実践女子大学・渋谷キャンパスで開催された「源氏物語の、実践」というイベントに参加させていただきました。こちらは創立当初から『源氏物語』研究の伝統がある大学です。今回は研究成果の一部を公開し、「実際に体験することで古典への理解を深めてほしい」という、先生方の強い思いのもとに実現されたものです。
オープンキャンパスと同時開催でもあり、行列ができるほどの人気でした。

【香雪記念資料館の見学】
まず展示を見学してから体験ができたことで、生徒も理解が深まったようです。
特にこれから体験するものと同じ、復元された「十二単」(※正式には「装束(しょうぞく)」)のかさねの色目や文様の美しさ、檜扇の鮮やかさなどを間近で見られたことに、一同感動しました。

また、鎌倉時代の巻子本(巻き物)なども直に見ることができました。くずし字から読める字を見つけては喜ぶ生徒も多く、長い時間をかけていました。
特に高校生は『源氏物語』の英訳本も読み、作品のイメージを膨らませていました。今後の授業で生かされることを期待します。

さらに断簡(本の切れ端)の研究におけるマイクロスコープの役割を写真で学びました。文系でも理系の技術を用いた研究が進んでいることに、幅広い学びの重要性を再確認しました。

生徒たちのさまざまな疑問やイメージが浮かび、どんどん興味の幅が広がっていく姿が印象的でした。

【体験】
装束(十二単)体験
『源氏物語』で光源氏の最愛の妻・紫の上が着ていた「紅梅の匂い」という装束を復元したもの。お家元の監修で、現代の皇族が使用される形で再現されたそうです。装束(約16kg)や檜扇の重さも感じられたことが大きかったように思います。
大学生スタッフの方に写真を撮っていただいたり、友人同士で写真を撮り合ったりするなど、とても充実した時間を過ごしました。

 
髪の長い人も、短い人も、みんなすてきです!

お香体験
『源氏物語』に登場する「荷葉(かよう)」という夏のお香(薫物(たきもの))を体験しました。お家元の監修で、復元されたのだそうです。
香道研究会の学生さんのご説明もわかりやすかった上に、見るもの聞くもの新しく、撮影する生徒も多くいたようです。
特に中学生は、文香(ふみこう)の愛らしさや、『源氏物語図屏風』の絵ハガキの美しさにも魅了され、大切に持ち帰っていました。

中央の箱の中から香りを体験しました。  
当時はお香をたきしめて、装束(着物)に香りを移して楽しんでいました。
大学生の皆さんの手作り文香(和紙の折り紙に香りを移したもの)です。「荷葉」の香りが家でも楽しめました!

マイクロスコープ(電子顕微鏡)体験もさせていただきました。
これで当時の写本の紙を拡大すると繊維の成分まで見えるので、その紙の時代測定もできるものです。そのため分解された本の修復などにも期待されている最新技術です。
研究所の先生方は、機械を操作しながら詳しくご説明くださった上に、ご厚意で、中学生は実際に使わせていただきました。

参加した生徒たちは、古典の世界の見え方も新しいものになったと確信しております。教科書で読んでいるものが目の前に復元されている驚きは、大事な思い出に刻まれました。
いただいた美しいパンフレットも、今後の学びにつなげていきたいと思います。

実践女子大学の諸先生方をはじめ、関係者の皆様には、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 
着付けの先生方が、装束で「空蝉(うつせみ)」の形を作ってくださいました。

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