OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「皆、空を見ろ!」
キャプテンの声がした。皆いっせいに空を見上げた。ひきづられていた綱引きの綱がグンッと自分達の方へ引き寄せられる。
「あ。転びそう。」
あまりの勢いの強さに体勢をくずし、後ろに倒れそうになった。「ピーッ」と笛の音がする。自分のチームから大きな歓声が聞こえてきた。あわてて崩れて倒れそうになっていた体勢を立て直し、チームの人達と勝利を喜びあった。

自分の選んだ球技種目は、ポートボール。初めてのポートボールで緊張していた私を勇気づけてくれた先輩、全員を笑顔にしてくれるチームのキャプテン。試合前にキャプテンからの一言。
「皆、今日は性格悪くいこう。」
この一言に全員が笑ってしまった。緊張をほぐすためなのか、それとも真剣に言っているのか。円陣を組み、いざ試合となった。

パスがどんどん回り、シュート。そしてまたボールがとびかいまたシュート。
「桜子ちゃんパス」
飛んできたボールをキャッチし、そしてまた先輩にパス。そしてシュート。午前、午後とあっという間に試合が終わり、勝つことが出来た。試合前のキャプテンの一言が全員に伝わったのか、とても嬉しかった。そしてそれと同時に終わってしまったことがとても悲しかった。

まだ終わってほしくないという気持ちの方が強かった。学年バラバラでこんなに毎日楽しく練習して。まだこの先輩達と一緒にこれをやりたい。そう思わせてくれた先輩達がすごくかっこよく思えた。いつかこんな先輩になりたい。私はこの球技大会を通して強く思った。そして私はこんな機会を与えてくれるこの学校が大好きだ。

(中学部3年生 女子)

2016T1essay_takahama

「バシッ」
先輩のサーブがきれいに決まった。「あと1点で25点」と勝利を祈った。ピンクがカットした次の瞬間に勝敗が決まった。ピンクのミスで、水色に1点が入ったのだ。水色が勝ったのだ。

球技大会の競技の希望用紙に、第一希望としてドッジボールに印をつけた。でも人数制限のためバレーになったのだ。それから私のバレーに熱中する毎日が始まった。
練習の初日、パスの練習をしてまず驚いたことがあった。それは、ボールが硬いということだ。硬すぎてびっくりした。以前の学校で体育の授業時に一度バレーを行った。そのときのボールはもっとやわらかかったはずなのに……。痛くてまともにパスの練習ができなかった。その翌日、ボールを打った腕はあざだらけだった。

次の日もそして次の日も練習は続いた。痛くてまともにバレーができない日もあった。でも練習は楽しくて、嫌と思った日は一日もなかった。一番苦戦したのはサーブの練習だ。練習では入ったとしても、練習試合になると大抵入ることはない。失敗するととっても落ち込んだ。出来ない自分が嫌になることもあった。そんな辛い時に、優しく声をかけてくれたのは先輩方だった。いつもにこやかに、そして丁寧にバレーについて教えてくれた。私はそんな素敵な先輩方が大好きだった。

そして迎えた球技大会本番。午前の全体競技が終わり、いよいよバレーの試合が始まった。私たち水色は緊張していたのか、今までできた良いプレーができずにいた。笑顔もなかった。最後まで頑張ったが、二セットとも負けてしまった。試合中、悔しくて涙が滲んだ時もあった。落ち込む私たちに、
「大丈夫、午後があるから!」
そう高校三年生の先輩の一人が言って下さった。その声を聞いて、「そうだ!今は落ち込んでいる場合じゃないんだ。」と気持ちを改めることができた。

いよいよ午後の試合時間がやってきた。体もウォーミングアップで暖まったし、テンションも午前のどんよりとした雰囲気を覆すくらい、高まっていた。みんな燃えていた。一セット目、見事に勝利。続いて二セット目はかなり苦戦した試合だった。あと一点で水色の勝利になるとき、水色団長の丸山先輩が、
「楽しんで、そして落ち着いてね!」
と応援して下さった。最後の瞬間は、本当に楽しむことができた。点が入った時、水色全員で泣きながら喜んだ。バレーを球技大会でできて良かったと心から思うことができた。また、これからバレー部に入り、好きになったバレーを頑張ろうと心に決めた。そして、来年の球技大会では憧れの先輩のように輝きたい。

