閑散とした商品棚に並ぶ、残り少ない食材などを競い合って買い求める…ソ連時代のロシアの日常的な光景である。その後ソ連は崩壊し、資本主義のロシアになったことで、物は商品棚を埋め尽くすようになった。しかし最近になって少しずつ棚が再び閑散とした状態になってきている。ロシアが決議した「EU及び米国等からの一部食料品輸入停止措置」における結果である。

事の発端はウクライナのヤヌコーヴィッチ政権の崩壊。ここでロシアの軍事的に重要な拠点であるウクライナが親EU政権となる場合、ロシアの影響力が限定的となってしまう。そのため、戦略上重要な地理的条件下にあるクリミア半島を占領。これに対し、欧米が非難し制裁を行い、ロシアもこれに応じる形で欧米に制裁を科し、制裁合戦となった。そこで、この措置が出てきたのである。

制裁開始からおよそ一ヵ月。物不足は一時期にくらべて減ってきたが、未だにレタスやブロッコリー等の農作物、サーモン等の海産物はなく、輸入製品の多くは姿を消した。イタリアン・レストランのサラダは十種類ほどある中、二種類しか注文できなかった。スーパーにある生産国を示す国旗からは、米国やスペイン、オランダのそれが姿を消し、ロシアやトルコ、チリの国旗のみになってしまった。制裁に苦しんでいるのは欧米の国民のみならず、ロシアの国民もまた同様である。

グローバライゼーションの進む世界。今では自国で世界中の物を見つけることができる。ロシアはこの流れに逆行するような行動をとった結果、市民生活に予想以上の影響を及ぼすことになった。これは現在の日本への教訓となるだろう。食物自給率が先進国の中でも最低レベルである日本で、もし同様の事が起こるとその影響はロシアの比ではないだろう。現代社会の抱える新たな課題の一つである。

(高等部2年生 男子)

今回の夏休み、私は最初の土・日曜日で、ベルギーのブリュッセルとブルージュを訪れました。オランダという国にいながら、隣国のベルギーには初めての旅行でした。

はじめに「世界三大がっかり」といわれている小便小僧を見に行きました。どんなものかと思って見てみると、想像より小さくこれはがっかりしてしまうかも、と思いました。それより私が驚いたことは、チョコレート屋の多さです。有名な観光スポットには必ずといっていいほど何軒ものチョコレート屋があり、まわりには甘い香りがしていました。

チョコレートの原料であるカカオは南米が産地であり、ベルギーでは採れないのに、なぜベルギーはチョコレートが有名なのだろうと思いました。そこで少し調べてみたところ、鍵を握っていたのはスペインでした。

アステカ帝国が滅び、スペインの植民地になったことで、アステカの王族や上層階級が薬や特別な飲み物として飲んでいたカカオ飲料が、スペイン本国にも伝わりました。今のオランダ南部やベルギー西部、つまりフランドル地方はその頃スペインが統治していたので、スペイン人によってベルギーにカカオが持ち込まれたようです。

では、どうしてオランダではなく、ベルギーのチョコレートが有名になったのか。

それはベルギー人とオランダ人のおいしいものに対するこだわりの違いだと思います。今回旅行してベルギーの料理は、オランダと比べて圧倒的においしかったためです。ベルギー人のおいしいものへの探究心が、今のベルギーチョコレートを作ったのだと思いました。

(高等部2年生 男子)

その日は朝から雨が降ったり晴れたりと不安定な天気だったが、ロンドン・アイに乗った時はまぶしいくらいに晴れた。あの高さだからこそ見える、360度に照り渡るロンドンの景色には胸を打たれた。それと同時に、次にこの景色を見られるのはいつだろうか、と切なくなった。

私はこの夏休みまでロンドン在住だった。そのため、いつもロンドンへアウティングに行っても、「また家に帰れば来ることができる」と思っていて希少価値はあまりなかった。
この夏、日本に本帰国をした私の家族はすぐにロンドンシックになった。日本は便利で生活しやすい。だが、緑の多さ、伝統ある建物が立ち並ぶロンドンの街並み、空気、におい……今まで何とも思っていなかったものが、突如思い出と化し、故郷は日本であるはずなのに、イギリスへのノスタルジーを感じた。

