ハーフターム4日目、オープンデイ準備活動も中盤戦を迎え、学校はますます活気に満ちてきました。生徒達はクラス企画、フリープロジェクトの他にもスクールコンサートや本部、係の仕事などいくつも掛け持ちしてキャンパスを忙しそうに駆け回っています。

朝の礼拝が終わると作業着に着替えて教室へ。ホームルームで点呼をとった後は、教室で作業する生徒、体育館でペンキ塗りをする生徒とそれぞれの作業場に向かいます。この期間は教員も作業着で全面協力。「この学校の先生達って生徒と一緒に作業するんだ。ビックリした。」と中2の女の子。立教の生活にすっかり慣れたはずの4月からの新入生も、授業がなくて朝から晩まで仲間達と準備を進めるオープンデイ準備期間は初めての経験です。夏休みから調べた資料をもとに大きな模造紙に日本語と英語で説明を書いていくのがまず最初の作業。そしてその後は、体育館で絨毯のように広がった大きな模造紙に絵を描いたり、ノコギリや金槌を使って日曜大工気分で大きな模型を作ったり、限られた材料と頭を使って沢山の展示物を作り上げて行きます。準備期間が始まったばかりの時はガランとしていた教室も、今や仕切りのロッカーや掲示ボード、製作中の小物や完成した模型、段ボールや模造紙などありとあらゆるもので一杯。 つい先週までここで授業が行われていたとは思えない別空間です。先生方も普段とは違う格好で行き来し、いつもと違うリズムで時が流れて行くこの期間。自宅で過ごすハーフタームの何十倍も密度の濃いとっても不思議な毎日です。

明日からは、補習を終えた高校3年生たちも加わってオープンデイ本番に向けて最後の追い込み。保護者の方々もロンドンなどから多勢手伝いにきて下さいます。キッチンの方が、夜中まで一生懸命作業をしている子供達のために温かいココアを用意して下さるのもそろそろ。
数カ月の準備と1週間のラストスパートを終えて出来上がる生徒たちの作品の数々はまた改めてこちらでご紹介する予定です。

                      

ロンドンに出張した際に来校した第4期生の大海さんと話していたときのこと。
「高等部の第1回卒業式のときに、日本からおひな様を運んできたのは大海と殿村だよね?」
「えっ、僕と磯田だと思いますが。。。」

何気ない会話から驚くべき事実が発覚。
それは今まで毎年の卒業式で、必ず校長先生が卒業証書授与の前に話していたこと。
『今から32年前、高等部の第1回目の卒業式のときに、第1期生の西尾君のお父様があのお雛様を買って学校に寄付して下さいました。受験を終えて、卒業式のために戻って来た中学部3年生の大海君、殿村君の二人が、そのお雛様を日本から運んできてくれました。それから32年間、あのお雛様はこの日に出席できない卒業生の代理として毎年、あそこで卒業式に参加することになっております。』
この長い間語り継がれてきた話が、実は間違いであったとは!!

ちょうどミラノ在住の同期生の今時さんが、日本に出張することになり、彼に真相究明を依頼。
日本へ行く途中で、シンガポールに立ち寄り、シンガポールにいる磯田さんに直接真偽を確かめることができました。
その結果、「それは大海と俺で日本から運んだはずで、空港で重量オーバーだったが、大海のお母さんが『海外に住む子供達のためなのでお願いします!』と頼んで、追加料金を払わなかった」との証言を得ました。

当人二人がそう言っているので、この件は大海さんと磯田さんが持ってきたというのが、間違いなく真相なのでしょう。

そこでもう一人の当事者(?)である殿村さんに最終確認をとろうとしたところ、何とインドに出張中とのこと。この度メールにて、「そのような記憶はまったくないし、実家にも聞いたがうちではないことが確認できた」というお返事をいただきました。

こうしてロンドンから始まってミラノ、シンガポール、インドと世界中で活躍中の立教生に話を聞いて、32年前のお雛様の真実にたどりつくことができました。
今まで誤った情報をお伝えし続け本当に申し訳ございませんでした。

                 
                     
