私にとって最初で最後。これは、立教に来てからどのイベントにもあてはまるだろう。だが、このオープンデイだけは、このオープンデイだけは最初で最後で終わらせたくないイベントだった。
 夏休みに入る前から少しずつ色々なことを決めてきた。話し合いにならなかったときも数知れずあった。二学期に入ると、その話し合いはヒートアップし、模造紙に下線引きをしたり、うら紙をあつめて大きな紙をつくったり、毎日当番を決めてクラス全員一丸となって進めてきた。この頃から少しもめたり、モヤモヤした気持ちになったりもした。そしてオープンデイ一週間前、授業が無くなり、いよいよオープンデイ期間が始まった。私は背景班になり、毎日毎日寒い体育館でペンキに汚れながら色をぬった。よく周りの先輩が言っていた「体育館はただの地獄」の言葉がよくわかる気がした。でもどんなに寒くても、時間が無いので休んでいるわけにはいかなかった。そしてオープンデイ当日、たくさんのお客さんが訪れるなか、中三の企画は大盛況でほんとうに嬉しかった。出口にあるぬり絵コーナーにはたくさんのあたたかいメッセージが書かれていて、ここまでやってきて良かったと思った。
 そして結果は異例の一位。高校生を抑えての一位だった。もうどう表現したらいいか分からないがこれだけは言える。このメンバーでやってきて良かった。
(中学部3年生 女子)
ここ数日秋にしては暖かな日が続いたが、今日は久しぶりに冷え込んだ。昨日がハロウィーン。町のあちこちにはまだカボチャのお化けや黒装束の魔法使い人形などの姿も見られるが、そろそろクリスマスの飾りつけも始まる頃。ということで、今日の中学部1年生フィールドワークは「クリスマス」について、街を行き交う人たち、お店で働く人たちにインタビューをすることにした。
実質今学期のフィールドワークはこれが最終回ということもあり、また、これまでのフィールドワークでの獲得ポイントの累計を前日に発表したこともあって、今日は皆出かける前からかなりの意気込みだった。
「先生!余分のインタビュー用紙最初から貰えませんか?」
「今日は絶対Aさんに勝ちますよ!」
そう言えば、昨晩のうちに質問をワード文書にまとめてタイプをして覚えていた生徒もいた。
「今学期の獲得ポイントに応じて学期末にご褒美をあげますからね。」
中学1年ぐらいだとまだこういう動機付けにも素直に反応してくれる。
もちろんご褒美は用意してある。それ目当てでもしっかりイギリスの人たちと会話をしくれればそれでいい。
実際、既にこの子達は英語で話す面白さを知っている。自分たちの英語が「使える道具」だということに気づいている。
あとは「もっと伝えたい!」という気持ちになるまで、このフィールドワークをしっかり楽しんでもらえればいいと思う。
Horshamの街に着くと、一緒に来た中学部2年生と別れて中学部1年生の担当する場所までみんなで歩いた。
「先生、まだ〜!」
「集合場所を確認してからね。」
「そこに着くまでにインタビュー始めてもいいですか!」
今日は一体どんなことになるのだろう?明らかにいつもの2倍のテンションはある。
「はい、それではここに3時5分に集合ですよ。丸々30分はありますからしっかり聞いてらっしゃい。」
ハーイ!と三々五々散らばりながらも早速そこここでインタビューが始まった。
あっ、その人はちょっと急ぎ足だからやめた方がいいかも…
と思うのは大人の感覚? そんな人ともしっかりインタビューを始めている。中1くらいの日本人の子供が「I’m practicing English. May I ask you a few questions?」と笑顔で近づいていったらよっぽどのことでない限り足を止めるしかないのかも…
今日は今までとは少し様子が違ってきたことにも気付いた。この子達は 随分色々な人に話しかけられるようになった。
インタビューを始めたばかりの頃は、「なるべくゆっくり歩いているご老人に話しかけてごらんなさい。」と勧めていたのだが、今はもう、若い人や子連れのお母さん、ビジネスマン風の男性やちょっと怖そうなお兄さんにまでインタビューをしている。歩道に並べられたカフェのテーブルでお茶をしている人たちに話しかけたり、停留所でバスを待っているおばさん達のところへ行ったり… あまり人を選ばなくなった気がする。誰にでも話しかけられる勇気、あるいは自信みたいなものが持ててきたのかもしれない。
