょ

うか。特に高校での学習面は、中学とは全く違うものになってきます。大学進学を目指す

人にとっては、高校一年生からの授業は、そのまま三年後の大学入試に繋がります。

そして、皆さんの三年後の進路に普通科はありません。これから始まる高校三年間の中で、

皆さんは確実に自分の進む方向・目標を定めなければなりません。

  そこで、結びとして。皆さんに英語の諺を一つ紹介します。

それは『ノープレシャー・ノーダイヤモンド』という諺です。直訳すると『圧力をかけな

ければ、ダイヤモンドは出来ない』という意味です。実は、ダイヤモンドという物質は

炭素という元素から出来ています。その炭素がゆるく固まると炭になり、少し力が加わると

黒鉛という物質になり、さらに強い圧力と高熱が加わった時に地球上で最も堅い構造の一つ

である立体的なダイヤモンド構造が誕生するのです。皆さんのこれからの目標をダイヤモン

ドだとすると、その目標を達成するためには、時として大きな圧力や高温、つまりは自分自

身に大きな負荷をかけなければ、自分自身のダイヤモンドを作ることは出来ないのです。

最大限の努力をすること、それは時にして辛いこともたくさんあります。しかし、それを

踏ん張って乗り越えた先にあるもの、それが自分自身の見事な輝きを放つダイヤモンドが

完成した瞬間です。

『ノー・プレシャー、ノー・ダイヤモンド』これからの三年間、地道な努力を積み重ね、

自分自身のダイヤモンドを完成させ、高等学校を卒業し、大学・そして社会へと羽ばたいて

いってくれることを心から願っています。

   最後に 生徒の皆さんにお願いがあります。皆さん、こんにちまで、皆さんを支えて

下さった、ご家族の皆さんに、今日、帰宅したら必ず『有り難うございました。 

これからもよろしくお願いします。』という一言を申し上げて下さい。

それでは、いよいよ、皆さんの新たなステージへの旅立ちの春です。

今、皆さんは、これからの高校生活に期待と闘志を燃やしていることと思います。

皆さんの前途が、洋々たるものであることを確信し、将来への末永い、ご多幸をお祈りし、

式辞と致します。         

                      平成二十七年三月二〇日

                     千葉明徳中学校・高等学校       校長 園 部  茂

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