治安の悪化と身を守る術(5)

 

自由、人権、権利が安手に強調される中で
「世間様」という考えが完全に欠落している。

池袋地下街などで、向こうから若い女性が
歩いてくると、昔は向こうから道を譲って
くれたものである。こちらも譲りたくないわけ
ではないが、下手に譲る と衝突する結果に
なるから私は、こちらは譲らずに真っ直ぐ
歩いていって、混乱を 避けることができた
のである。

 

今はそうではない。譲らずに行くと正面衝突
してしまう 。だから、「妙齢な 」女性が向こう
から歩いてくると、私はさっと 道を譲るこ とに
している。女性は、道を譲った私には一瞥も
くれることなく、真っ直ぐ堂々と歩いて行く。

その様は土民の横を傲然と通り過ぎていく
昔の「悪侍」に似ている。 譲る 心、世間様など
という我が国古来の文化は滅び去ってしまい、
「 私は正しいの よ」「今のままの私を認めなさい」
という知性欠落の傾向が、うら若き 「美女達」
の生活作風になってしまっているのである。

「馬鹿野郎、お前にも必ず、世間様の恐ろしさが
骨身にしみる日が確実に来るの だぞ」と思い
ながら私は、毎日慨嘆して暮らしているのである。

<終>

ページ
TOP