大学院に進学してまもなく、2年間フランスに留学する機会を得ました。そこでのある先生との出会いが、「教員になりたい」という意識を具体的に確かなものにしてくれました。その先生は有名なオルガニストで、作曲家としても活躍されていましたが、言葉の壁があったにもかかわらず、先生の授業からは、心から音楽を愛していることが最大限に伝わってきました。「音楽を好きで学びたい」と思う学生の気持ちに寄り添う人柄と、「目の前の課題を多方向から掘り下げて、総合的な理解へと導く力」とに満ちた、教育者の理想像のようなものを、私はその先生から教わりました。本校の教員となった今、改めてそのことを大切に考えて、研究を続けていきたいと思っています。

 音楽への関わり方には様々な可能性があり、音楽のパワーはそのおかげで成り立っています。私は少々回り道をしましたが、いま「音楽が好きで学びたい」と思っているみなさんには、その気持ちを大切に育んでいける場所で、できるかぎり早くスタートラインに立っていただきたいと思います。音中・音高は、そうした意味でも貴重な環境を備えた数少ない場所です。みなさんが学びに来てくださることを、心よりお待ちしております。

田上英江

@Carole-Martin-DSC_0281_Entrée-Belle-FeuilleCRR_BB2005-min

写真は留学先だったブローニュ=ビヤンクール市立音楽院 Conservatoire A Rayonnement Regional De Boulogne Billancourt です。(https://crr-bb.seineouest.fr/le-crr/)

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