4月8日(日)午後3時から本校チャペルで2018年度入学始業礼拝が行われました。

前日からロンドン入りしていた新入生とそのご家族、ロンドンの自宅からご両親と一緒に車でやって来た新入生、早朝ヒースロー空港に一人で到着した新入生…等々 正午を過ぎる頃には、この緑豊かな丘の上に広がる立教英国学院のキャンパスに小・中学生と高校生、合わせて37名の新入生が揃いました。

天気はあいにくの雨、水たまりをよけながら広いキャンパスで新入生とそのご家族を案内したのは高校3年生の先輩達でした。最上級生の証し、憧れの赤ネクタイをこの日初めて締めて身も引き締まる思いで新入生を迎えた彼らでしたが、頭の中にはきっと初めてここを訪れた時の思いが蘇っていたのでしょう、緊張の面持ちの新入生を笑顔で迎える彼ら彼女らの姿はとても輝いて見えました。
新入生の初々しさと、ここで何年も学んで生活してきた子供達の頼もしさが不思議な形で融合する入学式の日。生憎の天気にも関わらず、今年もまたキャンパスを行き交う皆んなの笑顔が印象的でした。

入学始業礼拝では、校長先生から37名の新入生一人一人にブレザーにつける校章が手渡されました。
「校章の一番上についている1972という数字はこの学校が創立された年なのですよ。」
校長先生のおっしゃる通り、本校は今年で46年目を迎えます。新入生にとっては、半世紀近くに渡り多くの卒業生を世に送り出してきたこの学校の一員となる記念すべき日だった訳です。

全寮制の学校だから、今日からは家族ともしばしのお別れ。そして新しい仲間と寝食を共にする生活が始まります。不安もたくさんあるけれど、早速大きな食堂でみんなと一緒に食事をしたり、夕食後のホームルームで新しい教科書に名前を書いたり、友達に教えてもらいながらシャワーを浴びて就寝準備をしたり… 別れを惜しみながら「頑張ってね」と声をかけてくれたお父さんやお母さんのことを考えるとちょっと胸が苦しくなるけれど、ここでの新しい生活が少し楽しみになった「第1日目」でもありました。

