地理部では6月8日に1学期のフィールドワークを行いました。今回の調査地域は神奈川
県の小田原です。小田原市は県南西部に位置する人口約18万人の都市です。北条早雲が小
田原城を奪取した15世紀以降、酒匂川によって形成された狭隘な足柄平野に城下町が形成
されました。江戸期になり東海道が整備されると、街道の難所「箱根の峠越え」を控える
宿場町として、本陣4軒、脇本陣4軒、旅籠95軒を構える東海道最大規模の宿場町となり
ました。その結果、小田原には多くの人や物資が集まり、さまざまな産業が立地しました
。特に市域南部に面する相模湾は、箱根山や丹沢山地から流入する河川から豊富な栄養分
が供給される好漁場で、水産業が発展しました。魚を加工した「かまぼこ」は江戸期から
製造販売する店が市内に多くあり、小田原の特産品になっています。今回は小田原城とか
まぼこをはじめとする水産業に注目してフィールドワークを行いました。この報告は、今
年度の文化祭に合わせて発刊予定の「ちりレポ第23号」で行う予定です。
今回の調査地は神奈川県の小田原です。
午前中は全員で小田原城へ向かいました。小田原駅から至近にあり、駅ビルを出るとす
ぐに天守が見えますが、城下町特有の丁字路や鉤(かぎ)型の街路、城内の入り組んだ門の
配置に阻まれ、天守は見えどもなかなかたどり着きませんでした。部員達は「防衛機能を
備えた城下町」の空間構造を実感していたようです。
午後は二班に分かれて、小田原の水産業について学びました。高2生のグループは小田
原漁港へ向かい、相模湾や港のようすを見学しました。小田原漁港の周辺には、水揚げさ
れた水産物を販売する店や貯蔵する倉庫が集積しています。また、新鮮な魚料理を提供す
る多くの飲食店が軒を連ね、観光客で大変賑わっていました。部員達は刺身や海鮮丼のほ
か、小田原漁港で水揚げ量が多いアジを使った干物やフライなど、地域の食材を堪能して
いました。
中学生を中心としたもう一つの班は、小田原を代表する水産加工食品であるかまぼこに
ついて学びました。かまぼこは魚のすり身を練って形成し、焼いたり揚げたりした食べ物
ですが、小田原ではグチ(イシモチ)という魚のすり身を板の上に半円型に付け、蒸気で
蒸すという製法で作られています。部員達はかまぼこ職人の方に作り方を教わりながら、
かまぼこ作りを体験しました。板に付ける作業はとても難しく、部員達は悪戦苦闘してい
ましたが、江戸期から受け継がれてきた伝統技術の凄さと大切さを学んだようです。
かまぼこが蒸し上がるまでの間、かまぼこと一緒に作った焼きたてのちくわをいただき
ました。自分たちで作ったちくわの味は格別だったようです。
現在、部員達はフィールドワークの成果を「ちりレポ」に掲載するため執筆作業を行っ
ています。そして校内の活動では、夏合宿で訪れる大阪でのフィールドワークと大阪万博
について事前学習を進めています。今後の地理部の活動をお楽しみに!!
(地理部顧問)