(中学部3年生 女子)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

5月1日、晴天。新学期が始まって3回目の日曜日、ほぼ毎週何らかのイベントが続く「濃〜い」立教生活、この日は昼食後から全校スポーツテストが行われた。

体育館、テニスコート、陸上競技場と回りながら、上体起こし、反復横跳び、長座体前屈、立ち幅跳び、握力測定、ハンドボール投げ、50メートル走… という具合に次々とこなしていく。各測定は先生方が分担して担当する。小さな事にも一生懸命取り組んで楽しんでしまうのが立教生。先週の球技大会でそういう楽しみ方をすっかり会得した新入生達も、それぞれの記録を言い合ったり、目標を決めて競ったり、友達を応援したり… もう立派な立教生になっていた。

各種目の測定が一通り終わると、全校生徒と全教員が陸上競技場に集まった。最後の測定、長距離走が始まる。男子1500m、女子は1000m。前日から食事の席でも様々な形で話題に上っていた最終種目だ。男女それぞれ2グループに分かれて計4ラウンド。小学生から高校3年生までが一緒に走る。白く輝く雲がゆっくりと流れていく青空のもと、大きな声で応援し合いながら皆が一生懸命走った。そして最後の1人がゴールに駆け込むまで優しい声援が続いていた。

気持ちの良い天気も手伝って、ただの記録会ではなく、また一つ、平凡な日常に彩りを添える行事が小さな思い出に昇華した。

2016T1bluebell1

立教に「春」が訪れる

「先生、今年のブルーベル見学はいつですか?」
「そろそろブルーベルは見られますか?」
「まだ早いんじゃないかな。」
「来週くらいだね。」

毎年4月も終盤にさしかかると、こうした児童生徒と教員のやりとりが聞こえてくる。立教ではお馴染みの光景である。本校では、広大なキャンパス内に自生している「ブルーベル」を4月の終盤に全校生徒で見に行く学校行事がある。森の中を歩くため、児童生徒も教員も、「それ用」の服装に着替えて出かける。

ぬかるんだ道の対策として長靴、生い茂った木々でかぶれたり、ケガをしないための長袖長ズボン…こうした入念な準備にブルーベルは毎年応えてくれる。森までの数分の道のりは遠足気分でワイワイ賑やかだが、一歩森に入ると途端に児童生徒はブルーベルに心を奪われてしまう。

「きれい」と言いながら、何枚も何枚もお気に入りの写真を撮ろうと奮闘している。こうした様子を見ていると、今年もブルーベルの美しさを満喫できたようだ。束の間の休息に、自然の中で心を落ち着かせる、そんな時間は立教だからこそ味わえる醍醐味なのかもしれない。

2016T1essay_ebe

「最上級生」という言葉を聞くと、少し憂鬱になる。緊張とプレッシャーで、ため息が出そうにになる。「最上級生としての自覚を持て」と、先生方から何度言われた事だろう。高校3年生、勉強しなければならないのはもちろんのこと、生活面においても、常に後輩のいい見本となるよう、心がけて行動しなければならない。また、後輩を指導することも、役割の一つだと思っている。しかし、分かってはいるが、なかなか難しい。

冬休み、3学期から最上級生になるため、いろいろなことを頑張ろうと作文に書いた。学校でも、頑張ったが、出来なかった。自分に甘かったのだろう。時間を守れない時もあった。指導すべき時に、面倒くさくなり、しない時もあった。良い先輩にはまだ、ほど遠い。

先生が卒業式の日に、「卒業式で、泣かれるような先輩になれ」とおっしゃっていた。私達はそんな先輩になれるのだろうか。自分一人が、きちんと行動することでさえ、難しい。しかし、学年全員が一人一人自覚を持って、行動しなければならない。絶対に簡単なことではない。そんなすぐにはなれないだろう。しかし、少しずつでも、ならなければならない。先学期の反省を生かし、新学期を過ごしていきたいと思う。自分の甘えをなくして、理想の先輩像に、一歩でも近づけるように、努力していく。

(高等部3年生 女子)

2016T1essay_katonatsu

私は今回の春休み、家の近くにある、Lexisという語学学校に2週間通いました。始まる前は、同い年の女の子とかたくさん居て、仲良くなれると思っていましたが、いざ行ってみると、自分より年上の大学生や社会人などがたくさんいて、わたしが最年少でした。最初の方は少しがっかりしながら通っていました。しかし、授業の中で行われるディスカッションや、休み時間のお喋りの中で気づくことが幾つかありました。

一つは英語ができないと大人になった時に苦労するということです。この事は、先生や親に散々言われていたのですが、いまひとつ分からないまま英語の勉強をしていました。しかしその学校に来ている大人は、今の仕事で英語が必要だったり、試験に必要だったり、ものすごく大変そうに見えました。その時にやっと、大人になって苦労するという事を理解しました。また、政治の事に関するディスカッションを通して、普段学校で生活している時は聞けない意見をたくさん聞く事ができました。

