3月12日、第7回卒業証書授与式が盛大かつ厳粛ななか、行われました。

 

校長の訓示をご紹介します。

校長訓示

寒さの中にも、春らしい日の光を感じる頃となりました。

本日ここに、小学校6年間の学業を終えられ、ご卒業をなさる皆様、誠におめでとうございます。また、本日、この良き日をむかえられた保護者のみなさま、お慶びもひとしおといったことと存じます。重ねてお祝い申し上げます。これまでの、本校教育活動へのご理解、ご協力に深く感謝申し上げます。また、本校の卒業生のためにご多忙の中、ご臨席を賜りましたご来賓のみなさま、まことにありがとうございます。心より御礼申し上げます。

さて、本日、この学び舎を巣立っていくみなさんに、校長としてというよりは、人生をみなさんより長く生きてきた者としての思いを お話ししたいと思います。

これからみなさんが進む先には輝かしい未来と可能性が待っているといえます。何と言っても、自分の努力しだいでいかようにもなれるということだけで、私のように人生の半ばを超えている者にとっては羨ましい限りです。その価値については、意外とその場にいるみなさんには理解できないのかもしれません。だからこそ、これからの日々も大切にきちんと生きてほしいと望みます。

みなさんは、本校のすばらしい環境と優秀で気立ての良い友人たちとともに、本当に恵まれた小学校生活を送ってこられました。その意味では、「選ばれた一握りの人々」といっても過言ではありません。そして、みなさんの保護者の方々や今日までかかわったすべての人々のおかげで、今この瞬間にこの場にいるのです。そして、同世代の仲間たちよりも明らかに高い水準の教育を施されました。中学・高等学校段階の中等教育でも各々が高いレベルの教育を受けることができる場が用意されています。

ですから、そんなすばらしい場を与えられたことに感謝をして、精一杯努力をし、賢い人になってほしいと思っています。そして、学んだことを自分のためだけでなく、広く世の中の人々のために使えるような、そういう賢い人になってほしいと思うのです。

とかく、人間は驕り高ぶるものです。物事がうまくいくと「自分に力があるからだ」と思い込み、他の人を侮り(あなどり)嘲る(あざける)態度に陥りやすいものです。そこに至るまでに、いろいろな人々の助けを借りたことはすっかり忘れてしまい、己の力だけで成功したと思い込みがちです。どうか、そんな心の卑しい人にならないでほしいと思います。

昨今の世の中の状況をみますと、選挙権が18歳まで引き下げられることや憲法の改正について議論がされ、集団的自衛権の行使容認が閣議決定をされるなど、これからみなさんが生きていく環境が大きく変わる兆しがあります。よって、みなさんは数年後には、国民として国の行く末に関わる重大な決断をせねばならない場面に直面する機会が多くなることでしょう。また、国外に目を転じると、第二次大戦後70年という節目にあたるこの年になっても、私たち人類は歴史の教訓を生かせずに、おろかな争いを繰り返しています。このように混乱の収まらない時代に、みなさんは大人になっていくという見方もできるでしょう。その意味では明るい未来といえるのか、疑問なのかもしれませんが、そんな時代だからこそ、明るい未来とできるのかどうかは、みなさん一人ひとりの力にかかっているともいえるのです。ですから、与えられている環境に感謝しつつ自分を磨き、自分を鍛え、自分の頭で考えることをやめずに、たくましく生き抜く力を養い、その力を世の中の利益のために役立てるような人物となってほしいと切に願わざるをえません。

中学に進むとみなさんは「児童」という呼称から「生徒」という呼称に変わります。この変化には大きな意味があります。「生徒とは、子どもとしてではなく、きちんと大人として扱う」という意味だと思ってください。それだけ、みなさんを見つめる周りの目は厳しくなっていきます。それは、同時にみなさんへの期待も今まで以上に大きくなっていくということなのです。そんな変化に動ぜずに、正々堂々とした態度で生きていける人になってほしいと思います。みなさんの前途に幸多かれと祈りつつ、以上をもちまして、ご卒業されるみなさんへの校長訓示といたします。

平成二十七年三月十二日

学校法人佐藤榮学園 さとえ学園小学校

校長 下平孝富

 

人生の“節目”としての卒業式

これまでの、6年間と、これからの希望に満ちた新しい生活への期待と・・・様々な想いが浮かんできます。

 

 

卒業式を終えたばかりの子どもたち。

そのまなざしは、何を見据えているのでしょう・・・。

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