※本校校長 谷川平夫が生徒に向けた年頭のメッセージです。 受験生の諸君達にとって今の努力が、これからの人生において、無駄にならないと信じています。

 

明けましておめでとう。2010年が君たちにとって素晴らしい年になるようにと願っています。

勉学に、そして部活動その他において真摯に努力する1年にしてください。努力が、すぐの結果につながらないことがあるかも知れません。だからといって、努力することを馬鹿馬鹿しいと思ってはいけません。君たちのこれからの長い人生を考えた場合、むしろ<粘り強く頑張れる力>を自分のものにすることが非常に大事だと、私は考えています。

自分の例を出して申し訳ありませんが、私は中学1年生と2年生の時期を北陸で過ごしました。中学校は自宅から4キロのところにありました。徒歩で通いました。片道約1時間の道のりです。爽やかな春、秋は苦になりませんでしたが、夏は汗まみれになりました。もっと大変だったのは雪の積もる冬場です。重い教科書を入れた鞄を肩から提げて、冠雪した道を歩き通すのは大変でした。下校が遅くなり、雪の夜道を歩いたときは泣きそうになりました。

当時の私に、「努力しなければ」という意識は特になかったと思います。時代が今と違いますから、そういうものだ、という感覚でした。いずれにしても、その2年間はほぼ無欠席、無遅刻だったと思います。自分で言ってはおかしいかもしれませんが、私は、特段の能力はないものの、取り柄は弱音を吐かない粘り強い性格かなと思っています。レバノンでは民兵がうろつく山中で、1人で孤立したことがあります。このときは、さすがに「無事に日本に戻れるかな? ちょっとヤバイぞ」と心細い思いをしましたが、そのときは別にしても、様々な難しい状況に対して、おたおたすることなく、へっちゃらで対応してきたような気がします。

もし私に何がしかの<精神力>というものがあると言えるならば、それを培ってくれた最初の一歩は、あの中学時代の2年間、毎日雪道の往復8キロを歩き通したことにあるのではないかと、私は考えています。

努力するという行為は、もちろん大学進学、スポーツでの入賞といった具体的な成果が目標になるでしょうが、加えて君たちの<人間としての底力>を鍛える点に大きな意味があるのです。

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