集合時間になるといつも通りの「あともう一人だけいいですか?」「この場所で聞くならいいでしょ?」が始まった。
視界にはほぼ全員集まっているのだが、なかなかインタビューが途切れず、切り上げるタイミングが難しい。
「はい、それでは行きますよー! 中2の先輩たちが待ってますからねー!」
駐車場へと歩く道すがら、今日のポイント数を言い合いながらワイワイガヤガヤと楽しそうにやっていた。
インタビュー用紙を集めて教員室に戻り、今日の収穫を一枚一枚見ていく。「クリスマスのメッセージ」を書いてもらうという欄もあるのだが、いろいろなメッセージがあった。
“Have a lovely Christmas!” “Good luck and enjoy your stay in England” “Well done! Better than my Japanese!” “Very good English. Very brave.” “Enjoy your Christmas and have fun, eat lots! All the best for 2017!” “Ho Ho Ho Santa’s coming to get you!”  …などなど。
子供達がホーシャムの街で集めてきたイギリスの人たちからの温かいメッセージ。そう言えば… 少し冷え込み始めた曇り空の下でのインタビューだったのに、生徒たちと話していた人たちは皆んな優しそうな笑顔だった。もうすぐそこまで近づいているクリスマスが皆んなを幸せな気分にしていたのかも知れない。そんな人たちが書いてくれた直筆のメッセージを見ながら地元のイギリス人の温かさをひしひしと感じた。「英語」はもちろん、それよりももっともっと大切なものを学んでいる子供達が少し羨ましくなった。
今学期最後のフィールドワークも大成功だった。
2016m3opendayfndオープンデーから三日たった教室は、机と椅子だけの簡素な部屋へと戻っていた。しかし、注意してよく見てみると、所々に剥がされていないテープや、掃除機で吸い取れなかった切れ端があることに気付かされる。こういった時、普段なら自然と手を伸ばして捨ててしまうのだが、どうしても頭の中で映画の様にたどたどしく流れる、懐かしい思い出が僕を邪魔するのだ。目を閉じ、自分の記憶に浮かぶ最初、つまり準備期間の一日目から思い返す。
 椅子や机が退かされた教室は只々、広々としていて一体、何を何処から始めたら良いのか全く見当がつかなかった。正直、自分に周りから求められている物が出来るのか、不安だった。今年になり、人数が一気に増えた中学三年は去年よりも一人あたりの仕事は減ったものの、昨年以上の質を要求されている。そのため、去年看板、背景や模型と仕事が山ほどあり多忙だった僕も、模型と七日間ずっとにらめっこするはめになったのだ。そんな僕を初めに待っていたのは白紙の設計図だった。模型を作るのに木材がどれ程必要なのか明確にするためにはどうしても苦手な設計図を描かなければいけない。それ以外にも使用する素材や、模型の大きさや色、土台の固定法などといった解決すべき問題が沢山ある。準備期間中はまさに自分との戦いだった。他の人に代わって欲しいとか、教室へ行きたくないとか、そんな思いで頭の中がグチャグチャに掻き混ぜられていく。なによりも皆からの期待が大きなプレッシャーとなった。
 僕が一人で頭を抱えている。そんな時、一緒に悩んでくれるクラスメイトがいた。難しい事も平気な顔で手伝ってくれるクラスメイトがいた。それが僕にとってどれ程大きな救いだっただろうか。彼らにとっては当たり前の事かもしれないが、その行動の一つ一つ、言葉の一単語までもが僕を支えてくれた。前へ押してくれた。こうして何とか完成した模型は少し不恰好で、首が短いと指摘されたりもしたが、それはそれで何処かしっくりとくる。中々に愛着を感じる物だった。
 オープンデーが終わり、教室は沈黙に覆われている。そんな中で僕はふと視界の隅に剥がされていないままのテープを見つけた。いつもなら捨てられるゴミを僕は捨てられない。胸の奥から何か温かいものが込み上げてくる。僕はゆっくりと視線を白板の上に堂々と飾られている紙へと向けながら、目を閉じて思い出していく。白と黒だけの一位の表彰状よりもこの思い出の方が鮮やかに感じた。僕にはこのゴミを拾う事が出来ない。どうしてもこの残り香が消えてしまいそうで怖いのだ。