そのため、久々にロンドンを訪れることのできた今回のアウティングは今までと何か違うものがあった。休みになればいつも来ていたあの場所、あのお店には、今日行ったら次はいつ来ることができるのだろうか。そんな気持ちが一日中頭の中に過ぎった。友達も同じようなことを思っていたのか、思い出を形にするためにいつもより多く写真を撮っていた気がした。

そんなアウティングの締めくくりは、「オペラ座の怪人」のミュージカルだった。観たのは初めてだったが、物語はだいたい知っていたので楽しめた。そして何より演出がすごかった。あの狭い劇場でシャンデリアが落下するシーンや怪人が舞台の上から降りてくるシーンなどは、ほかのミュージカルより迫力があった。こうして気軽に芸術に触れられるのもイギリスの良い所である。

一日は信じられないほどあっという間に過ぎた。純粋に楽しかった。そして、私はまたロンドンに戻ってくる、そう強く感じた一日だった。

(高等部3年生 女子)

今年は「夏」らしくない夏だった。こう毎日、雨ばかりが続くと気分も落ち込み、何をするのも面倒臭くなってしまう。楽しみにしていた夏のイベントも中止になったり、延期になってしまったりで外に出ることはほとんどなかった。

私の住む街も突然の豪雨と停電に幾度も見舞われていた。「この雨量、大丈夫かな。大変なことにならなければ良いけどなぁ。」そう思っていた矢先、広島での大規模土砂災害が発生した。

連日の報道番組や新聞。東日本大震災を思い出させた。70人以上の死者、そして何千人にも及ぶ避難者。亡くなられた方の中には、私達と同い年の高校生や出産を三ヵ月後に控えた新婚夫婦など輝かしい未来があった方々も含まれていた。その一方で、間一髪のところで救われた人もいた。愛犬が危険を感じたことで救われたお年寄り、隣の家の大工さんに助けられた一家。瞬時の判断で命を救われた人が大勢いたのも事実だ。

数日後、私は家族と一緒にその場所へ向かった。何か少しでも手助けすることができたら、と考えたからだ。

広島に向かう高速道路から見えたその場所を見て、私は息をのんだ。今まで見ていた光景とはまるで違っていたから。山は崩れ落ち、麓にあった家は流されて何もなくなっていた。豊かな自然に恵まれ、過ごしやすいこの広島が、このようなことになるとは思ってもみなかった。ただただ、現場を見て驚いてしまい、その場に立ち尽くして涙することしかできなかった。

今後どのように復興していくのかも、被災された方々の生活がどのようになるのかも分からない。ただ復興には長い年月と人手がかかることだろう。

同じ広島県民として亡くなられた方々の御冥福を祈りながら、一日でも早い復興を、そして一人でも多くの笑顔が戻ることを願っている。

(高等部2年生 女子)

私はこの夏ケンブリッジ大学で行われた一週間のサイエンスワークショップに参加しました。このワークショップは、英国人と日本人の高校生が一つのプロジェクトに配属され、いろいろな交流をしつつ、科学の楽しさや知恵を共有しあうプログラムでした。

私は英語が得意なので、私の英語力が生かされるサイエンスコミュニケーションというプロジェクトに入りました。サイエンスコミュニケーションとは、日常生活で科学に関わっていなかったり、科学を専門分野としていない一般の人達に、科学を理解してもらえるように、分かりやすく説明して、最先端科学を社会に伝えるものです。今回の私のプロジェクトの目的は、ワークショップで行なわれている他の三つのプロジェクトについてポッドキャストを作ることでした。ポッドキャストとはインターネットにアップロードされていつでも再生できるものです。

