3月24日(木)、東洋大学の井上円了ホールにて、第1回「哲学の日」が行われました。

 この行事は、本校の建学の精神である「諸学の基礎は哲学にあり」を基にする本校の教育の柱である「哲学教育」におけるプログラムの一つです。1年間の哲学教育の中で、中学生では週1時間の「哲学」の授業、高等学校では週2時間の「倫理」の授業の中で学んだこと、また、哲学ゼミや刑事裁判傍聴学習会など学外の活動を通しで考えたこと学んだことを、創立者の誕生月である3月に機会を設けて発表をする場です。

  本校では、普段の生活の中において、「どうして~なのか?」と自ら問題を見つけ、考え抜き、回答に導いていこうとする姿勢を育てることを「哲学」であると考え、実践しています。

 

 第1部では、夏季に行われた「哲学ゼミ」に参加した生徒の発表でした。東日本大震災の被災地の1つである岩手県大槌町を訪れ、現地の人との交流やボランティア活動の中で「生きること」を考える機会となりました。5年たった今でも、現地の人々が直面しているさまざまな問題を知ること、人とのつながりについて考えること,震災のことをどのように伝えていくのかなど、五感を通して感じたことは深い理解につながるとの報告がありました。また、他者がどのように感じたかということにも気づくことができたなど、多くのことを学んだことも報告されました。

 

 第2部では、本校では11年目となる「刑事裁判傍聴学習会」に参加した生徒の発表でした。普段、なかなか触れることができない刑事裁判を実際に傍聴することをはじめとして、被害者と加害者の生き方や感情、社会の在り方や人間の在り方を学ぶ機会としています。

参加した生徒は、犯罪被害者の支援や、判決の難しさなど、実際に見学することによって気づいたことや疑問に思ったことなどを発表していました。報告の後は、参加生徒によるパネルディスカッションを行い、意見を交わし合いました。

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 第3部では、「哲学エッセーコンテスト」の優秀作品の6作品の発表および、最優秀作品の選考を行いました。

この哲学エッセーは全ての中学1年生、全ての高校1年生が、1年間の学びを通した集大成として、自らがテーマを決めて論述したものです。

中学生の部では「なぜ、指は五本でないと変に見えるのか」を書いた諸星君、高校生の部では「『模範的』からのがれられるのか」を書いた横尾さんに2名がそれぞれ最優秀作品に選らばれました。

 

 第4部では東京大学教授である梶谷真司先生による記念講演があり、「哲学に基づいた教育が行われることは素晴らしいことである」「自分で考えた問いを、自分の力で考える機会があることは素晴らしいことである」とお話しくださいました。また、今後は「自分で考えること」が社会では求められるが、これは「初めからできることではなく、考えることに慣れないとできない」から「考えることを他人任せにしない」など、学校生活だけでなく今後の人生そのものにヒントとなるお話をいただきました。

 

 閉会にあたっての、石坂校長先生による講評では、「自分の言葉で、それぞれが考えを述べていた」と、今後も考えることを続け、“よりよく生きる”(=哲学)に結びつくような学校生活を送ってほしいとの言葉が生徒たちに贈られました。

 

生徒にとっては、今日の発表を通して、自ら疑問や問題を見つけ、自分の力で考え抜いていくことの大切さに気付いたことでしょう。

 本校は、生徒たちの“よりよく生きる”ための力を養うべく、「哲学教育」により一層取り組んでいきます。

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