あまり天気の良くない日が続く3学期ですが、この日も朝からどんよりした空模様。小学生の今学期アウティングは、天気が良ければ丸一日サイクリングに行く予定でしたが、昼は強風・午後から雨という天気予報の為、雨天プランでGuildfordの町を訪れることになりました。
午前の部はトランポリンセンターから。駅の裏手にある大きな建物の中に何十面ものトランポリンが並ぶ施設です。専用の靴下をもらって荷物を預けたあとトランポリンが並ぶ入口に集合です。早る気持ちを抑えながら、まずは英語でトランポリンの使い方や安全上の諸注意を聞きます。担任の先生の助けを借りながらもフムフムと英語の説明に頷く様子はなんとも頼もしく思えました。
「ドッジボールのところが空いているので、まずそこに行きましょう!」
先生の指差す場所にはテニスコート2面分くらいの広さに12面のトランポリンが敷き詰められていました。1面に一人以上入らないように!というルールを守りながら、ポンポン跳ねながらたくさんの柔らかいボールを投げ合います。チームに分かれて… というよりは、ただひたすら「跳ねて」「投げる」だけなのですが、これがたまらなく面白いようで、利用制限時間1時間のほぼ半分をこのコーナーで楽しみました。
「先生ー、これ持っていて下さ〜い!」
息を切らした真っ赤な顔で入れ替わり立ち代り子供たちがやってきて上着を預けて行きます。最初は恐々と跳ねていた女の子たちが跳ぶ高さも少しずつ高くなり、一人一面のルールを守りながらもあちこちの面に移動してボールを投げ続ける男子の動きもさらに機敏になっていました。
「今度はあっちに行こう!」
目指した先は、ジャンプコーナー。トランポリンで数回ジャンプして勢いをつけた後、柔らかいクッションがたくさん入っているところに飛び込みます。何度も何度も繰り返して、最後は空中で1回転してダイブできる子も出てきました。
「先生ー、面白かったー!」「ここだったら1日いたって楽しめるよねー!」「また来たーい!」
どんよりした空模様が招いたくれた雨天プランでしたが、子供たちの気分は晴れ晴れ! 午前の部、まずは好調なスタートとなりました。
ポツポツと雨が降りだした午後の部は、ショッピングモールのフードコートでの昼食で始まりました。もう何度も外出をしてきた小学生たちなので英語の注文はお手のものです。好きなお店で好きなものを買って来て、皆で楽しく食事ができました。その後は、小雨の降る中、町を散策。家族へのお土産にお茶を買ったり、映画館で食べるスナックを買ったりして小一時間を過ごした後、「不思議の国のアリス」を著したルイス・キャロルの展示があるミュージアムを訪れました。この町に住んでいたルイス・キャロルについての資料を、キシキシと音をたてる床や細くてくねくねした階段のある古い古い建物の中で見ていると、本当に「不思議の国」に迷い込んだような気分になりました。
その後の映画鑑賞では「Early Man」という原始時代の仲間がサッカーを通して繰り広げるファンタジーを見て、今度はタイムスリップ気分。 映画が終わって外に出ると雨はすっかりあがっていてトワイライトの空には星々がうっすらと浮かびあがっていました。
この日の締めくくりは小さな村にあるパブレストランでの夕食でした。天井の梁の上には古い道具や食器、スキーの板や大きな大きなノコギリまで様々なものがぶら下がっていて、部屋の中央にある皆で座った長ーいテーブルの両脇の暖炉には薪をくべた炎がチラチラと燃えている… 何だかここもまた不思議な空間でした。夢のような気分でデザートまで夕食をお腹いっぱい食べた後は、何だか皆ウトウトと眠くなってしまいました。
「さぁ、それではそろそろ帰りましょうか? たくさん楽しんで疲れたかな? 学校に帰ったらすぐに就寝にしましょう。」
が、先生の気遣いをよそに、突然また元気になる子供たち…
「帰ったら皆でゲームしようよ!」
帰りのバスの中でも、皆で歌を歌い合いながらの大合唱でした。
サイクリングはできなかったけれど、今年度最後のアウティングは、また一つ、思い出に残る楽しい一日になりました。

6月3日(日)に行われるベネッセ主催「ベネッセ進学フェア2018 私立中高一貫校合同相談会&講演会」に本校も参加いたします。
6月3日 (日) 10:00 – 16:00 ベネッセ主催「ベネッセ進学フェア2018 私立中高一貫校合同相談会&講演会」
場所:東京国際フォーラム

本校に関心のある方はぜひご参加ください。

その他、学校説明会・進学フェア等についての詳細はこちらをご覧下さい。

今学期のアウティングも高校2年生は文系理系に分かれて行動することになった。私達理系はUCLで山本先生の進化発生論についての講義を受けた。内容は「洞窟の中に住む魚について」で、想像していたものよりも何倍も興味深い話だった。洞窟に住む魚は通常の海や川に住む魚とは違う点がいくつもあるらしい。まず洞窟魚には目がない。この目についての研究は色々あり、洞窟魚のレンズは受精してから2 、3日目には細胞が死んでしまい目の成長が止まってしまう。そこから発展して目のある魚のレンズを洞窟魚に移植してみたり、脳ごと移植したりといろいろな実験があった。
他にも色素がうすい、顎が大きいなどの特徴があった。講義の後は山本先生の研究している魚を見せてもらうことができた。研究室には数え切れないほどの大小いろいろな魚がいて圧倒された。洞窟魚の見分けはすぐにつき、白くて、目が退化し皮膚に覆われていてずんぐりと太っていた。また目がある魚は私たちを警戒し水槽の奥から出てこなかったが、洞窟魚は手を近づけてもまったく気づかず悠々と泳いでいた。さらに洞窟魚の動きはひどくゆったりとしており、時々魚同士でぶつかっているのも観察できた。
山本先生の講義は研究の話ばかりでなく時折自身の体験談や洞窟でのお話もあり、退屈することなく受けることができた。私は物理を選択しているので生物にはあまり触れる事はなかったが、改めて生物の面白さを実感できてよかったと思う。また機会があれば生物関連の講義を受けてみたい。
(高等部2年生 女子)

■1日目 (火曜日)

