あまり天気の良くない日が続く3学期ですが、この日も朝からどんよりした空模様。小学生の今学期アウティングは、天気が良ければ丸一日サイクリングに行く予定でしたが、昼は強風・午後から雨という天気予報の為、雨天プランでGuildfordの町を訪れることになりました。

午前の部はトランポリンセンターから。駅の裏手にある大きな建物の中に何十面ものトランポリンが並ぶ施設です。専用の靴下をもらって荷物を預けたあとトランポリンが並ぶ入口に集合です。早る気持ちを抑えながら、まずは英語でトランポリンの使い方や安全上の諸注意を聞きます。担任の先生の助けを借りながらもフムフムと英語の説明に頷く様子はなんとも頼もしく思えました。
「ドッジボールのところが空いているので、まずそこに行きましょう!」
先生の指差す場所にはテニスコート2面分くらいの広さに12面のトランポリンが敷き詰められていました。1面に一人以上入らないように!というルールを守りながら、ポンポン跳ねながらたくさんの柔らかいボールを投げ合います。チームに分かれて… というよりは、ただひたすら「跳ねて」「投げる」だけなのですが、これがたまらなく面白いようで、利用制限時間1時間のほぼ半分をこのコーナーで楽しみました。
「先生ー、これ持っていて下さ〜い!」
息を切らした真っ赤な顔で入れ替わり立ち代り子供たちがやってきて上着を預けて行きます。最初は恐々と跳ねていた女の子たちが跳ぶ高さも少しずつ高くなり、一人一面のルールを守りながらもあちこちの面に移動してボールを投げ続ける男子の動きもさらに機敏になっていました。
「今度はあっちに行こう!」
目指した先は、ジャンプコーナー。トランポリンで数回ジャンプして勢いをつけた後、柔らかいクッションがたくさん入っているところに飛び込みます。何度も何度も繰り返して、最後は空中で1回転してダイブできる子も出てきました。
「先生ー、面白かったー!」「ここだったら1日いたって楽しめるよねー!」「また来たーい!」
どんよりした空模様が招いたくれた雨天プランでしたが、子供たちの気分は晴れ晴れ! 午前の部、まずは好調なスタートとなりました。

ポツポツと雨が降りだした午後の部は、ショッピングモールのフードコートでの昼食で始まりました。もう何度も外出をしてきた小学生たちなので英語の注文はお手のものです。好きなお店で好きなものを買って来て、皆で楽しく食事ができました。その後は、小雨の降る中、町を散策。家族へのお土産にお茶を買ったり、映画館で食べるスナックを買ったりして小一時間を過ごした後、「不思議の国のアリス」を著したルイス・キャロルの展示があるミュージアムを訪れました。この町に住んでいたルイス・キャロルについての資料を、キシキシと音をたてる床や細くてくねくねした階段のある古い古い建物の中で見ていると、本当に「不思議の国」に迷い込んだような気分になりました。
その後の映画鑑賞では「Early Man」という原始時代の仲間がサッカーを通して繰り広げるファンタジーを見て、今度はタイムスリップ気分。 映画が終わって外に出ると雨はすっかりあがっていてトワイライトの空には星々がうっすらと浮かびあがっていました。
この日の締めくくりは小さな村にあるパブレストランでの夕食でした。天井の梁の上には古い道具や食器、スキーの板や大きな大きなノコギリまで様々なものがぶら下がっていて、部屋の中央にある皆で座った長ーいテーブルの両脇の暖炉には薪をくべた炎がチラチラと燃えている… 何だかここもまた不思議な空間でした。夢のような気分でデザートまで夕食をお腹いっぱい食べた後は、何だか皆ウトウトと眠くなってしまいました。
「さぁ、それではそろそろ帰りましょうか? たくさん楽しんで疲れたかな? 学校に帰ったらすぐに就寝にしましょう。」
が、先生の気遣いをよそに、突然また元気になる子供たち…
「帰ったら皆でゲームしようよ!」
帰りのバスの中でも、皆で歌を歌い合いながらの大合唱でした。
サイクリングはできなかったけれど、今年度最後のアウティングは、また一つ、思い出に残る楽しい一日になりました。

