「アウティング。」アウティング当日の数日前からその話題を聞くようになった。ほとんどの人が楽しみなようで、その会話をしている人達は笑顔だった。だが僕は、学校の外へ行くという実感がなかったし、何より楽しみではなかった。多くの人が楽しみにしていた食事、ショッピング、博物館見学、どれにも大して興味は無かった。

実際にロンドンを歩いてもほとんど何も感じなかった。というより、感じ取れなかったのかもしれない。食事でもショッピングでもほとんど英語を話さずに済ませられる。英語が苦手な僕はそうとまで考えていた。
しかし、ただ行って帰って来ただけではない。UCLで聞いた講義は実に興味深いものだった。たくさん学ぶことはあったが、自分が今いる環境がよくわかった気がする。この学校、立教英国学院は僕達に大きな可能性を与えてくれているという事を改めて認識したからだ。その可能性を与えられている環境で僕は何をしていくべきなのか、そういった事を考えさせられた。

そのように思考を広げながらカフェで食べる食事。英人の老人、男女二人が近くの席で会話していた。僕は考え事をしていたし、英語が聞き取れるわけでもないのでその会話はただの雑音だった。しかし、それは突然、雑音ではなくなる。KATANA. はっきりそう聞こえた。その会話をしている二人は笑顔でスマートフォンを見ていた。おそらく写真だろう。その後も折り紙やあやとりといった日本の文化の言葉が聞こえてきた。JAPANESE EVENING の会話をしているのは、ほぼ間違いなかった。とても驚いた。話しかける勇気はなかったが、学校から与えられている可能性、英語の可能性、自分に秘められた可能性を感じた気がした。

その可能性を僕はどう活かすのだろうか?

(高等部1年生 男子)

** 小学生は週に1回、5・6年生合同の社会の時間があります。
** この時間は校外へ外出し、様々なテーマでワークをします。
** 1回フィールドワークをすると、次の1時間はまとめの時間です。

*   *   *   *

第2回は、さっそく英語を使うワークです。
ずばりテーマは「英語をつかって、手紙を送ろう」

ミッション1は「行きの車の中で英語の練習」
まずは挨拶とお礼の英語の練習。これは簡単、HELLOとTHANK YOUの練習を何度か。
そして、はがきを買う係の生徒は「Can I have this?(これください)」、
切手を買う係の生徒は「Can I have three 1 pound stamps, please?」の練習。
最初はあいさつ、最後はお礼の一言をわすれずに。

郵便局に着くと、ミッション2。
それぞれはがきを1枚選び、
ミッション3で、英語を使ってはがきを買います。
同時に、切手も買います。

クランレー郵便局では、インド系英国人の方が働いていらっしゃいます。
小学生たちがカウンターで、ぎこちなくHelloと言うと挨拶を返してくれながら
「怖がることはないわ、私も英語を勉強したのよ。いらっしゃいませ。」
(Don’t be afraid! I studied English, too. May I help you?)」と言ってくれました。
実際はカウンターの高さに身長が十分でなく、ちょっと大変でしたが、
きちんとお金を払えて、切手も買えました。

ミッション4
次にベンチにすわって、イギリスから手紙を送るための勉強です。
2人はお父さんお母さんのところへ、
1人はおばあ様のところへ送ることになりました。
切手を貼る場所、
宛名・住所の書き方、
必ず届ける国の名前をアルファベットで大きく書くことなどを勉強。
最後に郵便局のポストに行って、自分たちで投函しました。
無事に届いたかな?

次の授業では、お金を払うときに使ったイギリスのお金の勉強を。
イギリスの中なのに、スコットランド地域では独自のお札があること、
お札にはエリザベス女王の顔が印刷されていること、
実際にお金をさわって観察しながら、気付くことをどんどん書き出します。
「E II R」の意味とは?
ホログラムの不思議。
生徒たちの発見と質問もたっぷり飛び出しました。

穴のあいたコインはなくて、七角形のコインがあること、
1ペニーから1ポンドまでを並べると1つのデザインになる秘密。
お金には、実はとっても面白い工夫がひそんでいます。

** 小学生は週に1回、5・6年生合同の社会の時間があります。
** この時間は校外へ外出し、様々なテーマでワークをします。
** 1回フィールドワークをすると、次の1時間はまとめの時間です。

*   *   *   *

第1回フィールドワークは、最寄りのクランレー村を探索です。
ワークシートに与えられた「昔のクランレー村」の写真をもとに、
今の場所を探し出すミッション。
見つけると、今の姿を写真に撮ってゆくのは小学6年生の先輩の仕事。
この春に入学しばかりの小学5年生たちは、シートに記録を取ります。