ホームステイ先の家からMillais Schoolへは車で10分、ホストファミリーに送迎していただいた。学校に着くと、すでにバディになる5人が待ってくれていた。全員揃ったところで先生が誰が誰のバディになるのかを発表した。私のバディはAnanyaというインド人の子だった。初めての現地校で緊張していた私に、笑顔で話しかけてくれたのが嬉しくて、少しずつ緊張がほぐれていくのがわかった。

そのあと、立教生はそれぞれバディのホームルーム教室に行った。教室に入ると、みんなが優しく声をかけてくれた。Ananyaと仲の良い子も一緒のテーブルに座って、お互いに簡単な自己紹介をした。ベルが鳴ると、今度はAnanyaに連れられて、Assemblyに向かった。Assemblyとはニュースや歴史、さまざまなトピックについて学ぶ朝の会で、この日は飛行機がアメリカのハドソン川に緊急着陸した話だった。スライドや動画を見ながら、先生の話を聞いた。

Assemblyが終わると、一度立教生が集まり、去年立教に交換留学で来たという子が学校案内をしてくれた。学校内をまわってみると、Millais Schoolはとても広く、建物も教室の数も立教の2倍くらいで近代的だった。

学校案内の後は、日本語を選択している人と日本語で会話した。間違えを気にせずにいろいろ話しかけてくれる姿を見て、自分もこれから3日間たくさん会話をして、意見や気持ちを伝える努力しようと思った。

ブレイクになると、Ananyaが校内のカフェテリアまで連れて行ってくれた。2人で座っているとAnanyaの友達が集まって来た。そこには違うクラスの人もいたので、改めてお互いの自己紹介をした。みんなの話すスピードの速さにとても驚いた。9人で固まって座っていたが、初対面だったからか、あまり馴染めないままブレイクが終わった。

3時間目は物理、4時間目はBiologyだった。Biologyは中3でちょうど学習した範囲だったので、授業を楽しむことができた。

お昼になって、またAnanyaと一緒にカフェテリアに行った。ブレイクの時の9人で一緒に食べた。やっぱりまだ慣れなくて、どちらかというと話を聞いている方が多かったように感じた。

5時間目は中国語で、6時間目は科学だった。

初めてMillais Schoolの授業を受けてみて、ネットボードが全部の教室にあって教科書代わりになっているということや、みんなで話し合い(話しすぎて注意されたり…)意見交換をしながら授業が進んでいくことに気がついた。立教の授業とは違うところもあって興味深かった。

 

■2日目 (水曜日)

この日はAssemblyがないので、その時間は教室でみんなと喋っていた。宿題をやってきたかどうかなど他愛のない話だったが、日本人がいるからといって会話のスピードを変えたりしなかったので最初は少しおいていかれそうになったが、この日からなんとなく自分も会話に入れたような気がした。

1時間目はProduction Designだった。再生可能エネルギーの種類と内容について学んだ。やはりいくつかの動画を見ながら自分たちでノートをとる形だった。2時間目は英語だった。一冊の本を読み進めていく授業だった。

ブレイクはやっぱりカフェテリアにいって、ずっと喋っていた。

3時間目は数学で、4時間目はBiologyだった。

お昼もカフェテリアで食べた。頑張って「話そう!」と思っていた1日目とは変わって、自然に相づちを打っていたりと、普段と同じくらい話している自分がいた。

5時間目は中国語で、6時間目はコンピューターサイエンスだった。この授業ではインターネットハッカーについて調べた。

今日で2日目なんて信じられないくらいみんなと仲良くなることができた。移動教室ですれ違ったときに話しかけてくれるのも嬉しかった。

 

■3日目 (木曜日)

朝、Ananyaと一緒にホームルーム教室に行った後、Assemblyに向かった。この日は生徒がプラスティックのリサイクルについてのプレゼンをしていた。

1時間目は物理で、2時間目は英語だった。

ブレイクは、1日目や2日目と変わらずカフェテリアで喋っていた。私は今日が最後だと言うと、みんなが写真を撮ろうと言ってくれて、とても嬉しかった。

3時間目は地理で、4時間目はコンピューターサイエンスだった。

この日のお昼はMillais Schoolのランチを食べた。学校のお店には立教のようにAメニュー・Bメニューがあった。
バディと立教生で固まって座って食べた。昼休みに写真を撮ろうということになり、いつもの9人で外で写真を撮った。