1月20日の夜、かるた大会が行われる。今までの練習の成果、そして先輩方の強さを実感できる夜である。
「秋の田の…」
みんなが知っている有名な歌。それをねらっている人が必ずいると知っている私はこのふだをあきらめた。そして、次に読まれる歌のために集中した。
「かささぎの…」
私の手元にあるふだ。上の句を聞いてすぐ取った。顔をあげると他の人がびっくりしていた。上の句で取るのが悪いことだろうか。みんながつまんなくなるのだろうか。そんなことを考えながら、高くなってきたふだ山に新たなふだをのせた。
「ゆらのとを…」
私が好きな歌。けれど、強い先輩の前にあり、このふだを取れなかった。このふだを取りたかったけれど、後悔するのは後にして、集中した。
「ゆうされば…」
下の句を思い出し、ふだを探そうとすると、すでに先輩が取っていた。だんだん知っている歌が減ってきた。そして最後のふだが読まれた。
「やえむぐら…」
最後は取りたい。そう思いながらこの集中力を授業中に使いたいぐらい集中した。
「パシッ。」
気持ち良い音とともに私のふだ山の上に新たなふだがのった。

試合が終わり、取ったふだを数えると13枚だった。それは、私の最高記録であり、個人の6位になった枚数だった。

高校2年生のアウティングの行き先はロンドンです。今回も文系グループと理系グループに分かれて行動しました。

文系グループの目的地はチャーチル・ウォー・ルームです。もうすぐ日本でも映画が封切りの、第二次世界大戦時のイギリス首相、チャーチルにちなんだ博物館で、当時の内閣の地下会議室をそのまま使用したものです。ところが現地に着いてみると、緊急封鎖状態でした。この日起こった停電により、博物館全体が真っ暗になってしまい、復旧に時間がかかるとのこと。チャーチルについては事前に学習をしてきたので、私たち教員としてはとても残念でしたが、急遽予定を変更し、ナショナルギャラリーへ行くことにしました。日本でもブームとなった「怖い絵」展の「レディ・ジェーン・グレイの処刑」がロンドンに戻ってきていたので、その絵を中心に見学しました。

理系グループの行き先はUCLでした。眼の研究をしている教授に、研究所を案内してもらいました。研究所では、南米に生息している眼のない魚が水槽の中を泳いでいました。この魚は、光の届かない洞窟に暮らしているうちに、眼が退化してしまったそうです。眼のない魚がどのように生きているのか、真剣に研究しているところを見学させてもらえたことは、とても刺激になったに違いありません。

それぞれの見学が終わった後は、トラファルガー広場で合流し、班別行動です。仲の良い友人たちと買い物や夕食を楽しみました。

夜にはもう一つのイベント、ミュージカル観賞です。高校2年生の観た作品は「レ・ミゼラブル」。革命期のフランスを舞台に様々な人間が生きる姿を描いた超大作です。関心のある生徒たちは事前に映画を観て予習をしていました。しかし、生のミュージカルの迫力、エネルギーは予想を上回るものでした。英語力も身についてきた高校2年生たちですので、ストーリーもしっかり追いながら、最後まで食い入るように観ていました。
翌日のホームルームで話題を振ってみると、たくさんの感想や自分なりの意見が出てきました。ミュージカルは一人で観ても面白いものですが、このように皆で語り合うのもとても楽しいものです。

ハプニングもありましたが、高校2年生のアウティングは、無事終わりました。彼らにとって次のアウティングは高校3年生の2学期、立教での最後のアウティングとなります。これからは勉強中心の毎日となっていきますが、その日を心待ちにしながら、励んでもらいたいと思っています。

3学期最初の行事は「新春かるた大会」。全校児童生徒が参加する恒例行事です。

正月に皆で百人一首やかるたをする、という習わしについて、今では耳にする機会が減りました。児童生徒たちに聞いても、コマ、羽子板、凧上げのような昔ながらの正月遊びはほとんどやらないとのこと。

しかし、ここイギリスの立教英国学院では、毎年皆で百人一首を行っています。冬休みの宿題のひとつに「百人一首を覚えてくること」というのがあります。本気を出して取り組んでくる子も、そうでない子もいますが、結果は当日、目に見える形で表れます。なぜならかるた大会の形式が「クラス対抗」。小学5年生から高校2年生までが、同じ札を囲んで真剣勝負です。

百人一首というと、高校生が有利と思わるかもしれませんが、実はそうとは限りません。小学生や中学生は、国語の授業やホームルームの時間を使い、多くの歌に触れたり、練習をしたりしてきたからです。
百人一首は早い者勝ちというシンプルなルールですが、やはり覚えた方が強いです。勝負を重ねることを通して、みるみるうちにたくさんの歌を覚えていく姿を見ると、さすが、柔らかい頭をもっているな、と感心してしまいます。

さて、本番です。大会は3回戦、各ブースに分かれての勝負です。クラスのエースをどこで出場させるかも、重要な戦略です。
「あけぬれば〜」
上の句を詠み始めると、すかさず「はい」という声と札を叩く音が聞こえました。
とてもレベルが高いですが、とったのは中学生。しっかり覚えてきたのでしょう。先輩たちも驚いていました。
生徒たちが思い入れのある歌では、特に白熱した勝負が見られました。一番人気は、「ちはやぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」。在原業平の歌です。漫画やアニメで有名なのでしょう。「ちは」の時点で勝負が決定していました。とれなかった子はとても悔しそうで、真剣勝負ならではの面白い一幕でした。

