アウティングは立教生が心待ちする行事の一つです。5月の遠足、高校1年生は大英博物館の見学をメインとするロンドントリップに出かけました。コーチに乗り込むと出発です。学校からロンドンまでの道のりは約1時間半。自然豊かな郊外から車は都心へ都心へと向かい、セントラルロンドンへと到着。

ロンドン到着後はグループ別のランチを満喫します。ハンバーガーにフィッシュアンドチップス。気の合う友人たちと思い思いの食事を楽しんだ後は再びコーチに乗って大英博物館へと移動。世界史の授業で、予習は十分の(はずである!)高1生に与えられたミッションは次の三つのものです。1.遺跡に関する展示を観て、教員の出題する遺跡にまつわる問いに答えること。2.展示物に独自の観察による名付けを行うこと。3.楔形文字を読んでみること。多くの観光客で賑わう大英博物館の雰囲気を味わいながら、生徒たちはロゼッタストーンやライオン狩りのレリーフ、ウルのスタンダードなどを注意深く観察していました。それにしても、教科書や資料集に掲載されている歴史的な遺産を実際に見られるとは!これも英国生活における醍醐味と言えるでしょう。集合時間には「時間が足りない」「もっと見たかった」という声が上がりました。生徒たちの心の中には興味の種がしっかりと蒔かれた様子です。

大英博物館見学後は、再びピカデリーサーカスに移動をし、自由行動とディナーです。活気あるロンドンの街を歩き、文化の違いに触れて充実したアウティングとなりました。

ところで、大英博物館での2つ目のミッションには個性豊かなネーミングが集まりました。「ポートランドの壺」には「強欲の壺」や「鬱壺」。「ゲイヤーアンダーソンの猫」には「猫の看板娘」や「切なさ」。観察したものと知識や経験を結び付けて、苦戦しながらも名前をつけたことで大英博物館の展示物がより身近なものに感じられたのではないでしょうか。知識は興味関心によって開拓され、経験に裏付けられて確かなものになっていきます。それぞれの心に撒いた種を大切に育んで欲しいと願っています。

インペリアルウォーミュージアム(IWM)へ着いて館内に入ったとき、私はとても興奮した。目の前の広々とした空間に突如として現れたのは、第二次世界大戦当時イギリス空軍の主役であったスピットファイア。そして冷戦時代に画期的な攻撃機として世界から注目を集めたハリアー。他にも第二次世界大戦においてイギリスを恐怖におとしいれたV-1ロケットなどだった。私は小学生の頃に零戦に憧れを抱いてからというもの、戦争で使われる兵器、特に第二次世界大戦のものに強い憧れとロマンを感じていた。日本においては、そういったものはタブーに近いもので、あまり実物などを見る機会がなかったため、館内で本当ははしゃぎ回りたい位に興奮していた。

IWMは4階まであり、私たちは下から順に見学することになった。1階では第一次世界大戦のものなどが展示されており、2階では第二次世界大戦のものが展示されていた。3階には戦争末期から冷戦のものが展示されており、特に実物大のシャーマン戦車はとてもロマンに溢れていた。
さて、私たちはその後最上階に上り、今回のアウティングのメインテーマであるホロコーストの展示を見ることになった。この展示はIWMの中でも特別視されており、入り口の前には警備の方が立っていた。

中に入った私たちを待っていたものは想像以上のものだった事は間違いない。少なくともそれまでの私の浮ついた興奮を底にまで押し下げる程には。内容は大まかに分けると、ヒトラーの台頭までの道のりと、ヒトラーの人種差別政策や、言動の弾圧の仕方。またどういった人たちが差別されていたのか。そして一番奥のブースにはアウシュビッツの紹介と模型、そしてそこにいた人々の写真が展示されていた。写真に映った人々は皆一様にガリガリに痩せていて、でも腹だけは突き出ていた。私は収容所にいる人たちの、特に監視などを担っていたドイツ軍人について考えさせられた。なぜ彼らはそんなに凄惨な行為を思いつきそれを実行できたのか。ただ憎しみだけで人はそんなことをしてしまうのか。今の私にはわからないが正直なところはわかりたくもないというのが本音だ。今回のアウティングは今までの中でも特に面白く、そして興味深く、考えさせられたので、行くことができて本当に良かったと思う。

学校説明会情報
2017年 日本での学校説明会・進学フェア
イギリスから担当教員が参ります。会場内に本校ブースを設け、個別相談に対応します。詳細は各ホームページでご確認ください。