(中学部3年生 男子)
オープンデーを経験して一番思ったことは楽しむことは大切ということだ。
 オープンデーの準備期間中、良いアイディアが思い浮かばなかったり、思い浮かんだアイディアをなかなか形にすることができなかったり、楽しくない作業ばかりでつまらなかったり、みんなお互いにいろいろな不満を持ち、友達関係がギクシャクしたり大変なことばかりだった。
 その大変なことばかりだったオープンデー準備期間中、大変じゃないなと思った瞬間もあった。そのときはいつも楽しむことを最優先に考えてやっていた。自分が楽しむことによって相手も楽しくなって、友達とさらに仲良くなることが出来たり、楽しみながら作った作品によって達成感を味わえたりと、とても充実感があった。このことは何でもあてはまると私は思う。例えば体育の授業、これは上手にやることができなくても楽しむことができれば良いと思う。
 オープンデー当日、先輩や後輩、親やお客さんにほめられ、頑張ってよかったという気持ちになれた。大変なこと、つらいことを楽しむことができるだけで良い思い出になるんだと思えたオープンデー。残りの2学期、楽しくないことも増えていくと思うが楽しむ気持ちを忘れずに、充実した立教生活にしたいと思う。
(高等部1年生 女子)
高3最後のアウティングは綺麗な晴れ空で風が少し肌寒い。ロンドン・アイに乗り込んで徐々に地面が遠くなる。もう何回目だろうか、そんなことを考えていた。皆がはしゃいでいる。なんだか子供みたいだった。それは私も含めて。2組だけとは言え、皆でどこかへ行くのも最後なのだと思うと少し寂しい。立教英国という特別な環境で、騒いだり、感動したり… そんな皆でしてきた当たり前だったことがもうなくなるのだから。
ロンドン・アイは少しずつ、けれども確実に高くなってきている。もう少しでてっぺんだ。遠くの景色まではっきり見える。もしイギリスに来ることなんて知らない昔の私を見たらこう言いたかった。
「18歳の私は、人生のてっぺんにいるぞ。」
本当に幸せな気持ちになる。
誰かが、「頂上に着いた!」と叫んで、群がる皆の元に私も駆け寄った。
ビッグ・ベンが太陽の光を浴びてキラキラ輝いていた。
(高等部3年生 女子)
2016opendayessaychn - 1 (1)「模造紙部門第1位は…(ダカダカダカダカダカダカダカダカ・・・ダン!)高等部1年 世界はこれをトイレと呼ぶんだぜ」
 これを聞いた時、とび上がって喜んで興奮がおさまらなかった。
 私は、OPEN DAYで模造紙班として活動した。字が汚く、サボりぐせのある私は、大きな仕事はもらえず、最初はひたすら雑用係として働いていた。それでも、その雑用は、「消しゴムかけ」という模造紙の仕上げである重要なものだったので本気で取り組んだ。そうこうしているうちに模造紙は全て完成し、色々な班をてんてんとしながら手伝ってOPEN DAY 当日になった。お客様が入場してくる前に1人でクラス展示を見て回った時は、まだなんだかやりきったという感覚がなかった。
 じょじょにテンションが上がってきたのはクラス展示の受付をしていたときだった。そこで、出て来た英国人の方が”Amazing!”と言ってくれた時だった。これならまだ「あるある」だと思ったが、よほど私たちのクラス展示を気に入ってもらえたのか、もう一度、見に来てくれたのだ。これには私もうれしくなってしまった。
 そしてOPEN DAY は無事終了し、翌日、表彰式があった。そこでは「模造紙部門第1位」の他にもう1つ、感極まった賞があった。それは、「お客様賞第1位」だった。これは、来てくださったお客様の投票で決まる賞だ。OPEN DAYは、ただの自己満足ではなく、お客様のためにやるものだと思っているのでとてもうれしかった。
 来年のOPEN DAY、完全優勝を目指して頑張りたい。
(高等部1年生 男子)
h12016t2outingmtmtessay「日本人の方ですか?」
突然、流暢な日本語でそう話しかけられた。私は自分が立っている場所を思い返した。
イギリス、ケンブリッジ、マーケットの近くのサブウェイの目の前。私は咄嗟のできごとに困惑し、頭の回転が止まった。
かろうじて
「えっ?」
という声を発することができた。すると彼女はもう一度、流暢な日本語で、
「日本人の方ですか?」
と聞いてきた。戸惑いつつも、
