昔の子供 今の子供(2)

 

後で知ったことだが、「山の子供たち」は
蛇を「加工」し、その危険性を取 り除いて
玩具にしている。

すなわち彼らは、柔らかい柳の木を用意
した上で蛇を捕まえる。柳の木は柔らかい。
皮を剥くと真っ白なみずみずしい木肌が
現れる。

その木を鋸ですぱっと切る。

蛇を「無力化」するために、彼らはその柳を
使うのである。彼らは蛇を捕まえると、無理
矢理その口に、くだんの柳の木を つっこむ。

蛇は嫌がるが、そんなことに頓着するような
彼らではない。遮二無二、口の奥までつっ
こむと、蛇の口のあたりを、上と下から何度も
何度も丁寧に押さえつける。

柳の木は柔らかいから、蛇の歯は完全に木に
突き刺さる。確実に突き刺さったかどうかを
確かめた上で、彼らは口の上下を押さえたまま、
柳をすぽっと引き抜くのである。蛇は痛かろうし
苦しかろうが、彼らはそんなことは気にしない。

柳の木には、深く突き刺さったままの蛇の歯が
食い込んで いる。つまりそこで、「歯のない蛇」
ができあがるのである。

ケンマは、学校の裏の空き地に蜜柑箱を隠して
いて、そこに何匹もの「無力化」した蛇を飼って
いた。

時代が変わったとは言いながら、このような大自然
の中で育った子どもには現代の子どもにはない
逞しさと素朴さがあった。

その3につづく…

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