rikkyo school in england今回の交換留学では、バディーの子の家に一週間滞在し、そこから一緒にMillais Schoolに通いました。
Millais Schoolはイギリスの現地の女子校で、7年生から11年生(11歳から16歳)までの生徒約1200人が通っています。私たちがMillais Schoolに着くと、先生が校内見学ツアーに連れて行ってくださいました。Millais Schoolの中を回ってみて最初に驚いたのは学校がとても大きいことでした。Millais Schoolでは日本の学校のように、クラス単位で授業を受けるのではなく、生徒一人ひとりが授業を選択するので、毎時間毎時間みんな受ける授業が異なります。そのため、日本の学校のように×年×組の教室というものがありません。全校生徒の人数が多いのでたくさんの教室がありました。また、Millais Schoolの授業の中にはDrama(演劇)の授業や、Zumba(アフリカの踊り)、パッチワークなどの珍しい授業がたくさんありました。それから、Millais Schoolでは、語学にも力を入れていて、日本語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語などの語学の授業を受けることができます。

初日はバディーの子と1日同じ授業を受けました。でも、授業の内容がさっぱり分かりませんでした。バディーの子に質問をしてみても、やはり、さっぱりわかりませんでした。授業が終わると、みんな一斉に教室を出て、次の授業の教室に移動します。1200人の生徒が一斉に教室移動をするので、休み時間の学校はとても慌ただしくて、まるでスクランブル交差点のようでした。Millais Schoolの生徒さんたちの中には交換留学生の私達と道ですれ違った時や、移動した先の教室でにこっと笑いかけてくれたり、挨拶をしてくれる人たちもいました。そんな生徒さんたちの優しさがとても嬉しかったです。二日目以降は日本語の授業で先生のお手伝いをしました。面白いことに、Millais Schoolでは、日本人の先生ではなく、フランス人の先生が日本語を教えていました。生徒さんと一緒に日本語で会話をしたり、漢字を教えたりしました。生徒さんたちのリスニングの能力の高さに驚きました。Millais Schoolの先生方は、私達のために個別にシルクペインティングや、中国語、Zumba、などの授業をしてくださいました。どれも普段なかなか経験することが出来ないものなので、とても楽しかったです。特に音楽に合わせながら踊るZumbaの授業は学校の授業とは思えないほど楽しいものでした。

今回の交換留学では、イギリスの学校生活や、自分と同世代の子たちが普段している生活を経験することができました。日本の学校とは異なる点が多くあって、とても刺激的な一週間になりました。週末や放課後には、ホストファミリーの人たちがBrightonや、近くの町のHorsham、素敵なレストランに連れて行ってくださってとても楽しい思い出がたくさんできました。学校から持っていった「ハウルの動く城」のDVDをバディーの子達と見たり、一緒にケーキ作りをしたりしたのもとても楽しかったです。楽しい思い出がありすぎてここでは書ききれません。今回私がこんなに貴重な経験ができたのは、この一週間お世話をしてくださったホストファミリーの方々、Millais Schoolの生徒さんや先生方のおかげです。みんな交換留学生の私たちにとても親切にしてくださいました。相手のことを思いやる気持ちと優しさは、言葉の違い、国を超えて、心と心でつながることができるのだと思いました。

言いたいことがうまく英語で伝えられない、言えなかったこともたくさんあったけれど、諦めないで伝えようとすることは本当に大切なことだと思いました。Millais Schoolでのみんなの会話は本当に早くて全然聞き取れなくて、意味が分かりませんでした。そこで自分の英語はまだまだだと痛感させられました。そんな時、ホストファミリーの人たちが私が感じている語学を学ぶことの難しさについて話を聞いてくれて、理解し、励ましてくれたから、諦めないで頑張ることができたと思います。ホストファミリーの人たちには本当に感謝しています。
たくさんの英語、イギリスの現地校での学校生活、たくさんの人々の優しさに触れた今回の交換留学は、一生忘れられない大切な思い出になりました。