「はい、そうですが…。」
と答えると、彼女は満面の笑みで、
「私、イギリスで日本人の人と会えて感動しています!」
と言った。
私はまだ戸惑っていたが、そう言われると少し嬉しくなり、
「日本語、とてもお上図ですね。」
と返した。すると彼女は、彼女がつい最近までずっと日本に住んでいたことなどを話してくれた。彼女は自分のことと二人の友人のことについて少しばかり話してくれた後、私たちに質問した。
「日本から修学旅行で来たんですか?」
私は、自分が立教英国学院の生徒であること、アウティングについての説明をした。さらに少し話して別れたが、その後で、偶然にも二人の先生方にお会いしたのでこの出来事を伝えると、二人とも口を揃えて
「なぜ連絡先を聞かなかった」
と仰られた。
1人の方からはそういった反応があるとは思ったが、もう1人の方からも言われるとは思いもしなかったので話を聞いたところ、
「何事にも積極的に動くことが人生において大切だよ」
と言われた。
このアウティングを通して人生について問われるとは思っていなかったので、驚いたが、良い経験となったのでこれからの人生に活かしたいと思う。
(高等部1年生 男子)
OLYMPUS DIGITAL CAMERAあー、もう最後のアウティングだ、そう誰かの呟き声が耳に入ってきた。私は耳を疑った。正直まだ信じることができなかった。「最後」という言葉が引っかかったのだ。1年前から覚悟はしていた。これから行うすべての行事がもう「最後」なのだと。オープンデイのクラス企画、合唱コンクール、球技大会… 一つ一つ終わっていった。だがアウティングだけは、行く場所が違うにしろ、毎学期あった。そんなアウティングももう今日で最後、そう考えるとなんだか急に涙がこみ上げてきた。
アウティング当日。私たちはロンドン・アイ、大英博物館、ミュージカル、ショッピング、たくさんの事を全力で楽しんだ。特にロンドン・アイは私の中で特別な思い出となった。大英博物館やミュージカルは何度も見た事があった。だがロンドン・アイはいつも外から見るだけで終わっていて、ロンドンに住んでいるのに乗ったことがなかった。クラス皆で乗ったこの思い出はかけがえのないものとなった。
帰りのバスの中でふと周りを見渡した。笑いあっている人、話している人、寝ている人、そんな皆の姿が目に映る。3年間あっという間だったな、ただそう思った。通ったことのない丘を越え、たくさんの不安や期待を抱えて校門をくぐった日がついこの間のように感じる。だが、とても早く感じたけれど、思い出をよく思い返してみると、一つ一つがすごく濃いもので、楽しい事ばかりではなかった。辛い事ももちろんあった。そんなたくさんのことを得て、何回りも成長した3年間だったと思う。
もう行事はほとんど終わってしまったけれど、毎日共に生活する仲間、先生方がいるこの貴重な環境での生活を悔いなく過ごしていきたい。
(高等部3年生 女子)
10月23日(日)秋晴れの中、オープンデーが行われました。今年は例年に比べ2週間早い日程での開催になったので、準備の時間も短くなりました。無事にこの日を迎えられるのかという不安と焦りに見舞われる生徒もちらほら見られましたが、最後の最後まで粘ってこだわって、何とか準備完了!今年のオープンデーのテーマは「Inspire」です。
オープンデーは、立教英国学院を皆様に知ってもらうための日です。保護者の方や兄弟姉妹はもとより、地域の方々、ホストファミリーになってくださった方々、交換留学で知り合った友達、そのまたお友達や家族・・・と、本当にたくさんのお客様にご来場いただき、500名を越す大盛況となりました。
生徒は、クラスごとにテーマに沿って展示発表を行います。今年は以下のようなテーマで発表がありました。
小学生「Enjoy! Tea Time」
日本茶、紅茶、ウーロン茶はみな同じ茶葉から作られるというのをご存知ですか?お茶の葉の作り方や、おいしいお茶の入れ方など丁寧に調べて紹介しました。実際にお茶を急須で入れて、試飲もしてもらいました。そのお茶のおいしいことといったら!!安らぎのひと時を提供してくれました。
中学部1年「空に描く夢」
アニメに登場する飛行機や、実際の飛行機の種類の紹介、紙飛行機をうまく作って遠くまで飛ばす実験など、いろいろな角度から飛行機について紹介しました。日本で始めての飛行機設計は江戸時代。鎖国中とはいえ、海外の動き・発明にも実は敏感であったことが伺えました。自分で折った紙飛行機で的を狙うコーナーも、とても楽しんでいただけたようでした。