私のプロジェクトの指導者は、ハナさんという名の、naked scientistというケンブリッジ大学でサイエンスコミニケーションを主に活動しているグループの方でした。ワークショップの初日には生物学者が集まる脳とうつ病に関しての研究発表会に連れて行ってもらいました。最初はなぜここに連れて来られたか理解出来ませんでしたが、すぐにこの発表会がサイエンスコミュニケーションの第一歩であることに気付きました。なぜなら、この発表会には研究者本人がその場にいて、実際に質問や疑問に応じてくれるのです。私もファシリエーターの助けをかりて、気になる展示の説明を研究者から直接聞きました。私みたいな素人でも、とても丁寧に優しく説明してくれました。そして、その内容を理解したとき凄い喜びを感じ、授業では習わない科学の楽しさに触れることができました。これこそが科学を通してのコミュニケーションだと、私はその瞬間思いました。

その後は、プロジェクトのメンバー全員で集まってポッドキャストをどのような形式にすれば分かりやすいかを話し合いました。その結果、何について話しているのかが分かりやすいインタビュー形式にすることを決めました。次の日、早速他のプロジェクトの研究室に行き、インタビューをレコーディングしました。プロジェクトの研究室が一つ一つ雰囲気が違って、新しい研究室に入るたび新鮮でした。各々の研究室から、科学という一つの言葉にどれだけ様々な分野があって、世界を良くしようと研究が進められているのかがよく感じられました。

プロジェクトの最後は、レコーディングを編集する日でした。パソコンが余り使えない私には辛かったです。それでも、機械音痴の私でも編集の技術には驚かされました。誰でも話しているときは、「えっと、」や「えー」などと言ってしまい、話が途切れて余り良いスピーチに聞こえないときでも、編集の際、そのような語をカットし、よりスムーズに話しているように聞こえ、編集後にはどれだけ話すのがへたくそな人でも、上手に聞こえてしまうのです。ですが、この作業はとても時間と手間がかかり、パソコンが得意なパートナーの子にとてもお世話になりました。そして、最後の最後に自分が作ったオリジナルのポッドキャストに音楽を加え、ケンブリッジ大学のnaked scientistのホームページに載せました。

このプロジェクトを通して、他のグループの研究内容やその学問を深める目的を知り、そして科学の重要性と科学を通してもっと便利で安心できる未来がある事を知り、この自分が知り始めたばかりの科学の世界を皆と共有してより良い世界へと繋げたいと思いました。また、自分が作ったポッドキャストを、今世界中の人が聞けると思えば、不思議と自分が少し誇らしく思えて来ました。

サイエンスワークショップと名づけられているものだから、学問的なことばかりかと思っていたのですが、どちらかと言うと身近で実践的な内容で、想像以上に楽しかったです。このワークショップを通して最も自分が得たものは、科学の重要性に気づかされた事です。文系である私は、理系の人と比べて普段科学には無縁ですが、科学が苦手でよく分からない、学ぶ必要がないと言う人たちに、科学の楽しさと大切さを伝えたいと思いました。内容は全て理解し切れなくても、科学がどうやって私たちの生活を作り上げて来たか、私たちの日常生活や病院での設備をもっと良い物にするために研究者が毎日頑張っているということ、他人事のように思わず、皆に知ってもらいたいと思いました。

(高等部2年生 女子)

僕は今回初めてアップルデイに行った。一昨年と昨年は部活動や英検で行くことができなかったので、今年こそはと心に決めていた。

話には聞いていたが、行ってみると、それは本当に地域のお祭りであった。芝生の広場に出店があるだけで、なんだか日本に住んでいた頃の三丁目祭りを思い出した。

ここで2時間も楽しめるのかと疑問に思った。しかし、豚肉を食べたりハンバーガーを食べたりしているうちに考えが変わった。リンゴジュースの試飲を勧めてくるおじさんや、手作りの人形や鞄を売っているおばさんを見て、人と人との距離が近いお祭りの良さを感じることができたからである。

走り回っているちびっ子や、お肉を貰いたそうにしている犬を見て、とても心が癒された。そして、ホストファミリーと会うこともできた。手作りの鞄を売っているおばさんが話しかけてきたと思えば、以前お世話になったホストファミリーのレベッカさんであった。最後には顔にスパイダーマンのペイントをしてもらった。

