昔の子供 今の子供(4)

 

でも木登りが禁じられている本当の理由は もっと、
別なところにあるらしい。

即ち、万一転落して死亡事故が発生したような
場合の責任問題である。我々の幼い頃、 池に
落ちたりしたら、ぼやぼやしているからだと叱ら
れたものだが、今では、そのように危険な施設を
放置した「管理責任」が問題にされる。

スイスのユングフラウに登り、氷河の上を歩いた
とき、そこには「危険には自分で責任を持て」と
書かれてあった。

しかし、我が国にそのような論理は通用しない。
管理責任も大切だが、ある程度の危険負担は
覚悟しても、自由に木登 りが許されるくらいの
環境が、子ども達には求められているのでは
ないだろう か。

昔の「悪ガキ」は木に登ってカラスの卵を盗み、
茹でて食った。今の子ども はパチンコでカラスを
撃ったりすることはない。

その代わり人間はカラスにすっかり舐められて
しまっている。時には、女性や老人の頭をつつく
こともある そうである。

青大将を玩具にしろとは言わないが、子ども達の
生活の「文明化の度」は、いささか過ぎてしまって
いるのではないだろうか。

<完>

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