優勝は中学3年生。準優勝は中学2年生。後輩のパワーを見せつけた結果となりました。校長からは、互いに応援し合っている様子があって、とても良かったと講評がありました。日本の文化に触れ、クラスの親睦を深めたかるた大会となりました。

今年度生徒会主催の最後の行事、合唱コンクールを行いました。
Japanese EveningやOpendayと異なり、生徒たちで運営する生徒たちのための企画です。
3学期始めの2週間は、どの学年、どのクラスもコンクールに向けて練習をしてきました。

今年の合唱コンクールは、これまでと異なり、下記の約束で始まりました。
「総合優勝は争わず、皆でもっと自由に、楽しく歌いましょう」

合唱を得意とする子も、苦手とする子もいます。皆の前で歌うので、緊張もします。
生徒会と合唱コンクールについて複数回話し合ったときには、何度も「皆、本当は歌いたくないのではないか」という議論になり、全校生徒にアンケートも実施しました。
結論は「実施」。ただし、「楽しくない」と思う生徒たちにいかに楽しんでもらえるか、それが大きな課題となりました。
そこで生徒たちが出した答えが「優勝を争わない」。コンクールなのに優勝を争わないという不思議な合唱コンクールになりました。

今回の合唱コンクールでは、各クラスで様々な工夫が見られました。
ピアノだけでなく、ギターやチェロ、バイオリン、ドラム、フルートなど、得意とする楽器を使うクラス、肩をくみながら歌うクラス、前半はCD音源で、最後はアカペラで歌うクラス。
しかし、皆「合唱」の枠組みはきちんと守り、一所懸命に歌っていました。どのクラスもとても素敵な歌声で、曲が終わるたびに大きな拍手が生まれました。
なにより、とても楽しそうに歌っていたことが深く心に残っています。

立教英国学院の合唱コンクールは生徒が主導です。担任の先生が付き添いますが、音楽の授業を使って練習をしたり、クラスメート全員が専門家の先生に教わりながら歌う機会はありません。それでもこのように、皆が楽しく、努力し、工夫しながらひとつの音楽を作り上げ、クラスとして成長した姿を見せてくれたことを嬉しく思います。

今年度のクラス主体の行事はこれで終了です。合唱コンクールを通してさらに絆を深くした生徒たちが、これからも学校を引っ張っていってくれることを楽しみにしています。

冬休みは夏休みに比べ短かったのもあり、あっという間に終わってしまいましたが、たくさんの友人にも出会うことができ、家族と過ごす時間も多く取ることができ、とても充実していました。

なかでも大事な思い出になったのは、年末に参加した4泊5日のスキーキャンプです。私は中学3年の時から毎年参加していますが、毎年新たな出会いがあり、学校や学年の違う友人から多くの刺激を受けています。
キャンプ中には毎日、就寝前にディボーションという時間があり、1日を振り返ったり、自分について改まって考えたりします。高校生になるとみんな真剣に取り組んでいて、私はこの時間が意外と好きです。その日は、30くらいあげられた単語の中から自分が大切にしたいと思うものを5つだけ選んで話し合いをしました。その中で、「友人」について話していた時に、1人のメンバーが言ったことがとても嬉しくて、心が温かくなりました。
私と彼女は同じスキーレッスンだったのですが、気がかりなことがひとつありました。それはある男の子のことです。キャンプではみんなでゲームをしたり、キャンプソングを歌ったりする時間があり、メンバーはこの時間が好きです。しかし、男の子は誘ってもそれに参加しようとしなかったり、リフトにも1人で乗ったりすることが多かったです。彼にとっては初めての参加だったようなのですが、あまり楽しんでいる様子が見られない子でした。しかし、4日目のディボーションで、友人の彼女が「今日楽しそうに歌っていたよ」と報告してくれたので本当に嬉しかったです。

高校生になり年下のメンバーが増え、周りを気にかける立場となりました。うまくいかないこともあるけれど、誰かの為に、ということを考えるのがこんなに嬉しいとは思いませんでした。それを教えてくれたキャンプ、メンバー、その少年との出会いに感謝したいです。

今回の休みは今までの休みの中でもトップクラスに充実した休みだったと思う。
それにはいくつかの理由があるが、一番は、サッカーをしたこと。何が良かったかというと、現地の人と本気で立教よりも高いレベルのサッカーができたということ。中3の3学期にイギリスに来て以来、周りを含め高いレベルでサッカーを一度もしていなかった。立教でもこのぐらいしっかりしたサッカーができればもっと楽しいのになと思った。この休みでサッカーに対する不満は解消できたと思う。