楽しくも慌ただしい昼休みの後は数学の授業だった。6時間目は中国語だった。学校の前で写真を撮るために早く抜けたが、これでみんなとお別れになるなんて考えたくなかった。

ホストファミリーのお迎えが来るまでに、Ananyaや新しく仲良くなった人とたくさん話した。この日が最後なんて信じられなくて、悲しかった。でも、Ananyaや仲の良い人が連絡を取り合おうねと言ってくれて、今でも毎日ではないがメールをしたりしている。また会える日が楽しみだ。
初めてだらけの3日間で最初は戸惑うこともあったが、だんだん慣れて会話や授業を楽しめるようになった。よく連絡を取り合う仲になった友達もできたし、いろいろなことを吸収できた3日間だった。積極的に自分から行動すること、自分の意見をしっかり持つこと、どんなことからも貪欲に学ぼうとする姿勢が大切だということを痛感した。

今回この交換留学に参加する機会をいただいたことに感謝して、得たことをこれからも活かしていけたらいいと思う。

昨年度のケンブリッジ大学のサマープログラムでも先生のお話を伺ったので、今回は2度目の講義でした。前回はUCL についての紹介がメインであったのに対し、今回は先生の研究分野のお話をたくさん聞けて、とても興味深かったです。
私は化学、物理選択で生物は勉強していませんが、以前通っていた日本の学校では一学期だけでしたが生物基礎を勉強し、立教英国学院ではIGCSEのバイオロジーを勉強していたので、プレゼンテーションでところどころ知っていることが出てきました。今まで本の中のこととだけしか認識しなかったことが、実際の実験の結果や写真とともに説明されていて面白かったです。

説明の後、実際に研究室を見学して、目が見える見えないかの違いだけであんなにも形や色、動く速さも異なるのに驚きました。また、異なる性質を持つオスとメスから子供を作ってもみんな同じ状態で生まれてくるのに、その子供たちの子供は皆異なる状態で生まれてくることを知り、また将来人間にも応用されるかもしれないことを知り、人間の遺伝子操作やクローン技術などの大切さも感じました。

私は幼い頃から医学に興味を持ち、現在では将来、工学部に進学し、美容器具の開発に関わりたいと思っています。今は治療困難な病気でも簡単に治療できるようになる器具を作りたいです。医学の進歩によって、長い時間を健康的に過ごすことができるようになった現在ですが、その裏ではたくさんの研究者は絶え間ない努力をして医学が発展していったのだと今回の講義を受けて強く実感しました。私も医学の発展に少しでも効果的に貢献できるような開発者になりたいです。
(高等部2年生 女子)

僕にとって立教で残されたアウティングはあと2回。今回のアウティングは僕の人生を大きく動かすものになるかもしれない。

僕たち理系班6名はUCLの山本先生による進化発生学の話を聞かせてもらった。山本先生の話は洞窟に住んでいる魚の話、進化の話であった。僕は進化論には大変興味がある。僕は生物を選択していたおかげで話をしている内容は自然に自分に入ってくる。しかも、授業で勉強したばかりのところだった。山本先生の話はとても興味深い。時間が経つにつれて前のめりになっていく自分の姿に気がついた。洞窟にいる目のない魚。そしてそれを解明するための実験の話。どれもこれも面白い話ばかりだ。
先生の実験の一つに目の無い洞窟魚に目を移植する話があった。驚くべきことに目は見えないけれども、目が形成される実験を紹介された。僕は、話を聞いているうちに他の動物、例えば人間に近い猿などもレンズをアポトーシス(移植)すれば同じようになるのかということを想像していた。生物のことをもっと研究ししたい、知りたい、そんな気持ちで一杯になった。話を聞いているうちに、僕は研究室で生物を研究する自分の姿を夢見ていた。僕たちは話の最後に先生の実験室に行き、先生がメキシコから採集してきた洞窟魚やその子供達を見せてもらった。目がないことで少しグロテスクな感じはあったものの、でもそれもよく考えると、何百万年も何億年もかけて出来上がった姿と考えるとそれもまた興味深くそして美しい。僕は数枚の写真を撮りそのラボを出た。

少し話が変わるが僕は運命という言葉が好きだ。僕はこうとらえる、進化とは運命であり運命が今の僕たちであるので僕の運命も既に決まっているのかもしれない。
(高等部2年生 男子)

Councillor Peter Burgess – Speech on Graduation Day – 3 March 2018

 

Head master, Staff, Students, Ladies and Gentlemen. Thank you for inviting me to your graduation.

