道具を使うからす(4)

 

しかし私は「実力者」だったから、
「後難を恐れて」誰も文句を言わない。
声を出せない私は、彼に向かって
うなずいたり、あれこれと表情を示した。
昔よほど人に可愛がられていたので
あろう。彼はなんと、戸棚から少し離れてい る
私のデスクの上に、ぴょんと跳び移ったのである。

狭山ヶ丘高等学校付属中学校校長メッセージ

これには私も参った。デスクの真ん真ん中に、
カラスがいるのである。なで るわけにも行かず、
折角来ているものを追い立てるわけにも行かず、
私は困り 果てた。近くから、女の先生のくすくす
笑いが聞こえた。いつものように語り かけないことを
不満に思ったのか、彼は、一声高く「かあ、あ」と叫んだ。

その5へ「まだまだ」続く・・・

 

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