全11か所の昔の写真は100年ほど前のものばかり。
変わったもの、変わっていないもの、様々でした。

翌週の授業では、地図をもとに写真を貼って、
クランレーの今昔まとめをしました。

立教英国学院についに新しい女子寮が完成した。
建設業者からの引渡しが5月13日(水)に無事行われ、
その2日後には、急だが引越しが決定。
次の利用のためにイーストハウス(East House)を空にする必要から
そこに居住していた高3女子14人が急遽新寮へ引っ越すことになった。

16日(土)の高3ホームルームでそのことを告げると、
行事が続く週末中の急な引越しにも関わらず、文句は一言もなかった。
それどころか、大歓声を発し、同時に
男子生徒と本館居住の女生徒から妙な視線を一挙に浴びた14人。
翌17日(日)と18日(月)の休み時間を使って、慌てて引越しを完了させ、
ハーフターム前の約1週間を新寮で生活した。

新ガーデンハウスにいち早く住むようになった彼女たちの感想は次のようなものである。
「綺麗!広い!」
「ホテルみたい!幸せ〜」
「ベッドカバーがちょっとキラキラ光ってゴージャス〜」
「ロッカーが広いから、多かった自分の物がきれいに収納できた」
「眺めがとっても良くって、朝、目覚めるのが本当に楽しみ」

反面…
「シャワーが冷たいよ〜」  …幸運なことに解決。
「朝がちょっと寒い」  …シマッタ、部屋がちょっと広かったか。毛布を用意せねば。

そして…
生徒A「先生、私のシャワー道具が消えました。シャワー室に置いたのに。」
生徒B「あんた、シャワー室間違えてるでしょ。シャワー室は2つあるじゃない。」
生徒A「えっ、分かってるよ。置いた場所も分かってるよ。」
生徒B「階段に近い方と宿直室に近い方と2つあるでしょ。絶対にもう1つの方だよ。」
生徒C「床に置いたシャワー道具を見掛けたけど、あれがAのじゃない?」
…混乱も起きている様子。幸せな混乱よ。

館内1階にはコモンルームや自習室が用意されている。
机や椅子などがこれから届く予定で、まだ完全に整っていないが、
2〜3階の居住部分は完璧である。
特に各階に2箇所あるシャワールームは、シャワーが14基あり、
やや取り合い気味だったシャワースペースがゆったりと使える。
ハーフターム後は2階に高2女子、3階の最上階に高3女子が入居予定だ。

新寮の一番自慢は、3階の南側ドミトリーからの眺め。
これは誰にでも見てもらいたいほど、本当に素晴らしい。
既に入居した生徒曰く、
「気のせいか、他の生徒たちからの目が冷たい…」そうな。

毎年初夏のシーズンに行われるミュージック・フェスティバル。
いわゆる音楽コンクールのようなものです。
日本で「音楽コンクール」というと、かなり立派なものを想像しますが、
Reigate and Redhill Music Festivalは、ふだんから楽器に親しむ子供たちが集まって、
毎年腕が上がってきた成果を披露し、プロにアドバイスを貰ってまた精進しよう、という趣旨のものです。
したがって、本当に上手な子だけが集まって、緊張にピリピリしながら行われる、という雰囲気はなく、
実にアットホームな発表の場になります。
会場も、教会だったり、村や町の集会場が利用されます。
といっても、自分の順番が近づけば緊張しますし、順位もちゃんとつきます。

このReigate and Redhill Music Festivalには、
立教の生徒たちもピアノやギターで参加します。
この学校に入ってギターを始めた生徒が頑張って演奏したり、
前々から習っていたピアノの腕に、更に磨きをかけ、披露します。
誰かの演奏を聞いて、むくむくとやりたくなったり、
昔ならっていた楽器を再開し、出場する生徒もいます。

今年も、この地元コンクールに行きますと、
小さな体にギターを持って、一生懸命演奏する英国人の子供たちがたくさんいました。
それぞれ始めた時期は異なるに違いありませんが、
意外に上手に演奏する8歳の男の子や、
感情豊かに繊細に奏でる15歳の女の子など様々でした。

全員の演奏が終わると休憩をはさんで、
審査員の先生方から
なんと、一人一人の演奏者に丁寧なコメントがもらえます。
このコメントがとっても参考になり、励みになります。
きちんと講評用紙に書き込まれて渡されますし、賞ももらえます。
この賞、技量が素晴らしければNo.1になるとは限らないのです。
ひょっとして絶対評価なのかもしれません。

高度な技術を競うコンクールではないけれど、
こんなふうに普段習ったり親しんでいる楽器の腕を見てもらえるのならば、
もっと楽器を好きになり、もっともっと頑張れそうです。