Language is most important as we can then communicate and understand other people and races.

Mrs Hunter has just referred to the success of your concert at the end of last year. I was there and enjoyed it very much.

One of the things the English do is to make fun of themselves. When you realise this, you will fully understand our way of life.

One of the highlights of the concert was what is called the “first half closer”. Here three senior girls, beautifully dressed, gave us a rendering of “Three Little Girls” from the Mikado. They did it with gestures, humour and panache, in a very funny and successful act.

I am here to present the Ambassadors Cup to Miss Tomoko Matsunaga. This is for the student who has made a significant contribution to improving relations between Japan and the UK.

She took part in the UK/JAPAN Young Scientist Workshop at Cambridge last summer, as well as the UCL-Japan Young Challenge, where she played a significant role in assisting communication between students due to her excellent English.

It gives me great pleasure to present her with this cup and to wish her, and all of you immense success in your futures.

在英国日本国大使館公使・総領事 宇山 秀樹様

小学部6年生・中学部3年生・高等部3年生の皆さん、本日はご卒業誠におめでとうございます。普段離れていてもお子様を温かく支えてこられた保護者の皆様、手厚い指導で子供達を卒業まで導いてこられた先生方、その他関係者の方々にも、心からお祝いを申し上げます。
卒業生の皆さんは、ご家族から離れた全寮制の生活に慣れるまでは寂しい思いもし、いろいろ苦労をしたことでしょう。でも、英国の美しい田園風景に囲まれたこの広大なキャンパス、素晴らしい環境の中で、大家族のような寮生活を送りながら、厳しくものびのびとした教育を受けて、たぶん、ご家族も驚くほどたくましく成長したのではないかと思います。
今日卒業していく皆さんが、立教英国学院で学び、身につけてきたことを基礎として、グローバルな視点を持って、国際社会の中で日本の未来を担っていく人材となることを期待しています。こんなことを言うと、荷が重いと思うかもしれませんが、皆さんは、そのための素養をここ立教英国学院で身につけてきたことと信じています。

