中学3年 修学旅行 3日目 京都で自主研修
建仁寺「座禅体験」 ~おいあくま~
修学旅行3日目の夜です。夕食後で体が温まっているとはいえ、頬にあたる風に寒さを感じながら、少し緊張しながら歩いていきました。徒歩20分、「京都で最も厳しいお寺」と言われている建仁寺に到着し、心静かに整列して時間を待ちました。この待っている間、これから始まる座禅体験に君達の心の中にはきっと不安と期待が交錯していたことでしょう。そして、私語が一切許されない寺内へ案内され、用意された座布団に座りました。穏やかな話し方ではありますが、その内面には一本の金筋が通っていると感じられる厳しい御坊さんから、ゆっくりと座禅のやり方の説明を受けました。
いよいよ座禅開始です。体が左右に揺れる生徒、胡坐の具合を修正する生徒、チラッと周りを見る生徒、などと最初こそ何人かいましたが、時間の経過とともに君達の集中力が高まっていくのが感じられました。人の話し声は勿論のこと車が通る音さえもありません。聞こえて来るのは鈴虫の奏でる音だけ、という静寂に包まれた実に心地よい空間でした。鈴虫の音に秋を感じながらも、ふと気づくと私は君達の成長ぶりに心から感動していました。あんなにも幼く落ち着きのなかった君達が、2年半たった今こんなにも静かで穏やかな空間を作り上げることができている・・・、君達は本当に大きく成長したんだな・・・と。この静寂の時を君達と一緒に過ごし、君達の成長ぶりを自分の目で見ることが出来るとは自分はなんて幸せなことだろう、教師冥利に尽きるなー、と本当に感銘を受けたのです。鐘の合図で座禅体験が終わり15分間はあっと言う間に過ぎ去り、君達の高い集中力を御坊さんが褒めて下さっていました。私にとっても最高の15分間であり、このような静寂な時間を1分でも多く続けたいと終了をとても残念に感じていた程です。
そして、本体験の総括として御坊さんのお話「おいあくま」が始まりました。「お」は怒るな、「い」は威張るな、「あ」は焦るな、「く」は腐るな、「ま」は負けるな、いずれも人間の弱さを克服する教訓です。
「怒るな」 ちょっとしたことにも腹を立てない
「威張るな」 謙虚な姿勢
「焦るな」 焦るとどうしてもミスが出てしまう
「腐るな」 自分の可能性を諦めず、努力の継続が大切
「負けるな」 決めたことを守り通し、自分に負けてはならない
5つの中でも君達に最も欠けていると感じているものは、最後の「負けるな」です。ついつい楽な方向へ流れてしまう自分、やらなければならない事から逃げてしまう自分、一度決意したことを何だかんだ理由をつけて後回しにしてしまう自分、これらの自分と一日も早くさよならをして欲しいと願っています。
以上、「中学3年 学年たより」より