今日で2015年の授業も最後となりました。

今年の世相をあらわす漢字も「安」に決まり、その字のごとくさまざまなことが

ありました。

「安保関連法案」が審議され、採決に国民の関心が高まったことや、世界で頻発する

テロ事件や異常気象など、人々を不「安」にさせた年でもありました。

みなさんにとって、来年はどんな年になるでしょうか。

また、どんな年にしたいでしょうか。

 

今日の終業式での生徒のみんなに送った校長の言葉を載せておきます。

 

「2015年12月22日 千葉明徳中学校・高等学校第二学期終業式講話」

 

2015年も残すところ数日となりました。二学期は、曇り・雨の続く中で始まり

でした。そして、なかなか寒くならない冬、最近になってやっと冬らしい気候に

なってきました。

 

さて、今日は終業式にあたり、まだ記憶に新しいノーベル賞の話しをします。

今年、日本人では大村 智さんと梶田 隆章さんのお二人がノーベル賞に輝きました。

今日は、ノーベル賞の中で、あまり日本では話題にならなかったノーベル平和賞に

ついてお話しをします。

 

今年のノーベル平和賞は何だったか、皆さんは知っている人はいますか。中学生の

皆さんには、少しだけ難しい話しになってしまいますが、頑張って聞いて下さい。

今年のノーベル平和賞は、チュニジアという国の四つの民間団体が受賞しました。

それは、『チュニジア国民対話カルテット』という団体です。チュニジアという

国は、アフリカ大陸の最も北に位置し、地中海に面した小さな国です。チュニジア

では、長きに亘り、軍事独裁政権が続いていました。しかし、2010年に、一人

の青年が自分の未来を憂い、民主的な社会の実現を訴えて、焼身自殺を図るという

事件が起きました。このことに、端を発し反政府デモが起こり、やがて国内全土に

拡大していきました。そして、ついに23年間続いた政権が崩壊したのでした。

この事件は、チュニジアを代表する花の名前から『ジャスミン革命』と命名されま

した。さらに、この民主化運動はチュニジアだけにとどまらず、エジプトなど他の

アラブ諸国へも広がり、各国で長期独裁政権に対する国民の不満と結びつき、数々

の政変や政治改革に繋がっていきました。一人の青年の命を賭けた訴えに始まった

一連の動きは、『アラブの春』と呼ばれています。社会の授業で高校生はすでに

勉強したと思いますが、中学生は、これから勉強することになると思います。

 

こうして、チュニジアでは暫定政権が発足しましたが、相変わらず与野党間の対立

はくすぶり続け、しだいに激しさを増していきました。そんな中で、暴力ではなく、

あくまでも『対話・話し合い』で問題の解決をすべきだという市民運動の盛り上がり

から、四つの団体からなる『国民対話カルテット』という枠組みができあがりまし

た。四つの団体とは、労働組合の連合体、経営者の連合体、そして人権擁護連盟、

全国弁護士会でした。この四つの団体は、対立する与野党の仲介役となり、機能

停止に陥っていた議会の再開に道筋をつけ、さらに議会では男女平等や人権尊重を

認める新しい憲法が承認され、報道の自由や多くの人権なども認められていきまし

た。『国民対話カルテット』は、社会の問題を解決していくときに、武力や暴力

ではなく、『あくまでも対話・話し合いによって解決すべきである』ということを

粘り強く訴え続けてきました。

 

私は、このニュースを聞いて思いました。ノーベル賞の選考委員会は、今、現在も

世界の様々な国や地域で戦争やテロが繰り広げられる中で、その解決への最大の

糸口は、『対話・話し合い』であるということを広く世界にアピールする意図が

あったのではないかと感じました。今年、日本でも国民の多くの反対がありなが

らも、安全保障保障関連法案が強行採決をされましたが、もっともっと対話・話し

合いが必要だったのではないでしょうか。皆さん自身の、日常生活ではどうでし

ようか、スマホや携帯電話が普及する中で、メール・ツィツターなどの顔の見えな

い中でのやり取りから、不必要ような誤解が生まれたり、さらにはいじめにまで

発展してしまうようなことも少なくないと聞いています。是非、この機会に皆さん

には、人間同士が理解し合うためには、どうしても、Face to Faceで

対等・平等な立場での、『対話・話し合い』が必要であるということをこの機会に

しっかりと胸に刻んでおいて欲しいと思っています。

 

続いて、学内の出来事で私が感動した出来事も沢山ありました。中学の明実祭、

生徒会本部中心に多くの改革があり、まとまりのある素晴らしい一日でした。

高校の明高祭、若さ溢れる数々のパフォーマンス・1年生のクラス演劇など年々、

質的にも高くなってきていることを感じています。体育祭、中学は初めてお昼を

挟んでの終日開催としました。閉会式では、高校野球部の関東大会出場にエール

を贈る一幕など、中高の一体感にも包まれました。高校の体育祭、年々、迫力を

増してきています。閉会式前の全員での校歌、是非高校生活の大切な記憶として、

しっかりと各自の胸に刻んでおいて欲しいと思います。

 

高校の運動部の活躍もめざましいものがありました。チアリーディング部の全国

三位、野球部の秋季大会準優勝・関東大会への出場、サッカー部男子のインターハイ

予選ベスト4進出、サッカー部女子のの千葉県リーグ優勝・水泳部の関東大会・国体

への出場など全校に誇りと勇気を与えてくれました。

 

様々なことがあった2015年も、あと数日で新たな年、2016年を迎えようと

しています。高校三年生は、卒業式までの約二ヶ月、是非、有終の美を飾って欲し

いと思います。そして、一般受験でこれからが本番という皆さん、健闘を祈ります。

そして、中学生・高校1・2年生は、それぞれが進級し、4月からは、新たな後輩達

が入学してきます。来るべき年、みんなで大いに学習し、部活や学校行事も盛り上げ、

さらに誇りの持てる学校へ進化させていきましょう。

 

それでは、年末年始を元気に過ごし、希望に満ちた新年を迎え、3学期に臨んで

下さい。皆さん、良いお年をお迎え下さい。

 

千葉明徳中学校・高等学校

校長 園部 茂

 

DSC08957

ページ
TOP