最初は英語が話せない不安や、同い年がいない不安でいっぱいでしたが、周りの大人が優しい人たちばかりで、色々な話を聞けたりしてとても良い経験になりました。英語の授業で文法などを習っても、人の何かに対する意見とかはあまり聞く事ができないので、また参加したいと思いました。

(高等部3年生 女子)

2016T1essay_ishizuka

私は、この春に初めてのホームステイをして、語学学校に行きました。兄がホームステイはすごく楽しいと言っていましたが、私はそんなはずがないと思いながらホームステイの家に着きました。すると、私の顔を見るなり、「ミユ!ミユ!」とジャンプをしたり、跳んで跳ねて2人の子供が迎え入れてくれました。この瞬間、「あ、これ楽しいだろ。」と思いました。

毎日、異なる日本のおもちゃを与えるとすごく喜んでくれて嬉しかったのですが、遊び開始から5分もすると、喧嘩をしだし、困りました。夜ご飯は、伝統料理を食べることができました。
語学学校に行くと、韓国・台湾・アラブ… いろいろな国の人が居て、最初はすごく戸惑いましたが、毎日会って授業を通して会話をしていくうちに、友達になることができました。仲良くなった一番のきっかけは、自分の国の伝統や文化を発信した時です。皆、日本が好きで、でもあまり知らなかったようで、教えてあげるとみんな笑顔で聞いてくれて、距離が一気に近くなった気がしました。また、土日の休みには、仲良くなった友達とロンドンに行ったりするなどして、自分の英語能力を上げるのに励みました。

ホームステイも語学学校も、最初は嫌でしかたなかったけれど、すごく良い体験になり、笑顔で終われたので良かったです。仲良くなった友達の国を訪れて観光したいです。良い経験ができ、度胸をつけることができた春休みになったと思います。

(高等部3年生 女子)

2016T1kyugitaikai2

4月24日(土)に球技大会が行われました。

始業礼拝からちょうど2週間目に当たるのがこの球技大会。
入学式が終わり、健康診断が行われ、学校の約束事を伝えるオリエンテーションが終わった次の日は実力テスト、そして初めての授業ー。
そんな慌しい日々の中、新入生は慣れる間もなく、放課後駆り出されるのは、球技大会の練習です。

今年の対抗戦は、水色とピンクに全校生徒が分かれ、自分の球技の種目ごとに練習を重ねます。
種目は、男女バレーボール、男女バスケットボール、男女ソフトボール、サッカー、ドッヂボール、ポートボール、ネットボールです。
「小学生から高校生まで一緒に行う」、これが立教のやり方です。
先輩がこの期間勝利のために、いかにチームを引っ張ることができるかが大きな勝敗の要因となります。
ですので、おのずと先輩と後輩とが仲良くなっていく。新入生も学校に自然と慣れていく。それが球技大会の醍醐味です。

この2週間、毎日放課後は、夕食ギリギリ前まで練習。
「夕食に遅れるな!!」そんなことを毎日先生から怒られてしまったり、シャワーの後、髪を乾かす時間さえなく夕食に来て、髪の毛はぐっしょり、なんてこともこの球技大会ならではの光景。

また、「Tシャツ作り」も球技大会の一部となっています
夜の自習の時間の一部は、みな球技大会用に配布されたTシャツをそのまま着るのではなく『加工』します。
たとえばフェルトやレースで襟をつけたり、スパンコールやボタンをつけたり。凝りに凝ったTシャツを当日着るのを楽しみに、毎日毎日Tシャツ作りをしていました。
そしてこれも立教ならではですが、なんと、先輩が後輩のためにTシャツを作ってあげるのです。
Tシャツはいわば、お手製のユニフォームと化し、それは本番に込める勝利への願いなのです。

球技大会当日は晴れ。「よかった!」なんて言っていたのですが、気温は上がらず、まるでまだ冬のような寒さ。しかし、その寒さを吹き飛ばす気合いに、寒さを感じていたのは、審判を務めた教員だけだったとか。

どのチームも、「この日のために練習をしてきた」、そんな思いが十分伝わってくるプレーを見せていました。しかしその試合は、「真剣勝負」というよりは、元気で明るい雰囲気があり、「いつまでも、そんな笑顔を見ていたい」と感じるほど、みなが仲良くプレーをしている姿に、「立教生はやはり仲良しだな」ということを改めて感じました。

夕食が終わって閉会式。勝ったのは水色チームでしたが、勝っても負けても「やりきった」という思いとともに笑顔と涙がこぼれます。
2週間に渡って練習を続けてきた感動の球技大会は幕を閉じました。

ページ
TOP