(2012年度 中学部3年生 女子)

rikkyo school in england6月8日と9日に英検があった。準1級を受験する生徒たちは、8日に本会場のロンドンで受験をし、2級、準2級、3級の受験者は、9日に準会場である本校で試験を受けた。英検を受ける前日は、夜遅くまで勉強するもの、翌日に備えていつもより就寝時間を早くして睡眠するものもいて、各個人で試験本番にたいして調子を整えていた。準1級など高い級になればなるほど、生徒たちの雰囲気がぴりぴりしているのを感じた。終わった後に彼らに会うとほっとした雰囲気が感じられ前日とはまったく違う爽やかな顔をしていたのが印象的だった。

rikkyo school in england

 

僕にとってのこの春休みを一言で表すのならば、それは「決断」だっただろう。
春休み中、いくつもの決断をしなければならないことがあった。それは、新年度を迎えるにあたって、自分はどういう高校生活を送りたいかを考えることであったり、はたまた家庭の事情で転校することも考えたりだった。

まず始めに、昨年度3月に僕は立教英国学院中学部を卒業した。しかしこの学校は中高一貫の学校で、高校生の先輩方とも食事や生活を共にしていることもあり、関わりが深いのであまり他の中学校の卒業で起こる「離別」のような感情は起こらなかった。そして、どうせここに戻ってくる、などと思いながら帰宅した。その時の僕はまだ、この学校において中学部卒業と高等部入学の流れは、ただ、今まで通りそこにある「既存の道」を進むだけだと思っていた。
しかし帰宅してから何日かたったある日、父親にある話をされた。それは、日本への本帰国が決まった、ということだった。その話は僕に、今までにない感覚、を味わわせた。

僕は3年前からポーランドに父の仕事の都合で住んでいる。ポーランドに来て2年半はポーランドのアメリカンスクールに在学していて、去年の2学期から立教英国学院に転入した。その理由は、アメリカンスクールでは9月から学校が始まり6月で終わり、去年の6月で僕は学校を卒業したので、行く宛もなく、両親に知らされたこの学校に入学した。
今書いた通り、僕はこれまで、自分の歩む人生である「道」を人に流されて進んできたのである。そんな僕にとって父親の話は僕を困惑させるものだった。その内容というのが、両親が日本に帰るにあたって、今の学校に残っていたいのか、それとも両親と共に日本に帰り、転校するのかを自分で決めるというものだったからだ。僕は深く考えた。そこで僕は初めて自分の人生にまっすぐに向き合った。
そして僕は、この立教英国学院に残ることを決めた。それと共にこれから3年間精一杯に頑張る覚悟をした。僕はアメリカンスクールに行っていたこともあり、多少は英語を話すことができる。しかし、このまま日本に帰ってしまえば、自分が培ってきた英語力を無駄にしてしまうと考えたのがこの学校に残ると決めた一番の理由だった。

この学校では週に4時間、「EC」(English Communication)という授業があり、その授業ではイギリス人の先生がネイティブの英語で授業をしてくれるというもので、日本の学校にはない、英語力向上の大きなチャンスなのである。またこの学校は地域交流も盛んで本場の英語に触れる機会がたくさんあるのだ。ホームステイであったり、対外試合であったり、機会は作ろうと思えばいくらでもある。

確かに英語力の維持や向上も大きな理由だが、もうひとつ僕がこの学校に残ることを選んだ理由がある。僕は体を動かすことが好きで、放課後は基本、部活をして過ごしている。しかし僕は飽きっぽい性格で、色々なスポーツをやってみたいと思った。そこでこの学校の兼部制度に惹かれた。この学校では兼部が可能であり、部にはいくつ入っても良い。またそれぞれの体育会系の部活では他校との対外試合があるので色々な競技を楽しめる。

それらの大きな理由は僕をこの学校に留まらせるには十分過ぎた。そして学校に残ることを決めて、これから3年間の目標を立てた。その目標もこの学校ならではで、僕の英語力を活かせる良いチャンスだ。
この学校では1学期に1度、英検などの英語資格試験を受けることができる。また、2学期にはTOEICを全校で受験する。日本でも受けることはできるが、この学校では英語が生活に近いこともあり、そういった資格試験も身近に感じられる。3種類ある英語資格試験の中で僕が目標にしたのはTOEICだ。卒業までに800点から900点を目指してこれから勉強しようと思い努力していこうと決めた。

