★★★「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」について★★★
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文科省は、昨年の7月に上記のテーマにより検討会が実施され今後の英語教育についての5つの提言と具体的施策を上げている。その内容を少し考えてみたいと思います。
平成23年7月13日
初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室
文部科学省では、生徒の外国語能力の向上のため、「外国語能力の向上に関する検討会」を設置し、生徒に求められる英語力や英語教員の質の向上、ALTやICTの活用等について、今後の施策に反映させるため、検討を進めてきました。
この度、検討会における審議まとめである「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策~英語を学ぶ意欲と使う機会の充実を通じた確かなコミュニケーション能力の育成に向けて~」がとりまとめられましたので、公表いたします。
さて、ここで討議されたことも東京都の円卓会議で話された内容とほぼ同じです。内容的には、斬新な良策は全くなく今までの私学が取り組んできたことを全国の公立学校でも実施することを訴えているように感じます。しかし、これらの対策を本気で実施するだけの国財を英語教育に賭けるつもりなのでしょうか。
提言の中で、TOEFL試験の国別調査で日本のスコアが低いことが上げられ、日本人の英語力の低さを証明してますが、この試験のスコアを本当に上げるためには、現在の指導要領と学習量では全く歯が立たないことは明白です。また、国語力の伸張が重視されていますが、国語力には、古典や漢文など日本古来の文化言語の学習内容も含んでいることを忘れてはいけません。母語である日本語力を伸ばすことには大賛成ですが、国語力という視点からその定着を強調し過ぎると子供たちへの学習負荷が他国に比べ多くなります。これに加え日本人は、日本史、家庭科、保健体育科なども学習し、筆記試験でその知識を問ている現状を把握してほしいと思います。その中で子供たちに、更に英語を学習する時間を確保させ、他国と同レベルの英語力まで要求をしていることに限界がないのでしょうか。もし、TOEFL試験のスコアを日本人の英語力の指標とするのであれば、センター試験の英語をTOEFL試験に変更すればすぐに解決するはずです。現在のセンターの英語試験とTOEFLの試験内容を比較すれば、その要求されている難易度が全く異なることが理解できます。ただ、入試の判断材料となれば留学を希望していない優秀な生徒も受験し、英語シラバスもかなり変更する必要があるからです。
また、外部資格試験に関しても学習の意欲を高める手段として取り組みことには異論はありませんが、それぞれの試験には欠陥の部分があります。以前のTOEICの教員セミナーの講演会でもお話をしましたが、英検にはWritingを測る試験がない、TOEFLは中学生には難し過ぎる、TOEICはビジネス英語が多く中高生には向かない、GTECにはSpeakingを測る試験がない。これらの試験のほとんどがアメリカで作成されたものばかりであることにも疑問を投げかけたいと思っています。アメリカのビジネス戦略に日本が呑み込まれているように感じてなりません。なぜ、英語の4技能を伸ばすことが強調されているにもかかわらず、それを評価できる試験の存在を誰も指摘しないのでしょうか。それは、「ケンブリッジ英検」だと確信しています。この試験は、英検3級レベル~1級レベルまでのグレードを有し、試験では4技能すべてを評価され合否判定が下されます。デメリットは、受験料が高額であることです。もし、国策として英語教育に力を入れるのであれば、受験料の半額を負担し、この試験を高校入試や大学入試の資格試験として採用することによって、現場の英語授業内容が一変に変わります。
最後に、優秀なNative教員を年間600人採用することも提言されていましたが、震災の多い、原発事故があった日本に来日してくれる方がどれほどいるのでしょうか。考え方を少し変えて、日本の英語教育を「アジアで通用する英語力」と位置づけ近隣の国とのコミュニケーション力を高めることに力を入れていくことを提案したいと思います。ITを活用した英語授業や教科授業などを近隣のアジア諸国と進めて行くことはとても教育的な効果があると思います。英語は知識ではありません。単なる意思疎通のツールの一つです。しかし、そのツールを使うためにはルールがあります。そのルールを日本人英語教師が指導していくことにより日本の英語教育は、かなり改善されるはずです。
英語科主任・国際交流センター長 久保 敦
