人間を矮小化してはならぬ(完結編)
防衛庁の責任者が陳謝することは、それは当然です。国民に対してばかりか、大切な隊員
の命をも失ったのですから。しかし、陳謝の折りに、大臣はせめて一言「以上の通り申し訳
ないが、隊員が国民の生命財産を守るため、自らの命を犠牲にしたことは分かってやって
頂きたい。自衛隊に反発を抱かれる方もあるかも知れないが、私に取り、彼らは可愛い部下
なので、このことを付け加えさせてもらいたい。」くらいのことが言えなかったのでしょうか。
隊員は命を捨てて国民を守っているのに、自らの政治生命ばかり大切にする最近の政治家
の精神的貧しさが、ここには集中的に表れています。まことに残念なことであると思います。
このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに加速し、英雄なき国家、エゴイスト
のひしめく国家を作り出しているのです。 人は、他人のために尽くすときに最大の生き甲斐を
感ずる生き物です。他人のために 生きることは、各人にとり、自己実現にほかならないのです。
国家や社会に取り、有用な人物になるために皆さんは学んでいます。そのような人材を育て
たいと思うからこそ、私も全力を尽くしているのです。
受験勉強で、精神的に参ることもあるでしょうが、これは自分のためにではなく、公(おおやけ)
のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーが湧いてくるの ではないでしょうか。
受験勉強に燃える三年生に、連帯の握手を!
(1999年12月1日付学校通信「藤棚」)