さる12日、気持ちの良い晴天の日に卒業証書授与式を行いました。21世紀を生き抜く人材を育成する立場として、卒業生たちに私たちの思いを伝えました。

 

校長訓示

寒さの中にも、春らしい日の光を感じる頃となりました。

本日ここに小学校6年間の学業を終えられご卒業をなさる皆様、誠におめでとうございます。また、本日、この良き日をむかえられた保護者のみなさま、お慶びもひとしおといったことと存じます。重ねておめでとうございます。これまでの、本校教育活動へのご理解、ご協力に深く感謝申し上げます。また、本校の卒業生のためにご多忙の中、ご臨席を賜りましたご来賓のみなさま、まことにありがとうございます。心より御礼申し上げます。

さて、本日、この学び舎を巣立っていくみなさんに、校長としてというよりは、人生をみなさんより長く生きてきた者としてのはなむけの言葉をお送りしたいと思います。

これからみなさんが進む先には輝かしい未来と可能性が待っていると思います。何と言っても、いかようにもなれるということだけで、私のように人生の半ばを超えている者にとっては羨ましい限りです。その価値については、意外とその場にいるみなさんには理解できないのかもしれません。だからこそ、これからの日々も大切にきちんと生きてほしいと望みます。

みなさんは、本校のすばらしい環境と優秀で気立ての良い友人たちとともに本当に恵まれた小学生生活を送ってこられました。その意味では、「選ばれた一握りの人々」といっても過言ではありません。そして、みなさんの保護者の方々や今日までかかわったすべての人々のおかげで、今この瞬間にこの場にいるのです。そして、同世代の仲間たちよりも明らかに高い水準の教育を施されました。さらに、次の段階である中学・高等学校段階の中等教育でも各々が高いレベルの教育を受けることができる場が用意されています。

ですから、すばらしい場を与えられたことに感謝をして、その中で、精一杯努力をし、賢い人になってほしいと思っています。そして、学んだことを自分のためだけでなく、広く世の中の人々のために使えるようなそういう賢い人になってほしいと思うのです。

とかく、人間は驕り高ぶるものです。物事がうまくいくと「自分に力があるからだ」と思い込み、他の人を侮り嘲る態度に出やすいものです。成功に至るまでに、いろいろな人々の助けを借りたことはすっかり忘れてしまい、独力で成功したと思い込みがちです。どうか、そんな心の卑しい人にならないでほしいと思います。

昨今の日本をとりまく状況を鑑みますと、ウクライナ問題に端を発するアメリカとロシアの関係が、かつての冷戦を彷彿させる事態となりつつあります。従って、同盟関係のアメリカとの関係を視野にいれると日本にも大きな影響があると思われます。また、日本と韓国は隣人でありながら、歴史認識の問題と竹島をめぐる領土問題で、険悪なムードが漂っています。そのように、大変な時代にみなさんは大人になっていくのです。その意味では明るい未来といえるのか、疑問なのかもしれませんが、そんな時代だからこそ、与えられている環境に感謝しつつ自分を磨き、自分を鍛え、考えることをやめずに、たくましく生き抜く力を養い、それを世のための役立てるような人物となってほしいと切に願っております。

中学に進むとみなさんは「児童」という呼称から「生徒」という呼称に変わります。この変化には大きな意味があります。「生徒とは、子どもとしてではなく、きちんと大人として扱う」という意味だと思ってください。それだけ、みなさんを見つめる周りの目は厳しくなっていきます。それは、みなさんへの期待も今まで以上に大きくなっていくということも意味するのです。そんな周りの厳しさに動じない、正々堂々とした態度で生きていける人になってほしいと思います。以上をもちまして、ご卒業されるみなさんへの校長訓示といたします。

 

平成二十六年三月十二日

学校法人佐藤栄学園 さとえ学園小学校

校長 下平孝富

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