10月のハーフターム。イギリスの学校は1週間お休みになり、それぞれ自宅でゆったりと過ごす期間ですが、立教の生徒たちは帰宅せず、いつもとは全く違った1週間を学校で過ごします。毎年11月第1日曜日に行われる「OPEN DAY」に向けての準備が本格的に始まるからです。勿論授業はありません。文字通り「朝から晩まで」OPEN DAYの準備に追われます。1学期から生徒会やOPEN DAY本部・係を中心に進められて来た活動の総仕上げ。沢山の苦労と、笑いと、衝突、努力、涙…を繰り返しながらクラスが、学校がひとつにまとまっていく1週間。その幕開けとなるのが「教室移動」、そして「ドミトリー移動」です。

午前中授業の後、昼食後から「教室移動」が始まりました。高校2年生の本部員の指示に従ってテキパキと生徒たちが机や椅子を持って校内を移動し、ほんの数時間のうちに各教室はガランとした大きな空間に早変わり。まだ何も描かれていない大きな白いキャンバスのような教室に、今度はロッカーや掲示ボードが係の生徒たちによって次々に運び込まれていきます。まだこのOPEN DAYを経験した事がない新入生たちもいつの間にか不思議な連帯感の中でスムーズに作業を進めていました。

作業着で忙しそうに走り回る生徒達の中にあって、制服姿で机を運んでいたのは赤ネクタイの高校3年生達。去年はOPEN DAYの原動力となって活躍した彼らですが、入試を控えた今年はこれから約1週間、1コマ90分の特別補習が始まります。移動先の教室で早速補習授業の予習に取りかかっていました。

夜は、「ドミトリー移動」。2学期も後半を迎え、気分一新、新しいドミトリーメンバーとの生活の始まりです。皆テキパキと自分の荷物を持って新しいドミトリーとの間を行き来し、ロッカーや引き出しに荷物を収めていきます。そして終わった人から教室に戻ってOPEN DAYの作業再開…

ドミトリーも教室も全てがこの日一日でいっぺんに変わりました。1週間、新しい気持で精一杯取り組んでいこうという決意は、この準備期間に欠かせないもの。そんな意気込みは代々自然に受け継がれ、今年の高校2年生も頼もしいリーダーとしてOPEN DAYを成功に導いていけそうな、そんな気配が感じられた1日でした。

                      
                   
「こんな家に住めたら、何人でも友達呼べるのに!!」
「毎日泊まりに来て!って言っちゃう!」

こんな会話が繰り広げられたのは、なんと学問の都ケンブリッジのトリニティ・カレッジの中央広場でした。
高校一年生の2学期アウティングは、例年通り、ケンブリッジでした。毎年2年生になると行く場所ですので、1年生は先輩から、昼食の場所や、買い物ポイントなど、事前の情報収集をしていたようです。
ケンブリッジまでバスに揺られること2時間半、ケンブリッジの語源であるケム川の近くにバスを止め、フィッツウィリアム美術館でフェルメール展を見学、その後はグループごとにランチタイムです。

お昼のあとは、このアウティングのメインイベントである、ガイドさんによるツアー。
クラスを二つに分け、それぞれガイドさんがトリニティ・カレッジ、キングス・カレッジ、そして説明されなければうっかり見落としてしまう小さなポイントを丁寧に、ゆっくりと説明してくれました。

トリニティ・カレッジは、ニュートンがいたことで有名です。「木から落ちるリンゴ」の木の末裔が門の横にあり、その前で記念撮影。このカレッジを建てたヘンリー8世の像が門の上にあり、体重が100キロを超えていたという説明を聞いて生徒が一言ぼそり。
「あの像だと100キロはないなぁ、スマートに作らせたのかな?」

門をくぐり、広場を囲むカレッジの建物を見た生徒の口から出たのが、冒頭の会話でした。
トリニティ・カレッジの礼拝堂では、ニュートンのつま先に触れて、「頭がよくなりますよーに!」と記念写真を撮りました。

次に向かったのがキングス・カレッジです。こちらは、ヘンリー6世によって創設され、壮麗さで右に出るものがないよう徹底させて作らせたといわれる礼拝堂が有名です。礼拝堂に入るや否や、生徒たちは天井やステンドグラスに目を奪われるあまり、感想が口から出てこないようでした。礼拝堂の椅子に座り、ガイドさんの説明を聞く姿は、おそらく今日一日で最も集中していました。
「礼拝堂の壁に残る落書きはいつ、誰が書いたものだと思う?」
「なぜ、ここのステンドグラスは破壊されなかったのだと思う?」
ガイドさんからの質問の答を理解するために、真剣に英語を聞き取ろうとしていました。