3月26日(日)
10:00 – 16:00
中学高校進学相談会「よみうりGENKIフェスタ2017」 : 東京国際フォーラム ホールE
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
4月9日(日)
11:00 – 16:00
毎日新聞進学博 私立中学受験フェス2017 : 大阪 コングレコンベンションセンター
(JR大阪駅北口直結 グランフロント大阪)
5月21日(日)
10:00 – 16:00
朝日小学生/中高生新聞主催 難関私立中学・高校進学相談会 : 大阪 梅田 ハービスホール
(大阪市北区梅田2-5-25 ハービスOSAKA B2F)
5月28日(日)
10:00 – 16:00
ベネッセ進学フェア : 東京国際フォーラム B2F ホールE 1・2
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
6月3日(土)・6月4日(日)
13:00 – 18:00
埼玉東部進学フェア : 草加アコスホール
(埼玉県草加市高砂 2-7-1 アコス南館7F)
6月18日(日)
11:00 – 17:00
私立小学校・中学校・高等学校進学ガイダンス : 大阪コングレコンベンションセンター
(大阪府大阪市北区大深町3−1 グランフロント大阪北館 B2F)
7月17日(月・祝)
11:00 – 16:00
朝日新聞社主催 中学・高校進学サポートフェア:大阪 梅田スカイビルタワーウエスト10F
(〒531-6023 大阪府大阪市北区大淀中1−1)
7月22日(土)・23日(日)
10:00 – 17:00
彩の国進学フェア:さいたまスーパーアリーナ
(埼玉県さいたま市中央区副都心8番)
7月29日(土)
11:30 – 16:30
JOBA学校フェア:ベルサール汐留
(東京都中央区銀座8-21-1 住友不動産汐留浜離宮ビル1F・2F)
8月5日(土)、6日(日)
11:00 – 16:00
首都圏進学フェア千葉:幕張メッセ国際会議場
(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
9月18日(祝・月)
11:00 – 15:30
NPO塾全協 私立中高進学相談会:新宿西口 新宿NSビル B1 展示ホール
(〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目4−1)
9月18日(祝・月)
10:00 – 16:00
開成進学フェア:大阪 マイドームおおさか
(〒540-0029 大阪府大阪市中央区本町橋2−5)
9月23日 (土・祝)
10:00 – 17:00(予定)
臨海セミナー主催「2017私立高校入試相談会」:パシフィコ横浜展示ホールD
(横浜市西区みなとみらい1-1-1)
2017年 海外での学校説明会
当該校の生徒・保護者以外で参加をご希望の方はイギリス本校までお問い合わせ下さい。

6月15日(木)
パリ日本人学校
7月3日(月)
モスクワ日本人学校
7月5日(水)
ミュンヘン日本人学校
2017年 海外子女教育振興財団主催 学校説明会・相談会
財団のホームページからの事前予約が必要です。イギリスから担当教員が参ります。会場内に本校ブースを設け、個別相談に対応します。(事前予約ページはこちら)

7月27日(木)
12:00 – 15:30
大阪会場(大阪国際会議場 グランキューブ大阪)
(大阪市北区中之島5丁目3−51)
7月28日(金)
12:00 – 15:30
名古屋会場(愛知県産業労働センター ウインクあいち)
(名古屋市中村区名駅4丁目4−38)
8月1日(火)
12:00 – 16:00
東京会場(東京都立産業貿易センター台東館)
(台東区花川戸2−6−5)
2017年 立教英国学院学校説明会
予約は不要です。イギリスから担当教員が参ります。スライド・ビデオによる説明があります。説明会の後、個別相談も受け付けます。

2013年8月に立教大学で開かれた本校学校説明会の様子はこちらからムービーでご覧いただけます。

6月11日(日)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室 名駅モリシタ名古屋駅前中央店7F第6会議室)
6月11日(日)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル 16階G会議室)
6月25日(日)
15:00 – 17:00
東京池袋(立教大学15号館マキムホールM301)
7月29日(土)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
7月29日(土)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル)
7月30日(日)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
8月18日(金)
14:00 – 16:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
8月19日(土)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル)
8月20日(日)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
9月24日(日)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
10月29日(日)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
11月3日(祝・金)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
11月3日(祝・金)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル)
12月9日(土)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学 8号館2階8202教室)

アウティングは立教生が心待ちする行事の一つです。5月の遠足、高校1年生は大英博物館の見学をメインとするロンドントリップに出かけました。コーチに乗り込むと出発です。学校からロンドンまでの道のりは約1時間半。自然豊かな郊外から車は都心へ都心へと向かい、セントラルロンドンへと到着。