皆さんの将来に大きな期待を込めて、今後心がけてもらいたいことを3つ申し上げたいと思います。
1つ目は、「自分の頭で考える」ということです。そんなこと当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、様々な情報の溢れる現代社会では、目に入った情報を受け身で無批判に受け入れがちです。インターネットやスマホはとても便利ですが、ソーシャルメディアなどネット空間には偽情報や根拠の不確かな情報も飛び交っています。そういう中で、幅広い教養を身につけながら、疑問を持ったり批判的に考えたりすることを意識的に行って、自分の頭で考え、何が真実・事実なのかを見抜くことのできる目を養うことがとても重要です。そのためには、好奇心を広く持って、文学でも歴史書でも、良い本を沢山読むこと、それから、できれば傾向の違う複数の新聞を読むことをお勧めします。1つの情報を鵜呑みにしないで、疑問を持ったら、複数のソースで調べてみる習慣を身につけてください。そうして自分の頭で考える力を鍛えることは、皆さんが将来どのような道に進んでも必ず役に立つはずです。
2つ目に、「失敗を恐れず、あきらめないでチャレンジすること」です。これから先の人生、楽しいことや成功することばかりではなく、壁にぶつかって悩むこと、失敗することもいろいろあるでしょう。でも、「自分はできる」と信じてチャレンジし、努力して逆境を乗り越えることで、人間は強くなれます。ついこの間終わった平昌冬季オリンピック、英国ではフィギュアスケートはあまりTVで放送されませんでしたが、羽生結弦選手が男子シングルで66年ぶりとなるオリンピック2連覇の偉業を達成したことは皆さんも知っていますよね。羽生選手は去年11月練習中に右足首に大きなけがをして、オリンピックの直前までジャンプの練習もできないような大ピンチに陥りました。「スケートができなくなるんじゃないかと思う日々が続いた」そうです。しかし、本番では痛み止めを飲みながら素晴らしい演技をして、見事金メダルを獲得しました。金メダルが決まった直後に、彼は、「自分に勝てた」と言いました。けがに苦しみながら地道な努力を重ねて、自分との戦いに勝ったのです。もちろん羽生選手のような超人的な能力は並みの人間に真似できるものではありませんが、何があっても負けない精神力を見習うことは誰にでも可能です。私も、若い頃大学受験に失敗したり、外務省に入るための試験に2度落ちたりしましたし、社会人になってからも失敗してへこむことや難しい状況に直面することがしょっちゅうありますが、そのたびに「負けてたまるか」と自分を奮いたたせて、何とか乗り切ってきました。皆さんも、これから先どんな困難に直面しても、挫けないで努力し、チャレンジしていく精神的な強さを是非身につけていってください。
3つ目に、「日本人としてのアイデンティティと誇りを持ちながら、異なる文化や価値観を理解し尊重すること」です。最近、世界のいろいろな国で自国ファースト、自分の国さえ良ければいいという考え方が広がっていますが、そのような風潮は他の国や民族に対する偏見や排除に結びついて、争いの元になりかねません。多様性を大事にする寛容な心を持つことが、益々重要になっていると考えます。皆さんは、立教英国学院で学ぶ中で、ローカルコミュニティとの様々な交流、ホームステイ、短期交換留学等を通じて、英国の文化や習慣、英国人の考え方、特に、多様性を大切にする英国の懐の深さに触れてきたことと思います。同時に、日本の優れた点、世界に誇れる美点を再発見することもあったのではないかと思います。それは、日本国内ではなかなかできない貴重な経験です。皆さんが、その貴重な経験に基づいて、これから先、日本の良いところ、優れた面を理解し発信しつつ、異文化や異なる価値観を尊重できる国際人に成長していくことを願っています。

最後に、皆さんが立教英国学院で得たかけがえのない経験を活かしながら、将来、日本と英国の架け橋として、また、世界に通用する国際人として大きく羽ばたいていくように心からお祈りして、私からの祝辞とさせていただきます。

3月3日(土)、日本ではひな祭りにあたるこの日、立教英国学院は2017年度卒業終業礼拝の日を迎えました。
チャペルには、日本同様、雛人形が飾られました。これは昔から続く立教英国学院の伝統で、綺麗に並んだお雛様たちは、受験のため卒業礼拝に参加できない高校3年生や中学3年生のかわりに、皆の晴れの姿を見守る、そういう意味が込められています。
今年の卒業礼拝には、6名の高校3年生が帰って来てくれました。

いつもの礼拝のように、聖歌を歌い、お祈りをします。それは私たちが毎日繰り返して来たことですが、この日の雰囲気はやはり特別なものです。チャペルの様子や、来賓の方々がいらっしゃることなどがいつもと異なるのはもちろんですが、それ以上に、児童生徒たち、先生たち、出席する保護者の皆様が、卒業生たちのためを思い、歌い、祈ります。そのような皆の心が、特別な雰囲気を作り出しています。

小学6年生、中学3年生、高校3年生の代表の児童生徒たちが、立教英国学院の思い出、未来への抱負を語ってくれました。彼らとの思い出を振り返りながら、あっという間に、1年、2年、3年と時は流れていったことを感じました。その間、私たち教員は児童生徒たちといつも一緒にいるので、些細な成長を毎日見守ってきましたが、それでも気づかなかった1人1人の内なる成長に気づかせてくれる、とても素晴らしいスピーチばかりでした。節目の礼拝において、彼らの素直で、希望や喜びに満ちたスピーチを聴くことで、この立教で、彼らが大きく、健やかに成長してくれたのだと、改めて実感することができました。きっと保護者の皆様は、私たち以上にそのことを感じてくださったことでしょう。

礼拝の後は記念撮影です。それぞれの卒業学年の児童生徒たちが、卒業証書を持って笑顔での撮影です。2017年度が無事に終わりました。来年度、卒業生、立教生はまたそれぞれが新たな道を歩みます。その道の先にたくさんの収穫と成長、そして幸福があることを祈っています。

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