IMG_7774三輪田学園から徒歩10分、同じ九段の地に、大正時代に建設された耐震構造のスパニッシュ様式の登録有形文化財(旧山口萬吉邸)が建っています。
この邸宅は、1927年に日本を代表する3人の建築家(内藤多仲氏・木子七郎氏・今井兼次氏)によって建てられました。美しい曲線を施したスパニッシュデザインと鉄筋コンクリートの黎明期の代表作です。
東京都千代田区という都心部にありながら90年もの間、激動の時代を乗り越え、取り壊されることなくほぼ建築当時のままの姿を遺している奇跡とも言える建築物です。三輪田学園は大正12年の関東大震災で被災、そして昭和20年には空襲により校舎が全焼し、1週間臨時休校を強いられましたが、その後、学校を再開しました。ご近所の旧山口萬吉邸は、東京が度重なる空襲に遭っても、鉄筋コンクリートで施工されたその姿を保ち続けたことは驚きです。現在は、会員制のビジネスイノベーション拠点として、次世代のビジネスリーダー層を対象としたビジネスサロンの開催や会員企業の研修会、オフサイトミーティングなどの場として利用されています。会員制のため、一般客の利用はできませんが、今回、特別に、この歴史ある邸宅で3回のゼミ学習を開催できることになり、美術、建築、空間デザイン、文化財の保存、CSV経営に興味がある高2の生徒20名が参加しました。

11月24日(木)の第1回ゼミでは、kudan houseのリノベーションに携わった竹中工務店の鍵野さんと運営会社NI-WAの髙山さんに旧山口萬吉邸を案内していただき、歴史的建築物の再生に当たってのご苦労や企業の社会的使命について貴重なお話を伺うことができました。約800㎡に及ぶ敷地には地上3階、地下1回のモダンな邸宅と緑豊かな庭園あり、随所に自然光を活かした工夫がされています。美しい鎌倉の寄木細工の床、大正時代にドイツから輸入したボイラー、大理石の階段、暖炉、アンティークの家具、使用人を呼ぶためのブザー、など現代の住居には見られないものばかりでした。生徒達は、次回のビジネスプラン作成のために、熱心にメモを取り、見学していました。
鍵野さんと髙山さんから伺ったお話、kudan houseに関わった多くの方々と「先代の山口萬吉が築いた邸宅を次世代に遺したい」という所有者の想いををしっかり受けとめて、次回11月30日(水)に、生徒達は自分達の感性を活かしたビジネスプランを作成することになります。

*CSV経営:CSVとはCreating Shared Valueの略で、日本語では「共通価値の創造」と訳されます。企業が社会のニーズや問題に目を向け、それに取り組むことで社会的な価値と経済的価値を共に創造しようというアプローチを試みる経営方法です。

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