ロンドン到着後はグループ別のランチを満喫します。ハンバーガーにフィッシュアンドチップス。気の合う友人たちと思い思いの食事を楽しんだ後は再びコーチに乗って大英博物館へと移動。世界史の授業で、予習は十分の(はずである!)高1生に与えられたミッションは次の三つのものです。1.遺跡に関する展示を観て、教員の出題する遺跡にまつわる問いに答えること。2.展示物に独自の観察による名付けを行うこと。3.楔形文字を読んでみること。多くの観光客で賑わう大英博物館の雰囲気を味わいながら、生徒たちはロゼッタストーンやライオン狩りのレリーフ、ウルのスタンダードなどを注意深く観察していました。それにしても、教科書や資料集に掲載されている歴史的な遺産を実際に見られるとは!これも英国生活における醍醐味と言えるでしょう。集合時間には「時間が足りない」「もっと見たかった」という声が上がりました。生徒たちの心の中には興味の種がしっかりと蒔かれた様子です。

大英博物館見学後は、再びピカデリーサーカスに移動をし、自由行動とディナーです。活気あるロンドンの街を歩き、文化の違いに触れて充実したアウティングとなりました。

ところで、大英博物館での2つ目のミッションには個性豊かなネーミングが集まりました。「ポートランドの壺」には「強欲の壺」や「鬱壺」。「ゲイヤーアンダーソンの猫」には「猫の看板娘」や「切なさ」。観察したものと知識や経験を結び付けて、苦戦しながらも名前をつけたことで大英博物館の展示物がより身近なものに感じられたのではないでしょうか。知識は興味関心によって開拓され、経験に裏付けられて確かなものになっていきます。それぞれの心に撒いた種を大切に育んで欲しいと願っています。

2017年 日本での学校説明会・進学フェア
イギリスから担当教員が参ります。会場内に本校ブースを設け、個別相談に対応します。詳細は各ホームページでご確認ください。

3月26日(日)
10:00 – 16:00
中学高校進学相談会「よみうりGENKIフェスタ2017」 : 東京国際フォーラム ホールE
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
4月9日(日)
11:00 – 16:00
毎日新聞進学博 私立中学受験フェス2017 : 大阪 コングレコンベンションセンター
(JR大阪駅北口直結 グランフロント大阪)
5月21日(日)
10:00 – 16:00
朝日小学生/中高生新聞主催 難関私立中学・高校進学相談会 : 大阪 梅田 ハービスホール
(大阪市北区梅田2-5-25 ハービスOSAKA B2F)
5月28日(日)
10:00 – 16:00
ベネッセ進学フェア : 東京国際フォーラム B2F ホールE 1・2
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
6月3日(土)・6月4日(日)
13:00 – 18:00
埼玉東部進学フェア : 草加アコスホール
(埼玉県草加市高砂 2-7-1 アコス南館7F)
6月18日(日)
11:00 – 17:00
私立小学校・中学校・高等学校進学ガイダンス : 大阪コングレコンベンションセンター
(大阪府大阪市北区大深町3−1 グランフロント大阪北館 B2F)
7月17日(月・祝)
11:00 – 16:00
朝日新聞社主催 中学・高校進学サポートフェア:大阪 梅田スカイビルタワーウエスト10F
(〒531-6023 大阪府大阪市北区大淀中1−1)
7月22日(土)・23日(日)
10:00 – 17:00
彩の国進学フェア:さいたまスーパーアリーナ
(埼玉県さいたま市中央区副都心8番)
7月29日(土)
11:30 – 16:30
JOBA学校フェア:ベルサール汐留
(東京都中央区銀座8-21-1 住友不動産汐留浜離宮ビル1F・2F)
8月5日(土)、6日(日)
11:00 – 16:00
首都圏進学フェア千葉:幕張メッセ国際会議場
(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
9月18日(祝・月)
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NPO塾全協 私立中高進学相談会:新宿西口 新宿NSビル B1 展示ホール
(〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目4−1)
9月18日(祝・月)
10:00 – 16:00
開成進学フェア:大阪 マイドームおおさか
(〒540-0029 大阪府大阪市中央区本町橋2−5)
9月23日 (土・祝)
10:00 – 17:00(予定)
臨海セミナー主催「2017私立高校入試相談会」:パシフィコ横浜展示ホールD
(横浜市西区みなとみらい1-1-1)
2017年 海外での学校説明会
当該校の生徒・保護者以外で参加をご希望の方はイギリス本校までお問い合わせ下さい。

