学習する組織は、MIT(マサチューセッツ工科大学)上級講師のピーター・М・センゲやハーバード大学教授のクリス・アージリスが生み出した概念・理論であり、「目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織」と説明されています。ピーター・М・センゲは、1990年に著書『学習する組織』の初版を発行し、世界で250万部を超えるベストセラーとなりました。
 高校1年生全員が、総合的な探究の時間で6時間かけて、学習する組織の理論によるシステム思考を学びました。今回は、学習する組織の実践家で 日本を代表する経済ニュースメディア『NewsPicks』で学びの事業を推進する蒲原慎志さんと学習する組織の実践家・研修者・研究者で本校進路指導部長・探究科主任の森弘達が授業を担当しました。
 授業では、「観方が変わると世界が変わる」をテーマに、システム思考を学びました。形だけ、上辺だけの対話ではなく、心からの対話、対話の質を高めることを目指しました。そのために、教室の心理的安全性を重視しました。システム思考のツールとして、「ループ図」「氷山モデル」「推論のはしご」「クリエイティブ・テンション」などを使い、さまざまな事例やニュースについて考え、対話を深めました。生徒たちは「対話の4つのレベル(①儀礼的な対話→②討論→③内省的な対話→④生成的な対話)」についても学び、コミュニケーション能力を高めるためには意識的な取り組みが必要なことも知りました。
 システム思考を学ぶことは、探究や課題研究のベースとなる思考力・判断力・表現力を育成するだけでなく、自分と向き合う(対自己)、他人と向き合う(対他者)、社会と向き合う(対課題)などの非認知能力の育成にもつながります。
 受講した生徒たちからは「ある問題に対処するには見えている問題だけに対処するのではなく、その構造やパターンも見ながら解決していくのが一番良い方法なのだと分かった。また、『観方が変わると世界が変わる』という今回のテーマから世界や日常に不満があったら自分が変われば良いのだと気づいた。授業内で氷山のモデルや推論のはしごについて学び、自分が心の底から願っていることは何なのかについて気づくことが出来た」「いろいろな考え方を学ぶことができて、今後1つの物事に対して、いろいろな見方ができるようになったと思う」「私が最も大切にしたいことは、人に流されずに自分のビジョンを持ち続けること」などの声が寄せられました。
 授業で対話や振り返り(リフレクション)を繰り返し行うことによって、生徒たちの観方が変わり、思考が変わり、日々の行動変容につながり、生徒たちは、本物の「学習する組織」に向かっています。

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