そこで手に入れたものは経験だけではない。新しい仲間も手にした。彼らはインターナショナルスクールに通っている、サッカーのできる日本人だった。彼らは立教生がすることのない経験をたくさんしていて、それらの話は新鮮で面白い。彼らとは何回もサッカーをした。とにかく楽しかった。何回も「もったいないな」と言われた。「もっとしっかりサッカーやっていればな」と。確かに自分でもそう思うときはある。

でも、立教で得たものもそれなりに大きい。イギリスに来て、立教に入る選択をした自分を振り返ると、サッカーより大切なものがあると思って入ったのだろうと思う。でもまだはっきりとわかっていない。それを見つけるのが3学期の課題である。

やわらかい新雪。その上をすべる私。私の前には、足を揃え上手にすべる3人。いつも私は、3人を追うので必死だ。
今回の冬休みはスキーをするためにオーストリアに行きました。一昨年はスイス、去年はイタリアだったので、初めてのオーストリアスキーでした。
家を出て車で4時間半くらいでホテルに着きました。着いたのが午後12時だったのですが、運転で疲れたはずの父が、
「今からすべるぞ。」
と言い出したのですぐにスキー場に向かいました。
雪はかたく少なく、下がガリガリで、人も多いだろう、と思っていたら、意外と人は少なく、雪は多くて気持ち良くすべることができました。けれど、父、母そして兄はとてもスキーが上手なので、先にすべっていてもいつの間にか抜かされているほど速く、その上、リフトに乗っている時とご飯の時くらいしか休憩がないので、とても足がつかれました。でも、スキーは足がつかれる、転んでどこかをうつ、などの嫌なところしかないわけではないので、続けてきました。私が好きなところはリフトからや、すべっている時に見える景色です。リフトでは、小さな川が見えて、ウサギの足跡があり、すべっていると、山や町が見えます。綺麗でそこでしか見ることのできない景色がたくさんあるので好きです。
少しコブがあるコース。その上をすべる私。私の前をすべる3人。いつか私も3人のようになりたい。

2学期はあっという間だった。少なくとも、期末テストが終わった後はそう思った。しかしフィリピンに戻ってきてからの、なかなか治ることのなかった時差ボケや、みんなの顔を見られないことへの違和感や物足りなさが、2学期の長さ、そして充実感を物語っていた。
イギリスという異郷に3ヶ月間。今思えば体力がもった私はすごい。やはり1番のイベントはオープンデイだっただろう。私はこのイベントに非常に感謝している。これを機にクラスの人たちとの仲がぐんと縮まった気がする。クラスだけではない。生徒会の仲間との距離も信じられないくらい縮まった。今でもオープンでの記憶は鮮明に頭に残っている。そんなキラキラとした青春の1ページ、一生忘れなんてしないだろう。本当に立教英国学院に来てよかった。H2-1でよかった。そう思えた学期だった。

残すところあと1年である。今までの1年はひたむきに学校生活を楽しんできた。今学期からは違う。次のステップは、明るい未来に向けての勉強だ。自分が誰にも負けない自信と誇りをもって大学生活を楽しめるように、できる限りのことをしていかなければならない。
悲しさで涙が出そうだが、今学期には生徒会の活動も終わってしまう。生徒会を軸に回っていた私の学院生活。また新しい目標をしっかり見つけなければいけない。意義のある3学期を送るために。そして、未来への一方踏み出すためにも。

冬休みを終えて、またこの立教英国学院に帰ってきた。そこには先学期まで赤ネクタイをつけていた高3の先輩たちの姿はなかった。寂しさや味気なさを感じると同時に、僕らH2にはプレッシャーが重くのしかかってきた。

3学期はどの学年においても個々の意識の転換が求められる時期であると僕は思っている。特に僕らH2にとっては。先学期まで学校を引っ張ってくれていた先輩たちはもうここにはいない。これから僕らH2がこの学校の中心となっていかなければならないのだ。そんな状況の中で先学期までと同じ意識の持ち方のままではいけない。自分たちが最高学年でありこの学校の中心なるということに対する責任感を持ちながら生活していかなければいけないと思う。

大学受験まで約1年となった今こそ、意識を切り替えるのには良い時期だと思う。H2がしっかりとやっていれば、他の学年の生徒たちも自然としっかりしてくる。裏を返せば、僕らがしっかりしていなければ、学校全体がたるんでしまう。

1年後、僕らが卒業するときに、他の学年の生徒たちや先生たちに、よい学年だったと思ってもらえるような最高学年になるために、意識を切り替えていこうと思う。

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