中間試験の始まる前日だったと記憶していますが、先日、中学2年生のA君が放課後、校長室に来ました。ご承知のように、お客がいない限りドアを開放してある私の部屋は生徒の出入り自由です。ソファに座ったA君、私の机の上の書類の山を見て、おそらく<今日の校長先生はあまり話し相手になってくれないな>と思ったのかもしれません。
「校長先生、ノートを整理していいですか?」
「うん? なに? ノート、ああ、いいよ」
何を始めるのかと見ていると、A君、テーブルを自分のほうに引き寄せると、鞄からやおら2冊のノートを取りだして、一冊目のノートから内容を別のノートに書き移し始めました。
「授業の内容を清書しているの?」
「僕は、授業で書いたノートとは別に家で勉強するためのノートを作るんです。いま写しているのは、苦手の理科です」
「ふーん、偉いね。見せてごらん」
A君の差し出した家庭用というか、清書版のノートはきちんとした字で、大事な部分は赤のボールペンも使って整理されて、よくわかるノートの作りになっていました。

校長室名物となった生徒のランチタイム(某先生が校長食堂と命名しました)も、一人の生徒が弁当を持ち込んだのが始まりで、いまでは隣の応接室まで開放する賑わいですが、ひょっとしたら毎放課後に校長室が中学生用勉強部屋になってゆくかもしれません。
生徒が希望するなら、もちろん、校長先生は受けて立つ覚悟です。

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