本当に今回アップルデイに行くことができてよかったと思う。おいしいものを食べることができたし、とても楽しかった。一緒に楽しんでくれた友人たちにもありがとうと言いたい。立教での思い出がまたひとつ増えた。

(高等部3年生 男子)

10月の第2日曜日。今年も近隣の村であるRudgwickでアップルデイという催しがありました。

その名のとおり、アップルデイはりんごのお祭り。会場に着くと大量のりんごをその場でつぶし、ジュースにしている様子が目に入ります。
芝生のグラウンドにはいくつかテントが建っており、そこでは手作りのお菓子や雑貨、村の農場で作っているチーズなどが売られています。
特に人気だったのはりんごあめ。日本の縁日を思い出し、「お祭りに来たのだ」という感覚が高まりました。
日本でもこの季節は収穫祭があるところが多いのではないでしょうか。収穫に感謝するというのは、国を超えて共通する感覚なのですね。

“Do you know Rikkyo School?”
中1の生徒が覚えたての表現で英国人に話しかけます。3週間後に迫ったオープンデイ(文化祭)のチラシを配るためです。
臆すことなく英語を話す姿は、1学期からの成長を感じさせました。
以前ホームステイをしたホストファミリーと再会し、話に花を咲かす生徒も見受けられ、どの生徒も村の人々との交流を楽しんでいました。
最後にはフェイスペイントで誰が誰だかわからなくなるほどすっかりお祭りを満喫した生徒たち。イギリスの文化をまたひとつ体験するいい機会になりました。

10月11日(土)・12日(日)と2日間にかけて英語技能検定が実施されました。

今回は4級が4人、3級が7人、準2級が14人、2級が34人、準1級が25人、1級が3人と、合わせて約90名、全校生の半数以上が受験に臨みました。またその内訳は、中学生6名が2級を、準1級は高1が9名、高2が6名、高3が10名、1級に関しては高1が2名、高2が1名と、どの学年を見ても、英語に対する高い志を持ち、日々英語学習に励んでいることがわかります。

生徒たちは、日々の授業とその宿題や復習に追われる中、部活動やオープンデイ活動をしながら、英語の技能をも向上させることに余念がありません。それぞれ中学部や高等部を終えるまでにどのくらいの英語力をつけておきたいのかという自分なりの目標を持って、一歩一歩着実に力をつけていく――そんな彼らの姿から、頼もしさと限りない可能性を感じます。
なにはともあれ、今回の英検で一人でも多くの生徒が合格することを願ってやみません。

10月10日(金)、今にも雨が降り出しそうな曇り空の中、気分を上げてコーチに乗りこみさあ出発。最初の目的地は貴婦人の城とも呼ばれるリーズ城です。
お城に到着する前に、まずはサービスエリアで昼食タイム。本当はお城の庭でピクニックをしたかったのですが、とうとう雨が降ってきてしまったので予定変更。降り出しても比較的すぐに止むのがイギリスの雨ですが、さてお城に着くまでに止んでくれるでしょうか・・・。

サービスエリアを出発してお城の敷地に到着。ここからお城まで広大な庭を歩いていきます。傘をさしながら、黒鳥が泳ぐ池の上の橋を渡って、小人が雨宿りに使いそうな巨大な葉っぱの脇を通って進んでいくと、だんだん雨が止んで雲間から太陽の光がさしこんできました。お城に辿り着いた頃には青空に。目前に広がる緑の芝生と青い空の中に佇む白いリーズ城の姿はとても美しく、イギリスで最も美しい城のひとつと言われているのも納得です。

城内に入り、女王の部屋や王家の肖像画が壁一面に飾られたギャラリー、ヘンリー八世の最初の王妃の寝室などを見学しました。天蓋付きの大きなベッドを見て、生徒からおもわず「こんなベッドで寝てみたーい」の声。さすがに寝るのは無理なので、ベッドと一緒に記念写真を撮りました。

