ハワイGFT」への想い ―聞いたことは忘れる・見たことは覚えている・体験したことは身に付く―

明けましておめでとうございます。
今年の干支は「申(サル)」ですが、「申」は「去る」という意味を表し、「悪いことが去る」や「病が去る」など、いいことや幸せがやってくるとの考えもあるようです。昨年の今年の漢字には「安」の字が選ばれ、「安心」の意味より国際情勢なども含め「不安」の意味合いが大きいようでしたが、今年はその「不安や課題」が「去る」年になることを願いたいと思います。

さて、生徒の皆さんも新年を迎え、気持を新たにしている人も多いことと思います。学校の年度は3月までですので、年明けは卒業・進級に向け集大成の大切な時期になります。特に今年度の高校1年生の皆さんは、この時期に「ハワイGFT」(グローバル フィールドワーク トリップ)が実施されます。その一番の目的は、次のイギリスの諺(ことわざ)がとてもよく表してくれています。 “I hear, and I forget. I see, and I remember. I do, and I understand.” 「聞いたことは忘れる。見たことは覚えている。体験したことは身に付く。」この言葉に尽きると言っても過言ではありません。

現代は「グローバル時代」と言われ、社会の変化やスピードが速く、誰でもがインターネットで膨大な情報を入手できる時代になりました。このような社会になると、一つひとつのものごとの背景を把握するためのより豊富な知識の統合知(教養)を持ち合わせていることが大切になります。そして、次々に出現する新しい状況にも自ら考え判断し行動する能力がより一層必要になってきます。学力等の「ハードスキル(認知能力)」と対比される「ソフトスキル(非認知能力)」が重要だと言われるようになってきました。ソフトスキルというのは、具体的には「コミュニケーション能力・創造力・分析力・柔軟性・問題解決力・チーム力等、他者と触れ合う際に影響を与える一連の能力」と定義されることが多いようです。この一連の能力の「他者」とは、「世界中の様々な国・文化・思想を持った人々」ということを意味しています。そして、この「ソフトスキル」の能力を身につけるためには、ただ単に教科書を読んで知識として理解するだけはで十分ではありません。これは「知識→体験→発見→探究心→新たな体験→新たな発見→新たな探究心」という能動的なサイクルによることで身につけていくことができるものなのです。

桜丘の建学の精神は「勤労と創造」です。また、その現代版解釈として、「勤労=翼(教養)」、「創造=コンパス(判断力)」によりグローバル時代への土台に必要なことが学校生活のさまざまな行事や日々の取り組みのなかにちりばめられています。皆さんが将来、どのような社会のなかでも、やり甲斐や充実感のある社会生活を送るための基礎とその力を育むことができると確信しています。そのような意味では、さきの「ソフトスキル」(他者と触れ合う際に影響を与える一連の能力)を身につけるための挑戦は、「ハワイGFT」実施での国際交流である「ホノルルフェスティバル」参加による現地の体験だけに限ったことではありません。クラスの交流、イベントのための事前準備の段階からのクラスの仲間との協働など、すでに体験した桜華祭や体育祭で培ってきたチームワークや毎日のMC(日直)制度でのリーダーシップとフォロワーシップの体験など、実はすべてが繋がっているのです。

皆さんが体験する「ハワイGFT」のハワイの地はまさに、人・モノ・情報の関係性が世界で最も多様化した複雑な場所の一つであり、多様性を受容しそれを強みにしてきたハワイからは、皆さん自身がさまざまな驚きや発見ができるものと思います。世界の多文化に対する理解と尊敬を通じて、平和でよりよい世界の実現のために貢献する探求心・知識・そして思いやりのある若者に成長することが、地球規模での生きる力つまり世界で生きる力を育みます。その探究心、挑戦への意欲が英語力を高めさせる必要性を実感させてくれるはずです。桜丘の学校生活やこの体験からの学びにより、国や文化・思想の枠を超えた発想に触れ、グローバル社会で他者と協働していく力を養い、自分の進路や将来への新たな一歩を踏み出すべく、有意義なターニングポイントになることを心より願っています。

集合写真

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