「代キャプやりたい人!」「はい!」「女子もう一人誰か!」「え、やりなよ!」「え? じゃあ、はい!」そんな感じで決まった代キャプ。代キャプとは、代表キャプテンのことで、全校を分けた2つのチームから男女二人ずつ選ばれる総合キャプテンです。私は青組の代キャプになりました。

代キャプといえば、明るくて周りを巻き込んでいけるようなオーラを持つ先輩方がやっているイメージで、大人数を勝ちたいという思い一つだけでまとめ上げる、歴代の先輩方が本当にかっこよくて、憧れていました。そんな立場に今、自分がなっている。やるからには全力でやりたい。皆が青組に入ってよかったと思うようにしたい。悔いのないものにしたい。そう強く思いました。

相方は、普段から仲の良い親友のK。クラスでいつも騒がしい二人だったので、皆に「期待してるよ!」と声をかけられることが多く、だんだんプレッシャーが強くかかっているような気がしてきました。短い準備期間でやるべきことは多く、普段見ないような真剣なKだったり、ふざけ合うだけだった仲なので、そんな様子を見ると、いつも自分はこうやってクラスメイトに助けられていたのだと気付かされました。

本番までの代キャプの仕事は意外と地味なものが多くて、全員分のはちまきを一本一本切ったり、応援旗を縫ったり。でもその一つ一つが苦しくなかったのは、やはりその作業の先の皆の輝く姿が目に浮かんだからではないでしょうか。

「宣誓!」代キャプ四人での選手宣誓で球技大会は始まりました。まずは全体競技のムカデリレーと○×リレー。もともと声を張ることには自信があったので、できる限りチームのメンバーひとりひとりに声が届くようにと、ありったけの声を張り上げました。私は球技大会の時の、体育館が二色に染まり、生徒の熱い歓声と充満する熱気のようなものでいっぱいになる空気が大好きで、そしてその空間の中心に自分が立っているような気がしました。自分で縫った青の旗を持って、チーム全体にとにかく声をかけました。その時は青のメンバーひとりひとりが、いつもの学校生活での後輩としてではなく、一つのチームの大切な一人というような感じに見えました。前半のムカデリレーは勝ち、後半の○×リレーは負けでした。○×リレーのペアはKでしたが、アンカーを走り切った後はハイタッチで笑顔でした。

普段、皆の前に立って何かをするようなことはやったことがなく、正直不安でした。プレッシャーというか、重い責任感もありましたが、逆に自分がこの大きなチームを動かせるかもしれない。そう考え、私は必死で声を上げ続け、祈るような気持ちで応援を続けました。応援というのは、本当に不思議なもので、「頑張れ!」と言っているだけで実際手を貸したりはしていないのに、すごいパワーを感じます。皆が「頑張れ!」と心から思ってそれを叫ぶ。そんな声が飛び交う球技大会が、名前もまだ知らない新入生や今まで話したこともなかった生徒と、同じ一つのチームにいて、一つの目標を一緒に目指せるという、そんな機会に思えました。

人が一生懸命に何かをするということは、本当にかっこいいなと思いました。何もかっこつけずに突っ走る。そのメンバーひとりひとりの全力の努力の姿が、私の心に強く響きました。

代キャプの役について仕事をこなすだけだと思っていた私ですが、この役についたからこそ分かったことが沢山あり、自分自身も知らなかった自分を知り、やってよかったと心から思いました。悔いのない最高の思い出ができました。チームの全員にありがとうと言いたいです。

(高等部3年生 女子)

私は高2でこの学校に入ったので、今回が二回目の球技大会だった。去年の球技大会と、今回とでは、私にとって全く違うものだった。

去年は初心者で、先輩についていくだけだった。今年はキャプテンを支えつつ、下学年をひっぱっていかなくてはいけなかった。

スポーツが大好きで、負けず嫌いな私にとって、球技大会は、たかが球技大会、されど球技大会。一週間前から、球技大会のことを考えるだけで胸が苦しかった。まるで恋をしたみたいだった。就寝後なかなか寝られなかった。

私のチームは、女子バスケ部キャプテンと、バスケ部員一人、そして新入生二人で編成されていた。正直、不安だった。私たちだけで、チームをつくれるのか。

そんな時、球技大会の意味を考えた。どうして小5から高3までが一緒にやるのか、どうして入学式からたったの2週間でやるのか。それは、考えても答えがなかなか出せなかったが、練習がはじまってすぐに分かった。そういえば、私も去年この球技大会で、立教に慣れてすごく楽しかったなと思い出した。