この後は、ガイドさんとともにケンブリッジの街の中へと繰り出しました。
あるパブの前では、そこに住み着く幽霊のために、ずっと窓を開けているという話を聞き目を丸くしました。
さらに、いたるところにある道端の鉄柵の理由を、ガイドさんから「なぜだと思う?」と聞かれ、みんなで考え抜いた結果、一人が「泥棒だ!」と見事正解を導き出しました。夜道に突然泥棒が現れるのを防止するための鉄柵、ということです。

言われないと目にも留めない小さな発見や、驚きにとても楽しめたガイドツアーでした。

ガイドツアーの後は、キングス・カレッジの晩祷に参加するグループや、買い物へ繰り出すグループ、街の散策をしながら夕飯を食べる場所を探すグループ、などそれぞれに過ごしました。

日が落ちるのがすっかり早くなったイギリス、集合時間にはもう真っ暗でした。
一日中歩き、英語を聞いて疲れた高校一年生でしたが、帰りのバスの中でも歌をうたいながら、さすがと言わざるを得ない元気っぷりで、最後までこの日を楽しんだようでした。

                       
ここ数年大学の受験資格や企業での英語運用能力の判断材料として注目され始めた英語資格試験「TOEIC」とそれに結びつく位置づけの「TOEIC Bridge」を今学期から本校でも実施することにしました。生徒帰寮前に全教員が研修を受講してTOEICの試験監督資格を取得し、今後は正式なセンターとして年に3回の試験を実施する予定です。

今回その第1回目を10月23日(日)に実施し、全校生徒が受験しました。基本的に高校生はTOEICを、小中学生はBridgeを受験しましたが、中学生でも果敢にTOEICに挑戦した生徒も何人かいました。

TOEICはニューホールで44名、図書館で50名の計94名が受験。リスニング45分、リーディング75分の計2時間。リスニング はすべての文章が1度しか読まれないので集中力も大切です。この日の本番に先立って1週間前の日曜日に全校でTOEICとBridgeのためのガイダンスを行い出題傾向の説明や練習もしていました。そして本番。初めての受験とあって少々緊張したり戸惑ったりする生徒達もいましたが、その分取り組みは真剣そのものだったようです。

TOEICはどちらかというと高学年から社会人向けのテストですが、BridgeはそのTOEICへの「橋渡し」として開発されたテスト。試験時間も半分の1時間ですが、結果はTOEIC同様、合否ではなく何点獲得できたかで知らされるため、英語を習い始めて間もない中学生たちにも良い指標になります。今回は大教室で31名が受験しました。リスニングの指示も問題もすべて英語という試験だけに、中1、中2の生徒達には少々大変だったかもしれませんが、数週間前からコツコツと問題集を解いている熱心な中学生の姿もちらほら見受けられました。この生徒たちが数年後にTOEICを受験するまでに、どのように彼らの英語力が伸びていくのか楽しみです。

2学期は全校生徒が受験しますが、1、3学期も希望者を対象にこの試験を実施します。本校では、英語をただ学ぶだけでなく、それを実際に試す機会を充実させるべく、ネイティブスピーカーの授業や近隣の町での校外学習など、本物の英語習得を目指すプログラムを積極的に展開しています。今回このTOEIC実施が、これまで実施してきた英検やケンブリッジ大学英語資格試験と並んで客観的な英語運用能力の指標となり、生徒達にとって更なる努力目標、学習への刺激になればと思います。

                                  

10月13日(木)、4限の授業が終わるとお弁当を持って出発した小6と中1の16名。
行き先はWEALD & DOWNLAND OPEN AIR MUSEUMです。

先学期から始まった野外学習。英語の授業では既に、外へ出てインタビューしたり、地図をつくったり、様々な取り組みが毎週行われています。社会の野外学習は1学期に1回。先学期はホーシャム(HORSHAM)の街を歩いて地図づくりをしました。今学期は”農業博物館”の見学です。