中学部2年「ガリガリ君」
日本で人気のアイス、ガリガリ君。特に若者から多くの支持を得ています。キャラクターについてや、これまで発売されてきた味・種類、どこでどのように製造されているかなど、初めて知る内容に「そうだったんだ!」の連続でした。
中学部3年「ポケモン 魂(ソウル)」
世界中で大人気のポケットモンスターについて調べました。人の背丈よりも大きな模型を二体製作し、インパクト大でした! 生徒投票で今年度の総合優勝を獲得しました。
高等部1年「世界はこれをトイレと呼ぶんだぜ」
生活に必要不可欠なのに、決して主役にはなれないトイレについて、まじめに考え発表しました。トイレ事情によって、歴史や文化も浮き彫りになります。「江戸時代の人が洋式トイレを始めて見たらどうやって使うだろうか」「トイレについていたら嬉しい機能」など、ユーモアも交えた興味深い発表でした。総合3位を獲得しました。

高等部2年「NIPPON GO」
伏見稲荷大社、夏の花火、雷門とお祭りの夜の再現の3つのブースで日本について紹介しました。情報の授業で勉強したLED回路を利用した花火の製作や、遠近法を利用して背景と模型で表現された千本鳥居、本物そっくりのチョコバナナの食品サンプルなど、細部にこだわりの詰まった発表でした。今年度の総合2位を獲得しました。
高等部3年生は、食堂や焼き鳥、から揚げ、和菓子・パン売り場、バザーに福引といった各ブースでお客様をもてなしました。看板をデザインしたり、ダンスや扮装で盛り上げたりと、お客様に喜んでいただこうとする意気込みは、さすが高3でした。
また、スクールコンサートや、クラスでの展示とは別に、学年関係なく集まって活動する生徒会主催の企画もありました。企画では、剣道、パフォーマンス、茶道、琴、フラワーアレンジメント、チャリティー、演劇の7つの企画に分かれて教室展示や舞台発表、デモンストレーションを行いました。
どの展示、どの企画も、お客様へのご挨拶一つをとっても、大変熱のこもった、良いものに出来上がっていました。6月から準備をしてきたオープンデーも終了し、名残惜しい気持ちでいっぱいですが、クラス全員が泣いたり笑ったりしながら1つのことに打ち込むことができた経験は、生徒たちの大きな糧になったことでしょう。
2016年10月5日、水曜日。高校3年生にとって、最後のアウティングの日。今日ばかりは授業も毎日夜遅くまで行う自習もなく、少し羽をのばすことができる小休止の日なのだ。朝9時、バスに乗り込み、ロンドン・アイを目指す。少しの濁りもない水色のグラデーションがかかった空と真っ白な雲、スムーズな交通状況。なんだかすべてがこの日のために上手く歯車が回っているような順調さだった。
 ロンドン・アイとは1つのカプセルにクラス全員が丸ごと収まってしまう大観覧車である。頂上に着くころにはテムズ川やビッグベンなどを始めロンドンの街並みが一望できるのだ。バスは11時前に到着し、クラスごとにカプセルに乗り込んでいく。どんどん上昇する景色に興奮する声とカメラのシャッター音が溢れていった。生徒たちの弾むような会話と表情の動きが印象的だった。
 バスでピカデリーに移動してからは、班行動で昼食を食べ、その後全員で大英博物館を見学し、班での自由行動と夕食になる。19時の集合時には、手に手にお土産の入ったバッグやアイスクリーム、タピオカの入ったミルクティーなどを持ち、満足そうな表情が見られた。
 19時半からはアウティングのラストイベントであるミュージカルを観る。去年チケットを取ることのできなかったレ・ミゼラブルをとうとう観劇することができるのだ。席は1階の中央より少し後ろ側。小劇場ではその位置でもステージが十分近くに感じる。約3時間強の間、舞台に通る歌声と、迫力のある動きや舞台装置に魅了され、あっという間に時間は過ぎた。
 学校に着くころには12時を回っており、生徒達も流石に疲れを見せていたが、今日のこの1日は、これから立ち向かう受験へのエネルギーへと、そして得難い経験として生涯に残る記憶となって、彼らの中に積み重ねられていくのだろうと思う。

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