そして4月14日、入学式を迎えた。この学校は何も変わっていなかった。ただのイギリスの片田舎にある学校だ。しかし僕はその今まで通りの学校を見て、新しい道を歩み始めようとしている自分に気付いた。元からある道を何も考えずに辿ろうとしていた自分に、「決断」は新しい道を作ってくれた。心を入れ替えて、自分が決めた人生をしっかりと歩む覚悟を決めた自分に、「成長したなぁ。」なんてくだらないことを思いながら、また立教英国学院での生活に戻っていった。

(高等部1年生 男子)

rikkyo school in england6月9日(日)、毎年恒例の漢字書き取りコンクールが今年も行われました。小学校5年生から高校3年生まで、全校生徒で漢字の書き取りにチャレンジします。もちろん、教員も生徒たちとともに取り組みます。「先生に勝つぞ!」と意気込む生徒も見られました。

毎回漢字コンクールにはウルトラCと呼ばれる超難問が8問出題されます。
今回のテーマは「空想上の生き物」。この問題に何が出るかを予想するのも生徒の楽しみのひとつのようです。
rikkyo school in england「天使とか妖精も出るのかな?」
「閻魔(えんま)ってどう書くんだっけー!」
などといろいろ予想して勉強してくれました。
生徒会が予想した中では「麒麟(きりん)」「鳳凰(ほうおう)」「轆轤首(ろくろくび)」が見事的中!みんな書けたかな?
ハーフタームが明けてからわずか1週間。
この1週間、
「先生、漢字の過去問題5年分ください!」
「ここは、はねですか、とめですか」
などと言って、意欲的に教員のもとにやってくる生徒も少なくありませんでした。
コンクール開催は夜だったので、いつもはゆっくりしている日曜の午後も、漢字の勉強を一生懸命している生徒の姿が見られました。どんな行事にも積極的に取り組むのが、立教生のいいところですね。

その日のうちに速報が出て、結果を見に来た生徒たちは勝った負けたの大騒ぎ。
正式な結果はこれから発表され、80点以上の生徒は表彰されます。はてさてどうなるのか、これまでの頑張りは報われるのか、楽しみにしているところです。

rikkyo school in england立教に来てバスケを始めて1年、学校の公式戦で初めてシュートを決めた。自分達のボールになった瞬間走って、パスをもらってシュートした。自分の投げたボールが、ゴールの網を抜けるのが本当に嬉しく感じた。

去年の球技大会の時からバスケを始めた。
「前にしていたスポーツに似ているから。」といった理由で始めたから、なにか決意があった訳ではないし、バスケが好きだった訳でもない。そんな理由だったから、途中で辞めるかも知れないなぁなんて思ってた。けれど「なんとなく」やっていたバスケがどんどん楽しくなった。トラベリングの嵐なのは変わらないけど、シュートが入るようになった。ファールをよくもらうけど、周りの動きを見れるようになった。「憂鬱」が「愉快」になった。今ではバスケをやるのが楽しみだ。

球技大会の試合で点を決めて、少しだけ自信がついた。きっとすぐに無くなるだろうけど。でも、自信がなくなる前にシュートを決める、人を止める。それだけで、単純な私に自信をつけるには十分だ。練習中だろうと試合だろうと、攻めの姿勢を崩さない事、私の1年間の目標だ。

来年になったら高校2年生だ。高校3年生を支える立場として活躍したい。球技大会の勝負を決めるのは、2週間の練習ではなく、これからの1年間。来年こそ、自信で満ちている私で臨みたい。

(高等部1年生 女子)

rikkyo school in england

 

ハーフタームには 100人の生徒たちが近隣の村や町のイギリス人家庭にホームステイをしましたが、そのホストファミリーの方々から続々と嬉しいメッセージが届いています。「とってもいい子達だったから来年も是非来てほしい!」「ユーモア溢れる面白い子供達でお手伝いもしっかりしてくれました。」「うちの子供達ともすっかり仲良くなってあそんでくれました!」…等々。その一部を以下にご紹介します。

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During the half-term period we had three students stay with us: Mitsutaka, Dan and Genki. We are writing to say how much we enjoyed their company in our home.