WEALD & DOWNLAND OPEN AIR MUSEUMは、イギリス南部の建物を移築して集めた野外博物館。500年前や300年前などと様々な年代の建物が一同に会しています。ここでの作業ワークは、あちこち回って建物を観察し、何をするところだったか、どんな特徴だったかをワークシートにまとめてゆくこと。あらかじめ3~4人の小さなグループを作り、写真撮影係も決めました。

自由に回ってよいのですが、特に3つの建物が「通過ポイント」と連絡されました。注目すべき建物で、ガイドがあると更に面白い場所です。博物館ガイドの方もいらっしゃいますが、社会の先生がそれぞれ立って、クエスチョンを与えつつ、ガイドやアドバイスを加えます。

ポイント① BAYLEAF FARMHOUSE
BAYLEAFという所にあった16世紀の富裕農民の住まい。1階の大広間の構造や特殊な材料でつくられた食器、二階のベッドやトイレが注目です。食器はなんと、牛の角や革でできていました。2階のトイレの便座の下は公の通り道・・・。本当に使用したんでしょうか、このトイレ?

ポイント② LURGASHALL WATERMILL
LURGASHALLという所にあた17世紀の粉挽き小屋。池から流れる水によって大きな水車がまわり、これまた大きな石臼が動いて実際に小麦を挽きます。小型の石臼が出ていて、手で回す体験ができました。重くてなかなか大変。これを水の力によって回すのだから、水車小屋というのは、人が開発した道具の中でも本当に面白いものだと思います。

ポイント③ BUILDING CRAFT GALLERY
様々な工具や材料を集めて、鍛冶屋や壁塗り職人、木工職人などの仕事を紹介するギャラリー。辞書で工具や材料を確認しながら、「BLACKSMITH」や「CARPENTER」が一体どんな職業を指すのか推測します。

制限時間は1時間半。どれだけ回ることができたでしょうか?
あちこち面白かったらしく、じっくり観察したグループは「ポイント回るだけで精一杯だった!」 一方で、「たくさん見てきた!」というグループもありました。粉挽きのほか、近世の料理の実演や鍛冶の実演など、イベントも盛りだくさんだったフィールドワーク。学校に戻ってきてから、1週間かけてまとめ作業を行いました。

                         
1学期にも訪問してくださったエミリー・ハーウッドさんが、先週ふたたび学校を訪れてくださいました。
ハーウッドさんは現在89歳、昔、女子寮がお屋敷だった頃、領地の森番の娘として少女時代をここでおくられた方です。
今回も、第2次大戦中に立教の敷地内に墜落した爆撃機のパイロットのご遺族を案内していらっしゃいました。

1944年1月7日、立教のすぐ近くにあった空軍基地から出撃した爆撃機2機が空中で接触し、両機とも墜落してパイロット全員が死亡するという不幸な事故がありました。当時22歳だったハーウッドさんはその事故を間近で目撃し、父親と共に真っ先に駆けつけたそうです。
その墜落現場である音楽室の南側斜面をくだったサッカーフィールドの前で、皆で黙祷を捧げました。

前回訪れた時には、ハーウッドさんから「女子寮の床下に金貨が埋めてある」という驚くべき話を聞きましたが、今回もまた新事実が判明。

「イーストハウス正面のアーチの上にある馬の首には名前がある。」

ハーウッドさんによると、あの馬はお屋敷のご主人の一番のお気に入りだったそうで、レースで優勝した馬だそうです。その馬の名は 「SPARK」(スパーク)。
いかにも速そうな名前ですね。スパークを愛するご主人が、記念にあの像を作ってあそこに設置したということでした。それから何十年もたち、ご主人は亡くなり、お屋敷は立教の女子寮になりましたが、スパークは今でもあそこから訪れる人たちを見守り続けています。

   *   *   *   *

ハーウッドさんからの手紙

Dear Mr Munechika

Thank you for your kindness in allowing the family of Terry Riordan and members of the Museum access to the crash site.
I know it was a sad occasion. Terry’s sister said it has given her much to think about, it was something she always wanted to do.
What the family really liked was your interest in everything and escorting them down to the football field.
I do hope you have nice weather for your open day and lots of visitors.

Yours sincerely

Emily Harwood

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