6月15日(木)
パリ日本人学校
7月3日(月)
モスクワ日本人学校
7月5日(水)
ミュンヘン日本人学校
2017年 海外子女教育振興財団主催 学校説明会・相談会
財団のホームページからの事前予約が必要です。イギリスから担当教員が参ります。会場内に本校ブースを設け、個別相談に対応します。(事前予約ページはこちら)

7月27日(木)
12:00 – 15:30
大阪会場(大阪国際会議場 グランキューブ大阪)
(大阪市北区中之島5丁目3−51)
7月28日(金)
12:00 – 15:30
名古屋会場(愛知県産業労働センター ウインクあいち)
(名古屋市中村区名駅4丁目4−38)
8月1日(火)
12:00 – 16:00
東京会場(東京都立産業貿易センター台東館)
(台東区花川戸2−6−5)
2017年 立教英国学院学校説明会
予約は不要です。イギリスから担当教員が参ります。スライド・ビデオによる説明があります。説明会の後、個別相談も受け付けます。

2013年8月に立教大学で開かれた本校学校説明会の様子はこちらからムービーでご覧いただけます。

6月11日(日)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室 名駅モリシタ名古屋駅前中央店7F第6会議室)
6月11日(日)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル 16階G会議室)
6月25日(日)
15:00 – 17:00
東京池袋(立教大学15号館マキムホールM301)
7月29日(土)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
7月29日(土)
15:00 – 17:00
大阪(梅田センタービル)
7月30日(日)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
8月18日(金)
14:00 – 16:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
8月19日(土)
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大阪(梅田センタービル)
8月20日(日)
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東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
9月24日(日)
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東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
10月29日(日)
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東京池袋(立教大学太刀川記念館多目的ホール)
11月3日(祝・金)
10:00 – 12:00
名古屋(名古屋会議室プライムセントラルタワー名古屋駅前店 )
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大阪(梅田センタービル)
12月9日(土)
14:00 – 16:00
東京池袋(立教大学 8号館2階8202教室)

今回のアウティングで、私たち2年生は帝国戦争博物館を訪れました。たくさんの飛行機や武器を見ることができ、戦争の惨さを視覚的に理解する事ができました。その中でもホロコーストの展示が一番印象的でした。私はホロコーストの知識があまりないまま今回のアウティングを迎えました。小さい時に「アンネの日記」の映画を観ましたが、大勢の人が殺された怖い出来事という印象が強く、この年になるまで詳しく知ろうとはしなかったように思います。知ろうともしなかった自分を恥ずかしいと感じたと同時に、私のような若者の歴史への関心の薄さが社会的に問題であるとも感じました。

展示では生々しい写真も多くあり、自分と同じ人間が受けていたとは思えないほどの扱いをされていた人々が多くいたことが分かりました。同じ尊さをもつ命であるのにもかかわらず、人間が人間を殺したこと、なおかつ戦争のようにお互いが殺し合うのではなく抵抗のできない人々を大きな力で押さえつけていたという事実が本当に恐ろしかったです。聖書の授業で観た映画とも重なりますが、自分に逆らうからという理由で気に入らない相手を攻撃するのは人間の狂気であると感じました。国、さらには世界全体が戦争を促していた時代があったということを再認識しました。

今回のアウティングを通し、現代に生きる私たちが最初にしなければならないことは、発言することでも行動することでもなく、真実を知ることであると強く思いました。かつて世界で本当に起きた出来事を思い出したくないものとして封印してしまうのではなく、決して忘れないでそこから多くのことを学ぶべきです。平和な環境にいる私には他人事のように思えていましたが、私も社会の一員としてしっかり意見をもたなくてはと思いました。

え?王立研究所?文系の私が?絶対何も分からないに決まっているよ・・・。食事中突然先生から理系に混ざって行動するよと言われた私は一瞬硬直しました。夏休みのサマープログラムの予習をしっかりしてきてね、って、いやいや、無理ですよ。化学も物理も生物も選択していない生粋の文系の私が話について行ける訳無いじゃないですか。気分は曇天、しかし当日は皮肉なことに晴天。視界にRI(The Royal Institution)の旗が入り、いよいよだと意を決して中に入っていきました。
想像していたとおり、私にとっては遠い世界の実験道具やら装置やらがずらっとガラス越しに並んでいました。ハンフリー教授が発明した爆発しない炭鉱労働者用の安全ランプ(なにやらメタンガスと反応しないように網で囲み、熱を吸収できるようにしていたそうです)。それからチンダル教授が、空が青く見える現象を説明するのに使った実験道具(たしか青色が一番反射しやすいからだそうです)。更にファラデーが長い間苦労したのに成功しなかった分厚い歪なレンズ(天才も失敗するのかと安心しました)。他にも数え切れない程のものが収められていました。先生の解説さえも理解するのに苦労することが多かったのですが、分かるとどれだけこの研究所がすごいのか気づきました。私たちが理科で習った元素のうち十個がここで発見されたらしいです。
次はもっと勉強してから行きたいな、と思いました。曇天からはじまったアウティングは、なんだかんだ楽しくたくさんのことを学べて良いものになりました。