All three students showed themselves to be friendly, respectful and to have a great sense of humor. They were helpful and kind and joined in when asked.

These boys are a credit to your school and their families. We wish them every success for the future.

Best regards

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I wanted to write and say that our first homestay experience has been a wonderful one. We hosted Rina, Mana and Aiko who were an absolute delight and a credit to the school and themselves. If you can please pass this onto their teachers it would be much appreciated. If we ever have the opportunity to host any of these girls again we would be very happy!

Many thanks

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Just to let you know that the three girls staying with us over half-term – Mizuki, Ai and Ayano – were lovely homestay students. It was a pleasure having them in the house and I would happily do it again.

Kind regards,

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“It was with great pleasure that I hosted four of your students, Daisuke, Wataru, Atsushi and Yo last week. They always tried hard to practise their English at meal times, and we had some good conversations over supper. They told us that they had a good week, with local outings to Horsham and Guildford, a shopping trip to London, and playing with Kipper our dog. Paul and I wish them all well!”

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“Just to let you know that we thoroughly enjoyed having the Rikkyo students. They were a credit to the School and, of course, Japan. They interacted so well with our daughter, Malama, who was enchanted with them.”

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“Both Haruhi and Marika were an absolute delight and would be welcome to come and stay with us at any time”.

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“The three girls got on well with each other and with my children. At mealtimes together they spoke English and were well-mannered. They ate all the meals I cooked, watched movies with my boys and did a jigsaw puzzle together. They were a pleasure to have in the house”.

rikkyo school in englandここ数日、イギリスはとても天気に恵まれています。
爽やかな風に、昼間は強すぎるくらいの日差し。
そんな好天のある土曜の午後に、数名の立教生を伴い、
近くの村のフェイトに参加してきました。
フェイトというのは、村で行われる小さなお祭りのようなものです。
今回参加したLoxwoodという村のフェイトでは、カフェやバーのような軽い飲食ブースと、
手作りのお菓子や置物を展示・販売するブース、そして子供たち向けのゲームを行うブースが並んでいました。

今回、立教生は剣道部によるデモンストレーションと、
ジャパニーズイブニングで書道を担当した生徒による書道の紹介を行いました。
剣道部の4名は、会場の草原の上で裸足になって、稽古の様子や型を披露しました。
大きな掛け声とともに展開される剣道の様子に、村の子供や年配の方々が歓声で答えてくれました。

rikkyo school in england書道の紹介では、スタッフが用意してくれていたブースの机に書道一式を広げました。
ここでは、興味をもってくれた村の人々の名前を、漢字に変換し、
立教ロゴ入りのお札に書いて渡すというものです。
「お名前教えてください!」
難しい名前にどのような漢字を充てるか迷いながらも、
良い意味の漢字を探し、スラスラと書いては渡していきます。
ジャパニーズイブニングを経験した生徒たちですから、
村の人との接し方も慣れてきたようです。

さて、剣道部は何度かのデモンストレーションを終わらせ、
書道組も当番を時間で区切り、空いた時間を作ると、
さっそくフェイトをみて回り始めました。
お小遣いを握り締め、アイスを買うか、カップケーキを買うか、
ゲームに参加するか・・・・。
思い思いのブースへ足を運ぶ立教生。
その中で、中学3年生の男子生徒が報告に来てくれました。
「さっき、ホストファミリーに会いました。覚えていてくれてうれしかったです。」
ホストファミリーを見つけ、声を掛けてきたようです。
ハーフターム中にもホームステイをしていた生徒ですので、直に忘れることはないのでは、と思っていると、
なんと去年ホームステイをしたときのホストファミリーである、とのこと。

rikkyo school in englandとても嬉しそうに報告をしてくれた生徒を見て、
地域との交流が、個人の交流としてつながっていくことの喜びを、
実感した一日でした。