庭園には巨大迷路。誰が一番にゴール出来るか競争です。ですがこの迷路、なかなか難しく一筋縄ではいきません。「やったー!」と先にゴールした生徒の声を聞いて、悔しそうな顔をしながら走り回る生徒たち。ゴールの先には洞穴が。ここを抜けないと迷路の外に戻れないのですが、この洞穴、普通の洞穴ではありません。なんと錬金術や化石、貝殻、木を使って神話の生き物や不気味な造形物が作られていて、なんとも奇妙な地底世界が広がっているのです。「怖いー!」と叫びながら、皆で地底世界へ足を踏み入れたのでした・・・。

無事に全員外の世界に戻ってこられたので、さっそく次の目的地チャタム造船所へ出発。本物の大きな戦艦や潜水艦の中を探検しました。映画の中でしか見たことのない世界を目の前にして、生徒たちは大興奮。中でも、なぜか潜水艦のトイレがやたら興味を引いていました。トイレやキッチンなど私たちの生活の場にあるものと同じものを見て、なかなか想像しがたい潜水艦での生活も、ぐっと現実味を帯びて感じられたのかもしれません。

最後はブルーウォーターというショッピングモールで、買物と夕食を楽しみました。みなさん、一日お疲れ様でした。おやすみなさい!

ケンブリッジ大学--いわずと知れた世界でも有数の一流大学であり、またダーウィンやニュートンらを輩出した名門大学でもある。知性あふれる街並み、ケンブリッジ――そんなイメージを抱きながらアウティングに臨んだ。

着いた先は、落ち着いた、こぢんまりとした街であった。固く閉ざされた研究室、帽子をかぶり、本を片手に歩く人々、知識人が暮らす街――そんなイメージとは違い、小さな川が流れる、黄色いレンガの伝統ある建物に囲まれた親しみやすく、明るく、美しい街並みがそこにあった。そして、難しそうな本を片手に知的な学生がうろうろしている、なんてことはなく、自転車が狭い道を鳥のように駆け抜けていく、そんな街であった。

昼食を食べた後は、学年で3班に分かれ、英語のガイドツアーに参加した。街並みを歩きながら、ケンブリッジの歴史から始まり、さまざまな建物の由来など、1時間半ほどの説明を聞いた。昔、銀商人が商売をしていたSilver Street、ケム川のパント、Queen´s Collegeの由来、パブの落書きや怪談話まで、エピソードに富んだガイドの話は聞いていて面白く、新しい発見も多くあった。特にアラン・チューリングやホーキング博士などのケンブリッジと繋がりの深い人物については皆身を乗り出して聞いていた。

ガイドが終わった後は、待ちに待った班行動。ある班はショッピングを楽しみ、またある班はその美しい街並みでの散歩を楽しみ、またある班は食を楽しむなど、思い思いの時間を過ごしたようだ。

17時からのキングスカレッジでの晩祷。入場できる数は多くはないので、希望者のみこの晩祷に参加した。

ヘンリー8世が建てたというキングスカレッジの教会は、ゴシック建築の白く複雑な模様が施された柱や壁に囲まれており、その壁一面にはステンドグラスが張り巡らされている。そしてその廊下の一直線に伸びる先には、ルーベンスの絵画。ため息がつきたくなるほどに荘厳で美しい教会の中で、晩祷が行われた。
教会の中はすでに薄暗く、ろうそくの灯の中で響き渡るクワイヤーの歌声。その美しすぎるほどに美しい歌声はまさに天使を思わせ、神に向かって歌い、祈ることがこんなにも美しく高く尊い行為であるのかと我々の心を震わせた。人間の矮小さや驕り、そのようなものを思い反省をし、また日頃のあわただしい日常生活から離れ、自分を見つめる聖なる体験であったように思う。

陽も落ち、街は夜になった。ところどころに光る街灯の明かりは、落ち着いた上品な夜のケンブリッジを演出し、パブからはゆったりと食事を楽しむ人々の温かい雰囲気が感じられた。そんな街を歩いているともう集合時間。コーチに乗り込み、2時間半かけて、学校に到着した。

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