そこで私とキャプテンは全員で勝とうと決めた。ボール運びが得意なキャプテン、背が高い私、コツをよく知っているバスケ部員、走るのが速い新入生、運動神経が良い中学1年生。この5人の良いところを生かして、勝負をしようと決めた。今では、この5人が同じチームで本当に良かったと思う。

また、私は立教生の良さを感じた。前夜祭では一人ひとりにTシャツを配るときに、みんなで盛り上がった。当日も、たまたま同じ色のチームになっただけなのに、みんな大きい声で応援してくれた。名前を呼ばれた時は本当に嬉しくて、疲れてもう走れないと思っていたのに、急に力が沸いた。逆に自分も他の競技の人を必死で応援した。これは、去年も今年も自然とやっていて、立教の良い伝統だと思う。

この球技大会で、バスケを頑張ってよかったなと思ったし、立教にいられて本当に幸せだなと感じることができた。

(高等部3年生 女子)

5月15日(金)、前日の雨はどこへやら、絶好のアウティング日和。小中学生のグループは、まず王立天文台グリニッジへ向かいます。王立天文台は、グリニッジ標準時と東経0度00分00秒の本初子午線で有名な場所。イギリスにいるなら一度は訪れたい場所です。

到着したらまずは腹ごしらえのために天文台の近くにあるマーケットへ。照り焼き弁当にから揚げ弁当、ラビオリ、点心、ラーメン、フルーツジュース、マダガスカル料理まで、世界各国の料理の屋台が並びます。人気は手打ちラーメン。お店の人が包丁を使わずに生地を伸ばしながら麺を増やしていく様子に皆目が釘付けです。陽気なお姉さんが作っていたチョコレートとキャラメルソースの入ったブラジルのチュロスも美味しかったですね。

天文台に入ったら、まずはやっぱり記念撮影。西半球と東半球を分ける本初子午線にまたがって立ち、東経0度を実感しました。展示室には大きな金色の時計が四つ。この時計のお蔭で経度が正確に測れるようになったという貴重なものです。プラネタリウムも見て、世界で最も有名な天文台を満喫しました。

天文台を出た後は、River Busでロンドンへ。テムズ川の両岸に次々に現れるロンドンを代表する建造物。タワーブリッジ、ロンドンブリッジ、テート・ブリテン、ロンドン塔、セント・ポール大聖堂、ロンドン・アイ、そしてビッグ・ベン。気持ちのいい風を受けながら、ロンドンの観光名所を一気に楽しむことが出来ました。

ロンドン市内では、ナショナル・ギャラリーでゴッホの「ひまわり」、スーラの「水浴」といった有名な絵画で目を楽しませた後、お待ちかねの夕食です。中華でチャーハンを頬張ったり、日本食屋でうどんやラーメンをすすったり、楽しい時間を過ごしました。

アウティングの最後はやっぱりショッピング。お土産も沢山買って、学校へ帰りました。皆さん、お疲れ様でした!

今回の高校2年生のアウティングの行き先はナショナルギャラリーでした。ナショナルギャラリーとは、ロンドンのトラファルガー広場の前に位置する美術館です。
1824年に設立され、13世紀半ばから1900年までの作品2,300点以上を所蔵しています。

皆が口々に話題にしていたのは、ゴッホの「ひまわり」。
日本人なら誰しも見たことのある、有名な絵です。あの教科書で見た絵が目の前にあるというのは、さぞ感動したに違いありません。
他にも、フェルメール、モネ、ターナー、レンブラント、レオナルド・ダヴィンチなどの数々の巨匠の絵がここに展示されています。
日本では、特別に展覧会が催されなければ見ることのできない貴重な絵を、ここでは一挙にいつでも見ることができます。
2時間の鑑賞時間は、皆それらの有名な絵画を一目見ようと、広いホールをあちこちに行ったり来たりしていました。

ナショナルギャラリーの後は自由時間。
アイスクリームやタピオカ、ジャパニーズセンターで買ったお菓子を片手にぶらぶらとロンドンの街を歩いている光景が見うけられました。
また、買い物も楽しみの一つです。一つの男子の班は全員がZARAの紙袋を持っていました。
「ユニットでも組むの?」と周囲に言われながら、写真に写る姿はほほえましく感じられました。

ロンドンでの夕食。いつも一緒にいる立教生だけれど、場所が違えば、楽しさ2倍。友情をも深めることができる。これもアウティングの醍醐味の一つのように思います。

行きのバスでは騒がしかった高校2年生でしたが、出発して15分も経つと、行きとはうってかわってバスの中は静かになりました。
その疲れは、充実した一日であったことを物語っているように思います。

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