rikkyo school in england

先生方と一緒に

卒業以来2回目、約15年ぶりの訪問です。
今回は短期留学に伴い、子供と私の両親で来ました。
2人の子供達には自分の原風景を見せてあげることができて本当に嬉しく思います。
ところどころ新しくなっている場所もありましたが、空気やにおいは昔のままでした。
また訪問できる日を楽しみにしています。
先生方、優しく迎えて頂き、ありがとうございました。

rikkyo school in englandホームステイはとても充実したものでした。ミレーの子が立教にきたときは必要以上に周りと自分を比べてしまって積極的になれなかったけれど、今回は自分なりに頑張って交流できたと思います。
ミレースクールに行って驚いたのは授業の雰囲気が立教と全く違ったことです。先生が質問するとすぐに誰か答えて、無駄な時間がありませんでした。立教では先生の質問に、分かっていても誰も答えないことが当たり前なので驚きました。けれどきっとこれが普通なのだと思います。分かる時には答えるという当たり前のことをしっかりやっていこうと思います。

また外国人とコミュニケーションをとるとき、沈黙はなくさないといけないと思いました。立教では友だちと一緒にいるとき、沈黙があってもなにも思いませんが、ホームステイ期間中、ソフィーは私が話していないとすぐに〝大丈夫?〟と聞いてくれました。私もできるだけ沈黙はなくそうと努力しました。これからも外国人と話すときはちょっとしたことでも話して沈黙に気をつけようと思います。

ホームステイをしてみて英国の生活はのんびりだと感じました。学校や仕事が終わる時間も早いし、家に帰ってからはもう家族の時間でゆっくり過ごしていました。比べてみると立教生はよく勉強していると思います。そこは自信をもちたいです。
私はホームステイをしたのは2回目です。前回に比べて自分の気持ちをホストファミリーにしっかり伝えられました。ホストファミリーも親切にして下さってとても楽しく過ごせました。貴重な経験ができて良かったです。ミレースクールのみなさん、ホストファミリー、本当にありがとうございました!

(2012年度 中学部3年生 女子)

父が倒れた。
三学期の末に、初めて掛かってきた母からの電話はそんな内容で、妙に冷静な母の言葉がいつまでも耳に残った。
その時にはもう退院しているから、大丈夫だからと言いきかされた。両親なりの優しさだったのだと思う。だから、私は安心して三学期を終えた。
帰ってきた家にはビンラディンがいた。父はヒゲを長く伸ばしてにこにこ笑っていて何事かと思ったが、どうやら少し休みをとって休養しているからヒゲをそっていなかったらしい。初めて見た姿だったので大笑いした。

私の想像に反して父は闘っていた。いつも寮にいる娘が言ってもアレだけれども。父は肉類や濃い味付けのものが大好きで、でも健康のために毎日サラダや薄い味のものばかり。毎日歩いてもいた。後半は町内を歩いたりして一万歩。家で歩いたり、目のトレーニングをしたりして努力しているのも見た。不安とも闘っていたと思う。今も、闘っているだろう。健康や、仕事や、私達のことで。
私はこの春、失う怖さを知って、有る幸せを知った。一学期、失った後の言いようもない悲しみも、知った。不安な春だった。でも幸せな春だった、と思う。それは父も、母も弟も同じだったと信じている。
私はここへ来る時全てを失った気がした。家族と共にいられない。友人も土地も全てリセットで、取り戻すのは難しいと知っていた。だけど違うのだ。失ったりはしないのだ。病も距離も死でさえも私達から一つも奪うことなんてできない。いつだって手放しにしているのは私達自身で、だからこそいつまでも持っていられるのだ、と思う。
諦めないでいようと決めている。諦めないで欲しいと願っている。

私達が大好きだったという記憶も、手放したくない場所も、どんなに離れた友達も、私達は持っていられるのだ。そう信じていられるのだ。
小娘が、と思うかもしれないけれど、特異な体験をできた幸運な小娘の学んだ少ない一つだ。信じてほしい。それでも春は来た。また新しい一歩をふみだせる。私達は進める。
どこからだって。

(高等部2年生 女子)

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