人としてどこで差がつくか

人間に生まれついての能力差はない。だが、努力した者としなかった者の違いは、君の人生に決定的な影響を及ぼす。

大学の収容定員数が多すぎる。大卒に対する需要は、そんなに多くはないのだ。できれば、自分と同等、もしくは自分以上の人々で構成される集団に帰属したいものである。

だが憶えておきたまえ。努力しなければ、君がこれまで経験したことのない低質な集団に帰属する可能性もあるのだ。普通の生活で、これまで経験したことのない、極めて水準の低い人々と、四年間、暮らさねばならなくなる可能性もある。幼稚園でも、小学校でも、勿論中学校、高等学校でも、経験したことのない低質な集団と共に生きねばならないのだ。

人間は、別に優秀でなければならないわけではない。学力などなくとも、立派な人間はいくらもいる。学問がすべてではない。しかし、私立中学に学び、高等学校に学ぶ以上、大いに努力して、少しでも学習条件の良いところで学ぶ方が、君自身の人間的、学問的成長に資する事は、確実だ。

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自分の可能性に自信を持て。現在の学力に関係なく、君は確実に大成できる。

大切なのは、自学自習の姿勢を確立する事だが、それも、割合簡単に取得できる。

どうやって学ぶか。これが簡単ではない。矢張り、先輩や指導者、教師の助言が必要になるかも知れない。その点は、担任に相談するのが一番良い。校長室を訪れてくれても良い。自ら進んで、主体的、積極的に指導を求めることが大切だ。

世界史の先生に教えられたが、世界史は、フランス革命以降から出題されるのが七割だそうである。日本史なら、関ヶ原の戦い以降ということになろうか。この範囲を、繰り返し繰り返し読み、かつ考えるのがよい。十回も読んだら、カードやサブノートにまとめて見るのも良いだろう。これは、中学一年生や、高校に入学した直後から積み上げて行くのが良い。世界史に関する面白そうな本を四、五冊買いためて、読んでみるのも良い。

英語は大学入試の「二百三高地」である。でも、この克服は簡単だ。中学生にも関係があるから、しっかり読んで欲しい。

高等学校のリーダーCROWNにはⅠ、Ⅱ、Ⅲの三冊がある。その中にⅠとⅡにはGrammarがある。だが、これがⅢにはないのだ。面白いね。つまりGrammarはⅠとⅡ、それぞれ10ページずつ、合計20ページで、英文法の基本的事項は尽くされてしまっているのだ。尽くされてしまっているからⅢには、これがない。ある意味でⅢは、「読み物」として構成されているとも言えるだろう。

この20ページを、熟読、熟考、「眼光紙背に徹す」の構えで勉強すれば、英文法に分からないことはないことになる。私は、これをノートの左端に英文、右端に和文を書いて、暗誦すること、和文を見て英文を書き、和文を見て英文を朗唱することを繰り返せば、諸君の英語の底力は、ぐんと伸びると主張している。

今ひとつ、センター試験も大学入試も、CROWNのⅠ、Ⅱさえ完璧にやれば、原理的には満点を獲得できる。入学試験でも、満点かどうかはともかく、確実に入試に合格できると確信している。

中学生は、教科書を学ぶと共に、高校の分も先取りして学ぶと良い。

余力があれば、中央図書館にも中学生専用図書館にも、比較的平易な英語の読み物が千冊以上用意されている。その中の、自分に相応しい物に目を通すと良い。電車の中で「原書」を読んでいたりしたら、かっこいいぞ。

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(学校通信『藤棚』337号 平成29年5月より)

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