今回のアウティングでロンドンにある帝国戦争博物館に行きました。目的は過去の失敗を学び、現代にその失敗を繰り返さないことです。その博物館の4階はナチスがユダヤ人を虐殺した「ホロコースト」についての展示でした。そこで新しく知ったのは、ナチスは知識の統制のために本を焼いたこと、「国のために働くナチス」を印象づけるポスターをばらまいたことでした。
私の好きな本・映画に「図書館戦争」があります。この話の内容は、ナチスが第二次世界大戦当時に行ったことと似ています。政府が国民を思うがままにしたいために、国民が知識を持たないように本を焼くのです。それではいけないと立ち上がったある登場人物の言葉に「本を焼く国は、いずれ人も焼く」と言うものがあります。この言葉はナチスがやったことそのものです。ナチスは最初本を焼き、最後には人を焼きました。私はこの言葉を思いだし、その意味を改めて実感しました。
私はここで過去の失敗について学びました。では私たちがその失敗を繰り返さない、つまり第三次世界大戦を起こさないためにはどうすればいいのでしょうか。それは一人ひとりが自分自身の知識を使って、情報をしっかり判断し、どうすれば失敗を繰り返さないか考えることだと思います。例えば身近な選挙などです。まず選挙のしくみを理解する。次に各政党の政策が自分の考えと合っているかを判断し、考えることです。
大切なのは、学び、考えること。「ホロコースト」の学習を通じて、私はそう考えました。

今回は理系に関する多くの場所へ訪れました。その中でも一番関心を持ったのはチンダル教授が筒を使って子供や女性などの一般市民に「なぜ空が青く見えるのか」という疑問の答えを教えたことです。チンダル教授はイギリスの物理学者で、ファラデーの後を継いで王立研究所の教授になり、大気中の太陽光線の現象、熱輻射の研究を行い、1868年に微粒子が光を散乱するチンダル現象を発見し、空の青色を説明し、熱現象の分子論的見解を支持し、マクスウェルが唱えた分子運動としての熱の理論を普及させた人物です。「なぜ空が青く見えるのか」という疑問の答えは、チンダル現象の光の波長程度の大きさの微粒子が浮遊している透明物質に光を照射して側方から観ると、その微粒子によって光が散乱され、光の通路が濁って見える現象によるということです。この現象を教養のない子供や女性に教えるためには理解できるように簡単な言葉を用いたり、簡単でわかりやすい実験をしなければならず、かなり高度な知識が必要になると思います。この実験に用いた筒は肩幅くらいの小さな実験器具で、その中に煙を入れることによってチンダルは教養のない一般市民にもわかりやすく現象を説明してくれました。
この他にも日常には様々な疑問が隠れていると思います。何気ないようなことにも関心をもって、さらに化学への興味がもてるようになればいいなと思いました。

人の嫉妬は怖いと改めて感じた。私は今回のアウティングで帝国戦争博物館へ行った。この博物館には第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦、ホロコーストに関する展示があった。戦争の恐ろしさについては授業で習ったことがあった。だから全く知らなかった訳ではなかったけれど、リアルだった。兵器、軍服、当時の生活の全てがあった。授業では観たこともないような残酷な写真もたくさんあった。なぜこんなにもたくさんの国が戦い合うことになってしまったのだろうか。
アウシュビッツがわかりやすい理由のひとつだと私は思う。当時のユダヤ人は裕福な人が多く、仕事もうまくいっていた。それに対し、ヒトラー率いるドイツ人は第一次世界大戦で負け、不景気で多額の借金があり最悪な状態だった。ここに私はドイツ人からユダヤ人への大きな嫉妬があったのだと思う。ヒトラーのことを最初は誰も止めなかったのだから。人の嫉妬は怖いと思った。小さな嫉妬も集まれば大きなものとなり、そしてこのような大量虐殺につながった、そう思ったからである。
本当にこんなことがあったのだろうか?信じられない写真もたくさんあった。実際に当時の写真を観ると、前にも増して、「もうこのような過ちがない世界を」そう思うことができた。

(高等部2年生 女子)

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