地理部では12月17日に2学期のフィールドワークを行いました。今回の調査地域は千葉県香取市の佐原地域です。千葉県北東部に位置し、利根川が流れる佐原地域は古くから香取神宮の門前町として栄えてきました。江戸期に利根川が現在の流路に改修されると、利根川流域の特産品を内陸水運により江戸へ運ぶ航路が整備されます。佐原は河港としての重要性が高まり、水運を中心とした商都となります。「お江戸みたけりゃ佐原へござれ」と謳われるほどに発展し、市街地の中心を流れる小野川沿岸や、香取神宮へと続く香取街道沿いには多くの商家が立ち並びました。現在でも江戸期から近代にかけて建築された商家や西洋文化を取り入れた近代建築が多く残り、この一帯は関東地方で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。その商家の一つ、米屋で醸造業を営んでいた伊能家の入り婿が全国測量を行った伊能忠敬です。佐原地域には忠敬が暮らした旧邸や「伊能図」を展示した記念館などの施設が見られます。今回のフィールドワークでは商都「佐原」の地域性を考察しながら伊能忠敬の縁の地を巡りました。この報告は、来年度に発刊を予定している「ちりレポ第24号」で行う予定です。
今回の調査地は千葉県北東部の佐原地域です。

最初の見学地は香取神宮です。経津主大神を祭神とする古社で、8世紀に作られた「常陸国風土記」にはすでに社のことが記述されています。下総国の一之宮であり、関東地方を中心に社を構える香取神社の総本社です。部員達は厳かな雰囲気の中で参拝したり、境内を散策したりしていました。
参拝後、地元の農畜産物や特産品が集まる道の駅「水の郷さわら」へ向かいました。併設されているレストランでは主に香取市や千葉県産の食材を使用した料理が提供されていました。霞ヶ浦のナマズ定食や、伊能忠敬の測量わらじ丼などユニークなメニューが多く、地産地消することで地元の経済活動に貢献しました。
利根川右岸の入り江には、ハクチョウやカモが多く飛来していました。また、周囲には水門が多くあり、利根川流域の低地であることがよく分かりました。
午後は佐原地域の町並みを巡りました。市街地の中心を流れる小野川は、江戸期に水運で栄え、川沿いには多くの商家が立ち並びました。主に、米、酒、醤油、油などが特産品として出荷され、利根川と江戸川を経由して江戸に運ばれました。最盛期には140軒もの商家が軒を連ね、特に酒については江戸で飲まれる酒の4分の1が佐原のものと言われるほど繁栄しました。現在でも小野川沿いには江戸期から明治期にかけて建設された商家が残り、1996年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。部員達は町歩きや舟に乗っての景観観察で、当時の繁栄ぶりを体感していました。
伊能忠敬の家は、小野川沿いで米の売買や酒の醸造を営む商家で、忠敬は家業の合間に天文学や暦学の勉強をしていました。そして49歳で隠居し、江戸へ出るまで佐原で暮らしていました。忠敬が商いを行い、生活していた商家は現存していて、自由に見学できました。また、近くには記念館があり国宝に指定されている「伊能忠敬関係資料」が所蔵されています。部員達は展示品の数々を真剣に観察し、歩測による全国測量で作図された地図の正確さに驚いていました。
今回のフィールドワークは高校生の引退後、初めて中学生が主体となって行いました。そして早速「ちりレポ」に掲載するため執筆作業を始めています。今後は3学期のフィールドワークと春合宿に向けての活動が続きます。新体制となった地理部の今後の活動に是非ご期待下さい!!
(地理部顧問)

















































